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20年後のゴーストワールド
はじめに
2023年11月映画『ゴーストワールド』のリバイバル上映を観た。2001年公開の映画。あれから20年強経つ。私は歳取ってもフラフラして、毒吐いて、身勝手に傷ついて…今も消えたい気持ちで主人公イーニドとまるで変わらないままだった。
「イーニド、怖いこと教えてあげる。耳塞がないで聞いて!このまま20年くらい経ってもずっと変わらないで、うだつのあがらない人生を送ってる私みたいなのもいるんだよ
『20年後のゴーストワールド』第1章・私のシーモア(15)夢のダイナー
時は2024年の夏。
仕事の休憩時間、勤務しているビルのレストラン街でパスタを食べた。明太子と海老のクリームパスタ。見るからに美味しい。村井と別れてからずっと治らない頭痛に加えて、めまい、耳鳴り、じんましん、ここ半年間で今までなかったストレス症状に悩まされている。ストレスから遠く離れるのに一番安易な方法として好きなものを食べた。
パスタを二口ほど食べてから、突然心のステージの緞帳があがって目の前
『20年後のゴーストワールド』第2章(2)愛という憎悪
人生どん底の私の元へ、来るはずのない待ち望んだバスが何故か突然あっけなくやってきた。私は今、バスの中で"レンタルなんもしない人"的にダメ人間と話をするというバイトをしているイーニドと話している。私は選ばれしダメ人間としてバスに乗ることとなったようだ。
イーニドが言う。
「私が沢山シーモアの絵を描いたように、あなたは重鎮(おじさん)を物語の中の人として描いたのね」
バスの中の空間は自動翻訳装置で
『20年後のゴーストワールド』第2章(5)私の人生、人生の夏
バスでひとしきり叫んだ後、ふとこの言葉がお告げのように頭をよぎった。
「ねぇ、イーニド、真実の愛って考えたことある?」
「私たちには、今のままでは一生かけても見つけられないかもしれないわね」
真実の愛を見つけている人は確かにいる。
それは私の思い込みかもしれないけど、見つけている人にはその二人にしか出せないオーラがある。私のように、何もかもうまくいかなくて、血迷ってもう誰でも良い人間とは真逆
『20年後のゴーストワールド』第2章(6)さよなら、ゴーストワールド(最終回)
イーニドとひとしきり話をしたり、音楽を聴いたりしたけど、まだ話は尽きない。イーニドの目線が私のトートバッグを捉えた。バッグからポータルのカセットプレイヤーが少し見えていた。
「ねぇ、あなたカセットで何聴いているの?」
「あっ、これ?今聴いてるカセットは銀杏BOYZ。日本のパンクバンドよ。私はこのバンドのこのカセットがきっかけで、またカセットにはまったの。90年代の終わりから一時期カセットは古く