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【書評の仕事/印南敦史】本語り#08
はじめに
読書が大好きで、noteで書評を書いていることもあり、ネットで「書評」を検索したらこちらの本がヒット。
というか、そもそも「書評家」についてとなると本があまりなかった。
この本は、「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「マイナビニュース」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、様々な書評発表媒体を持つ、書評家の印南敦史さんが書かれた本。
書評量は、なんと年間約500冊!
ご、500冊!?!?
365日で割ると、1日に1.4冊分。これはすごい……。
驚異的な読書量、そして書評数を叩き出している印南さんの本を通して、
「そもそも書評って何?」
「書評家の日常ってどんな感じ?」
「本はどのように選ぶ?」
など、書評家に対する疑問を解き明かしていきましょう。
著者について
印南敦史さん
作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。
1962年東京生まれ。
広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。
書評を出すたびAmazonランキングが急上昇する人気の書評家となる。
主な書評発表媒体に、「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「マイナビニュース」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など。
著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』 (星海社新書)のほか、音楽関連の著書も多数。
年間約500冊という驚異的な書評量を誇る。
要約
書評家の仕事とは
書評とは?
辞書で「書評」を引いてみると、「[読者のために]新刊の書物の内容を紹介・批評した文章」とあります。つまりは、「読者に向けた新刊ガイド」としての役割がそこにはあるのです。
だとすれば、書評は簡潔かつ平易な表現で書かれているべきだと個人的には強く思うわけです。
「自分」はどこにいるのか
書評とブログを読んでくれている知人からこんなことをいわれたことがありました。
「朝に公開されるライフハッカーの書評と、ニューズウィークや東洋経済オンラインなどでの書評、それから夜に公開されるブログとでは、人格がまったく違う」と。
思わず笑ってしまったものの、納得できる話でもありました。なぜならライフハッカー、ニューズウィーク、東洋経済オンライン、その他もろもろの連載、そしてブログとでは、目的も違うし読者ターゲットも違うからです。それらに合わせて書き分けているからこそ、「人格が違う」ように感じる方がいらっしゃっても不思議ではないのです。
そんなことも含め、「自分」がどこにいて、どこへ向けて発信しようとしているのかを考えることが非常に大切だと考えているということなのです。
書評今昔(スマホ前/スマホ後など)
トラッド書評がなお現存する一方、ネオ書評が台頭してきたことによって、”書評のある世界”にひとつの大きな変化が訪れたような気がしています。そしてその変化は、書評と読者、読者と本をつなぐ、大きな可能性を秘めているのではないかとも思っています。
簡単にいえば、ネオ書評が現れたことによって、手に届きにくかったものが届きやすくなった、もしくは、遠くにあったものが近づいてきた、ということです。
そんな状況を大きく変えたのは、ネオ書評のようなこれまでになかったコンテンツと、その受け皿であるプラットフォームです。それらが絡み合うことによって「誰でも覗いてみたくなる」ような状況が生まれたからこそ、多くの人に門戸が開かれたのです。そしてその可能性を、スマートフォンがさらに広げました。わざわざパソコンを開かなくても、そこ(ネオ書評)まで片手でたどり着ける状況ができ、書評というものがさらに広く認知されるようになったわけです。
極端な表現を使うとすれば、それまで書評というものがあることを知らなかった人ですら、それが書評であるということを意識する必要なく書評に触れることができるようになったということ。
「オピニオン系書評」や、その他のタイプ
「マイナビニュース」では、読者の悩みに適したビジネス書を紹介する「ビジネス書に訊け!」という連載を持っています。そこで、この場においては自分の体験談なども交えつつ、なるべく読者に寄り添いながら適切なビジネス書を紹介しています。
