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水の空の物語 第4章 第18話

 夕食を終えた風花は、自分の部屋に駆け込んだ。

 滑り込むように、床の上にすわる。 ぎゅっと目を閉じて、瞑想を始めた。

 早く霊力が欲しい。早く、早く……っ。

 夕闇の川原の風景が浮かんでくる。

 あっという間に消えていった、夏澄の姿が思い出された。目に涙が浮かぶ。

 早く霊力を身につけたい。もう二度と、置いていかれないように。

 三十分くらいたったあと、風花は手を見つめた。だがやはり、霊力の光は現れない。
 泣きたくなって、風花は床に寝転がった。

 こんなに、がんばっているのに、なんで。
 わたしなんかじゃ、霊力なんて一生無理……?

 風花が目を閉じた時、家の呼び鈴が鳴った。

「はーい」

 母親の声と、ドアを開ける音がする。

「こんばんは。風花さんの友人ですが、風花さんいらっしゃいますか?」
 そんな声が続いた。

 あれ、と思い、風花は階下を覗く。

 声が飛雨に似ていたからだ。だが、彼が堂々と玄関から来るはずはない。

 風花は一瞬、自分の目を疑った。

 玄関には、本当に飛雨が立っていた。



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