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「実はさ、私もうまく行ってないんだよね……」 ふいに香夜乃が声をかすらせた。 深くベン…
「では……」 ふいに、ひろあが声に力を込める。鞄からノートを取り出した。 ずっと前、…
「あっ、わたし書きたい」 風花はノートを受け取る。 三人で海に小旅行に行くと書いた。 …
長い坂道を、風花は自転車で登っていた。 やっと見えた駐輪場に滑り込み、自転車を停める…
夏澄の優しげな仕草も、透きとおった瞳も、やはりまぶしい。 風花は目を細めた。 「久し…
「ごめーん。でも、すごくきれい」 波紋はそっと押してだけでも、広がっていく。ゆらゆらと…
「う、うん……」 風花はそれだけしかいえなかった。 まっすぐな視線を受けると、どきどきしてしまう。本当は目一杯の笑顔で、返事をしたかった。 そんな風花に、夏澄は瞳を曇らせる。 風花はあわてて続けた。 「あ、あのね、手伝うよ。絶対、手伝う。わたしね、夏澄くんを手伝えたら、すごくいいなって思ってたんだから」 「そう……? 「うんっ。夏澄くんの故郷が元にもどったら、すごくいいなって思う。みんなが幸せな国って、私にとっても夢なの。だからね、飛雨くん」 風花は
「霊力って、どうして? なにかあったの? 風花」 夏澄が心配そうな顔をする。 いつも…
「……どんな泉だったの?」 自然と、風花の声にも感情がこもった。 「水の精霊の国の、空…
冗談めかす夏澄に、少し泣きたくなった。 ずっと願いが叶わなければ、普通は感情を無くす…
「……わたしもそんな泉をもどす方法、探しに行きたい」 風花はそっといってみる。 「ねえ…
「もしかして、今日も探しに行っていたの?」 「うん、今日は西の山にある洞窟に行ってきた。…
「飛雨、あれやってよ」 ふいに夏澄は笑顔になった。 飛雨に向き直って、すわり直す。 「…
「オレだけにしか、できないんだぜ」 飛雨はなぜか、背筋を伸ばす。 「水をかけるだけなのよ。誰にでもできるんじゃないかな?」 スーフィアが困ったようにわらった。 「そんなことねーよっ。だって、スーフィアできないじゃねーか」 「できないんじゃなくて、やらないの。分かってないわね。夏澄の体力を癒やす役目をもらっているから、心のほうは飛雨に譲ってるのよ」 「んなことねーよ。オレにしかできない」 「できるわよ」 「できない」 「できるわよ。……風花、やってみて」 ス