「サライ。JP」は、これから定年を迎えようとしている50代前後の男性をメインターゲットにしています。1962年生まれの僕はいま57歳なので、読者とほぼ同世代。というわけで、「健康」や「定年」など、この世代にとって関心が高いであろうトピックスを取り上げています。
そして「WANI BOOKOUT」は、おもに女性読者に向けられたライフスタイル・メディア。ということで柔らかな表現を用い、気軽に読めるようなテイストを心がけています。
このように、メディアの性格や読者層に応じて書き分けをしているのですが、それもまた書評家としての役割だと思っています。
書評家に必要なこと
1.伝える=伝わりやすい書き方を考え、実行する
「どういう書き方をすれば伝わりやすいか」「どういう書き方を避けるべきか」などを考えて書かなければなりません。2.共感をつかむ=読者の目線に立つ努力をする
読者に”おトク感”を提供することが重要だと考えています。たとえばビジネス書の書評なら、その書評を読んだ結果、「なるほど、これは自分の仕事に活用できそうだな」というようなことを実感できれば、その書評はその読者にとって有用な書評だということになるからです。
いつ本を読むのかーーー仕事のために読む本
意識すべきは「目的」です。書評の目的は、読者に「この本、おもしろそうだな。読んでみようかな」と思ってもらうことです。だとすれば、その本のなかから読者の興味を引くであろう部分を見つけ出し、そこを中心にしながら話を進めていったほうが効果的だという考え方。
書評家の裏話
書評を通してわかった自分の考え
なかでも突出して重要だなぁと感じるのは、本を読み、その内容をどう伝えようかと考え、文章にする過程です。この過程を繰り返すことによって、自分がなにを考え、なにに関心を持ち、なにを知りたくて、なにに興味がないかなどを改めて認識することができるからです。
読者が求めているであろうと思えるものを選んでいるとはいえ、選書の段階で、そこには自分らしさが反映されることになります。僕が自分の感覚で「この本(のこの部分)は読者に役立ちそうだな」とアタリをつえけているのですから、そのときに自分らしさが発揮されるのは当然の話。もちろん無意識なのですが、どこかに「僕という人間の見かた、感じかた」が表れてしまうわけです。
年500冊の書評から得た技術
年間約500冊の書評で得た「要約力」
読んでくださった人に、「なるほど、そういう本なのか。おもしろそうだな」と興味を持っていただくことが目的なのですから、「どういう読者に、その本のどの部分が刺さりそうか」アタリをつけることが必要になってくるわけです。
それは、刺さりそうな部分だけをクローズアップすればいいということでもあります。必ずしも、一冊分すべてを解説しなくてもいいのです。逆に一冊分すべてをまとめてしまったとしたら、非常に散漫な書評になってしまうと思います。ですから「どこにポイントがあるか」を見極め、そこを中心にまとめるべきだと僕は考えます。
全体像(著者について、テーマ、特徴など)
読者にニーズに合わせたトピックを抽出し、そこを話題の中心として話を進める
書評の技術・書評の教養
読まれる書評を書く人の視点
どこまで”個”を押し出していいかなど、自分がいる位置や役割をきちんと理解している
想定した読者のニーズを少しでも満たせるような文章を書きたいという意思を持っている
世の中の流れを最低限でも把握している
プロフェッショナルの仕事として自分の文章を俯瞰することができる
自然の音が与えてくれるもの
最近はこれまで以上に「日常の音」に心地よさを感じるようになっており、窓を開けて外の音を聴きながら書くことも少なくありません。我が家の前を通る人の足音、話し声、大通りから聞こえてくる車の走行音、飛行機の飛ぶ音など、さまざまな音が刺激を与えてくれるのです。
おそらくそれは自分でも気づかないうちに、僕の文章になんらかの影響を与えてくれているのだろうと思います。
感想
「書評家」を認識、「書評家」への憧れ
「書評家」という認識をしたのは、最近である。
大ベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の作者・三宅香帆さんが「書評家」と表現していて、「書評専門の方がいるのか!」と大変驚いた。
「ライター」や「作家」は昔から目にしていて知っていたが、「書評家」もいるとは。憧れる。めちゃくちゃ憧れる。
私は常に本を読んでいて、図書館にもいつも連れて行ってくれた祖父の影響か、常に何冊かの本を借りている人生だった。
本がある場所が憩いの場であり、学校の図書室にも逃げるように通っていた記憶がある。
幼少期の夢のひとつに「本に囲まれて暮らす」というものがあった。
本は誰かに言われなくても毎日読んでしまうし、増えてしまうし、読書ノートもつけてしまう。
「書評家」だとすれば、本を集めて読んで書くことが仕事になるのか!?最高じゃないか!!!!!
