【読書感想文#2】 荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』
前回の宣言通り、『荒木飛呂彦の漫画術』を読んだ次の日に早速こちらも読みましたッ!
大まかな内容としては前作と変わりなく、荒木先生のブレない哲学をさらに掘り下げる内容となっています。
本書を読むとわかるんだけど、「悪役=悪人ではない」んですねえ。
あくまでも、悪役とは「主人公の前に立ち塞がる異なる価値観・行動原理を持った障壁」である、と。
荒木先生のストーリーの基本は、主人公がどんどんプラスに向かっていくアゲアゲな流れを守るというもの。悪役が立っていれば立っているほど、主人公との差異が明確になりその行動原理に説得力が増すのだろうね。本の中にもあったけど、善や悪の「基準点」を設けてあげるとキャラクターの立ち位置がわかりやすくなるというのは納得です。
また、キャラクター設定は複数キャラクターを同時に行うべしという教えも大変勉強になった。特に、主人公と悪役は対比を意識して生い立ちや性格、見た目などを決めていくというところ。「鉄格子の中にあって星を見上げるものと泥を見つめるもの」のぶつかり合いが生むドラマがジョジョ第1部だったものね。5部のボス・ディアボロの能力が「経過をすっ飛ばして結果だけを手に入れる」ためのものであるのに対し、アバッキオの元同僚の警官の言葉に象徴されるように、重要なのは過程であり、「黄金の道」を歩む覚悟そのものなんだというテーマにも繋がってる。
そして「善なる主人公」が担うのが難しい「人間としての汚い面・欲望の発散」を悪役にやってもらうことで、作品全体として説教くささがないようにする役割もある、と…
まさにディオの惚れ惚れとするほどの悪行に対しての賛辞、「そこに痺れる憧れる」じゃあないかッ!!
ンッン〰︎、名言だな、これは。
荒木先生の作品には爽やかさがあるんだよね。
こう、都合が透けて見えるようなドロドロとした部分がない。善は善なりに、悪は悪なりに常に前向きで、「覚悟」がある。
だから各部の悪役にも高い人気が集まるんだと思う。これは上記の役割に起因するところも大きそう。
そして、2作を通読して改めて思ったのは、荒木先生の作品に表れる哲学には時代を超えた一貫性があるということ。この「黄金の漫画道」を信じていいんだという信頼感がある。
まさに人間讃歌。
いやはや大変面白かったです!
(ここからは余談だけど、前作も本作も他の創作物を引き合いに「黄金の漫画道」について語られる部分が散見された。
基本的には良いところを参考に挙げているという感じだったけど、ガチダメ出しもあって面白かった笑
人気があるからと特定のキャラクターの死を無かったことにするのはやっちゃダメ、上げて下げて上げるだけでプラマイゼロでしかないストーリ展開は避けるべき、製作者の都合でキャラクターを動かすなもしやるならよほど上手くやれ、困難を解決するのが悪役が間抜けなせいだとしらける、とかさ。
個人的には「この本お読みになって!!?」と思う作品がちらほら頭に浮かんでしまいましたわい…)