【FF7二次創作】 霧の底
谷の底は乳で満たされていた。いや、乳ではない。霧だ。鬱蒼とした森の樹々が巧妙に隠していた突然現れたすり鉢状の谷──モンスターの群れから逃げる間にクラウドが迷い込んだのはそんな場所だった。
先のミディールを襲った大地震の影響か、この辺はあちこちで地割れができていると聞く。地表近くのライフストリームの溜まりなんかに落ちてしまえば一巻の終わりだ。クラウドは鋭くあたりを見回した。
分厚い雲の向こうから差し込む弱々しい太陽光が霧に散乱し、あたりは乳白色の光に満ちていた。視界は最悪だ。