本当に役立った書籍はどれ?現役ライターが実際にお仕事で活用している書籍を紹介
「文章術の書籍は星の数ほどあるけど、どの本を選べばいいのだろう……」
「WEBライターを目指しているけど、入門編として何を選べばいいのかわからない」
文章の仕事がしたいという方の中には、どの本を手に取ればいいかで悩む方も多いのではないでしょうか。
近年発売されている書籍の多くは、紙媒体向け、編集者・校正者向き、ライターを目指す方向けのものなど「ゴール」がそれぞれ異なるので、自分に合ったものを選ぶといいでしょう。
筆者もこれまで「ライターの仕事」を続けるにあたり、数多くの書籍を購入したり、時には通信講座を受けたこともありました。どの書籍も役に立ったものばかりですが、何度も読み直すものは同じ書籍が多いです。
今回の記事では、現役ライターとして活動中の筆者が「実際に仕事で使う機会が多い」、または何度か読み直すことの多い書籍を紹介します。
文末には「仕事をする上で、読んでおくと参考になるかも」と感じたジャンルの書籍についても触れています。
文章に限らず、これからWEBでお仕事をしたいという方もぜひ参考にしてみてください。
①新しい文章力の教室/唐木元
「新しい文章力の教室」は、コミックナタリー初代編集長の唐木元さんが執筆した書籍です。実はこちらの本、私の意志で購入したものではありません。
購入したのは、当時取引のあったクライアントさんより「こちらの書籍は、とてもわかりやすいし絶対に勉強になるのでおすすめですよ」と教えてもらったのがきっかけです。
クライアントさんは超大手の出版社さんで、書籍の出版社とは異なります。ライバル社の書籍だというのに、おすすめしたくなるほどいいということは、相当素晴らしい書籍なのではないかと。もちろん、迷わず即購入。
本は珍しい横書きスタイルで、読み進めるにつれて、正直戸惑いもありました。実際のところ、私はこちらの本を一番読み直しているので、購入して正解だったのかも。
読み直す理由のひとつが、まずわかりやすさ。具体的な例も紹介されていて、視覚的にも理解しやすいです。
文章の説明の仕方は、なかなかの独特ぶり。「~は、頭の悪そうな印象を受ける」や、「〇〇の使い過ぎは、下品さのもと」など、尖っているので読み手をある意味選ぶかもしれません。
私の場合、説明の仕方にインパクトがある分「絶対に気をつけよう」と思ったので、きっと自分には合っていたのでしょう。
誰にでもわかりやすい内容になっているので、「文章の書き方を、これから学びたい」という方にもおすすめです。
②大人の文章術/吉田裕子
こちらの書籍は、東京大学教養学部出身の吉田裕子さんが書かれた書籍です。プロフィールによると、吉田さんは現代文・古文を教える予備校講師として活躍されているとのこと。
これはあくまで私の持論ですが、書籍を購入する時は著者のプロフィールをチェックします。予備校で現代文を教えている講師ということだったので、安心して購入できました。
書籍の中では「NGの例」を踏まえた上で、正しく直された文章が紹介されているので、こちらも視覚的に理解しやすい内容になっています。
他にも「心を揺さぶる文章を書きたいなら、まずは俳句や短歌に触れてみて」、「名文への近道は、多くの名文に触れること」などなど。東大卒の講師ならではの、知性溢れる格言が続きます。
時には「芥川龍之介から、構成術を学ぼう」など難易度の高い話も出てきますが、説明自体は大変わかりやすいです。
東大卒の予備校講師が執筆した、極上の書籍は当時552円(税込)で購入できました。確か、コンビニで購入した記憶があります。こちらの書籍も、擦り切れるまで読み直しています。
③ことば選び実用辞典・使える語彙力2726
いずれの書籍も、執筆に役立つ言葉が多数紹介されています。一緒に紹介したのは、どちらも辞書的な役割を果たすものだからです。
「ことば選び実用辞典」の場合、たとえば「手紙」で調べるとさまざまな手紙の表現方法を知ることができます。主な手紙の表現方法としては、以下のとおり。
恋文……恋しい人への手紙
親書……自筆の手紙
密書……秘密の手紙
持ち運びも出来るサイズなので、旅先のお供としてもおすすめです。「使える語彙力2726」は、「ことば選び実用辞典」より厚みがある分、文字が大きくて読みやすいです。目が疲れた時は、こちらを選んでいます。
書籍には、感謝の気持ちを伝える時の返し方、断る時に心苦しいけど「どうしても断りたい」という時のクッション言葉・断り文句がたくさん紹介されています。ビジネスシーンでも使えるので、お客様とのやり取りにも役立つかと。
語彙は多いほど、文章を書く時に武器となります。どちらの書籍も辞書タイプなので、覚えなくてもOK。(※覚えるに越したことはありませんが、私は覚えられないので)
必要になったら、この本を開けばいいのです。どちらも私にとって、頼りになる相棒です。
④話し方・聞き方のビジネスマナーの基本ルール/鶴野充茂・監修
こちらの書籍は、OLの頃にビジネスマナーを身に着けるために購入しました。文章術の書籍ではありませんが、「わかりやすく話すテクニック(※ということは、つまりわかりやすく相手に伝えられる技術にも繋がるのでは)」や、謙譲語・尊敬語の使い分け方などをイラストでわかりやすく学べます。
ビジネスシーンの中では、いろんなやり取りがあります。打ち合わせを始める時の第一声、代案を伝えたい、依頼を受ける・断りたい、指示が二転三転した時、相手の意見に対して反対の意見を述べたい時などなど……。