そんなこんなで、noteで書評記事を書き始めて間もない私が「書評家」の本を探し、見つかったのがこちらの本だった。
(三宅香帆さんの本についても書いているので、ぜひ読んでみてください)
間違いなく「良書」
私の中での「良い本」の定義は、<どんどん読み進めてしまう>ことと<自分に変化が起きること>である。
この本はどちらも当てはまっていた。届いたその日に読み切ってしまったし、読んでいる最中から、<変化>を起こそうと考えていた。
今の自分にぴったりの本を選書してしまった……!!と悦に浸っている。
私に起きた「変化」
【変化1:「新刊をもっと手にしよう!」と決意した】
書評とは、「読者に向けた新刊ガイド」としての役割がある。
ここでまず、ハッとした。
「最近の自分、図書館の本ばかり手にしてしまっている!書店に行っていない!新刊を手に取っていない!」
もちろん昔の本だって良い本は多いのだが、時代の波に乗るためには、もっと「新刊」の情報を集めなければいけないのではないか?書店だ!今すぐ書店へ行こう!
私はすぐさま街へ繰り出し、アタリをつけ、本を手に入れ幸福感に浸った。やはり書店は良い。
【変化2:noteの書評記事の構成を変えた】
印南さんは多数の媒体で連載しているが、媒体のターゲットに合わせて本を選び、文体も変えているそうだ。女性向けにも書いているというから驚き。
徹底的に「読者の目線や読者の興味」を意識して書いている。
そこで私はふと考えた。noteの読者はどうだろう?と。
ビジネス書であればきっと、「本を読む時間がないけど要約が知りたい」という人が多いのではないか?
ということで、今回からは引用と感想を混在せず、まずは要約(引用)し、最後に感想を書くという構成にした。
本当はもっと要約した方が良い気もするけれど、自分の備忘録(読書ノート)も兼ねているので、まずはこのくらいで。
「構成どうしよう?」と考えていた時に、ちょうどnoteでお手本のような記事を拝見した。
こがゆうさん。いつもとても分かりやすい記事を書かれている。
参考に書かせていただきました!ありがとうございます!
書評の楽しさ・noteの楽しさを改めて認識
ネオ書評が現れたことによって、手に届きにくかったものが届きやすくなった、もしくは、遠くにあったものが近づいてきた。
これは本当にそうで、noteがまさに身近にしてくれたプラットフォームだと思う。
だからこそ、今では「書評家」という仕事も始めこそ驚いたものの、妙に納得した。
遥か遠い昔、書評ブログを書いていたが、noteの書きやすさ、いいねの貰いやすさ、コミュニケーションのしやすさは本当にすごい。続けたくなる。
自分がなにを考え、なにに関心を持ち、なにを知りたくて、なにに興味がないかなどを改めて認識することができる
noteで記事を書くことを通して、「自分がなにを考えているのか」「自分が心底関心を持っているものは何か」を認識できていると日々実感している。
実感できるからこそ、書くことは楽しい。
読書を通して新しいことを知り、自分が知りたいことを知り、書くことで色んな人に伝えることができて、さらに自分を知ることができる。
なんて楽しい時間なのだろう!
年間500冊の書評はさすがに厳しいが、これからも楽しく続けて行こうと思う。
最後に要望!
「書評の仕事」「書評家とは」というような本自体が少ないので、もっとたくさんの書評家の皆さんにも執筆してほしいー!
そして、印南さんの「書評集」の本もぜひ出版していただきたいー!是非ともよろしくお願いいたします!!!
長々と書いてしまって失礼いたしました。
興味を持っていただけたら、ぜひお手に取ってくださいね!
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