こちらの書籍では、どんなシーンでも円滑に進むためのテクニックについて詳しい解説があります。相手に何かを指摘にする時に「私の勘違いだったら申し訳ありませんが~」とクッションを入れるなど、実践的に役立つ言い回しも多いです。
私はWEBで仕事を長く続けていますが、役立つのは文章術だけではありません。立ち回り方もそれ以上に大事だったりします。ビジネスのやり取りをする上で、こちらの書籍は私にとってお守り的な存在です。
⑤編集者・ライターのための必修・基礎知識
こちらの書籍は、私がライターになり始めた頃に仲間のみなさんが次々と購入されているのを見てから購入した記憶があります。
この本の良いところは、お金の流れなどリアルなネタが盛り込まれている点です。本を読むと「お金を生む仕事をしないと……」と、背筋がシャンと伸びます。
書籍の中には編集の仕事、企画の立て方、取材に役立つノウハウ(取材当日までに調べておくといいこと、質問項目の決め方など)についても紹介されているので、企画から構成を作ってお仕事したい方、インタビューのお仕事をしたい方にもおすすめです。
他にもデザイン、著作権など「書く仕事」をしたい方にとって気になる話題が豊富なので、一冊手元にあるといい気がします。
番外編
上述で紹介したのは、お仕事で役立ったものや、何度か読み直している書籍ばかり。ただ、書籍は「何度も読み直せたら、名作」という訳でもなく。
たった一度読んだだけでも自分の人生に影響を与えたり、新たな知見を得られたのであれば、自分にとっての名作だと思います。
私はこの仕事をするにおいて、文章術以外の書籍もたくさん読んできました。ワードプレスはさっぱりわからなかったので、書籍を購入して勉強しました。
一番は自分で作って触ってみるのがベストだと思いますが、実際にやってみてすぐに挫折。アフィリエイト収入もかつては目指していたので、書籍も2冊ほど購入しました。
結局、頑張ったけどダメだったので早々に諦めることに。今では仕事でワードプレスを触ることがあるので、参考程度に読んでいます。
フリーランスの仕事をしていると、いろんな悩みが増えるので「活躍しているフリーランス」が出版した書籍や、フリーランス向けの本も読んでいます。
ワークシップ出版の「フリーランスの進路相談室」は、ワークシップさんの懸賞で当選し、その後に感想をスタエフで話しました。
それからしばらくしてから、ご縁がありワークシップさんで執筆をすることに。
↑クラウドソーシングを色々試した時の感想を、赤裸々に書いた記事がこちらになります。
編集者のじきるうさんとは、その後オンライン作業会で顔を合わせたり、他にもいろいろとやり取りする機会が増えました。
↑サムネイル画像がご本人様に似ている気がする。
この縁を運んでくれたのも、本のお陰だと思っています。
山口恵理香さんの「不登校だった私がWEBライターになれた仕事術」は、当時私が執筆してるメディアで山口さんが活躍しているのを見ていて、気になって即購入。
山口さんの作品でいいなと感じたのは、「小さな愚痴も書かない」「自分の文章を自分で褒めない」など、マイルールを徹底しているところ。私は褒められたいタイプなので、自分で自分をついつい褒めてしまいます。その部分は悪いと思ってないのですが、愚痴は確かに私も書かないかも。
彼女のマイルールを貫いていくスタイルには、密かに憧れています。他には第一線で活躍しているコピーライターさん、佐藤友美さんの「書く仕事がしたい」も購入しました。
こちらの書籍は、ご本人様もおっしゃっているように文章術の本ではありません。
企画の提案だったり、長く続けるためのマインドだったり……。「平均点を取れるための書き方とは」「売り上げをキープしている方の戦略」といったテーマについても触れられているので、どちらかというと「長く安定して、ライターとして働きたい方向け」かなと思います。
あとは、佐藤友美さんのマインドが記されているので、彼女のファンにはたまらない一冊だと感じました。
書く仕事で躓きそうになった時は、こちらの書籍を読み直しています。書籍の感想については、過去にライターマガジンで紹介した記憶があります。
↑ライターマガジンのnoteはこちら
他には、インフルエンサーさんたちが執筆した書籍もいくつか読みました。
ヨッピーさん、はあちゅうさん、ゆうこすさん。ミーハーなので、ほぼ全部本人にお会いして、サイン本を頂いています。
ヨッピーさんに至っては、サイン本の後に彼を交えたオフ会のようなものがあり、名古屋のどこかで飲んだ記憶があります。
↑徳川家康ゆかりの地を巡るなら「子孫に案内してもらおう!」という企画が面白い。
そこで出会った人たちがみな「ヨッピーさんの、あの記事のアレが最高だったよね~」と、ヨッピーさんの記事について熱く語り合っていたのが印象的でした。
書く仕事でファンができるというのは、まさにこういうことなのだと。改めて、ヨッピーさんの凄さを実感しました。
著者が有名な作品ほど、その人のアイデンティティが色濃く反映される傾向にあると感じるので、「これから、書く仕事をしたい」という方の場合は有名な著名人が書いたものより、一般的な文章術の書籍をおすすめします。
ただ、著名な方の書籍は「業界で生き残るマインド」が書かれていることが多いので、仕事で行き詰った時のバイブルになる可能性も高いです。書く仕事を初めてみて、行き詰ってきたら読んでみるのもひとつの手と言えそうです。
【完】