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献立日記、食エッセイ、おやつの話などをこちらにまとめます。大食いの主婦による、「食べることは生きること」集。
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#食エッセイ

 シュフの賄いパスタ。 【食エッセイ】

シュフの賄いパスタ。 【食エッセイ】

カチ、カチャ、ジュー

軽やかな音が店内に響く。

食器にカトラリーがあたる音、大きな扉の冷蔵庫がひらく音、鉄のフライパンでお肉に焼き目をつける音、高熱のオーブンが完成を知らせる音…

いくつもの音が複雑に、最終的にはひとつになって空間をつくる。

開店前のレストラン。

それぞれが持ち場の準備に追われている。

音がよりいっそう緊張感を高め、
香る食材のにおいだけが場を和ませていた。

大学生の

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黄金のスープ。 夢と、こがね色の暮らし 【食エッセイ】

黄金のスープ。 夢と、こがね色の暮らし 【食エッセイ】

「いってきます」

「いってらっしゃい。忘れ物ないようにね」

朝、夫を送り出す。

2月も半分が過ぎようとしている。
今月はとくに出張が多い。

北へ南へと。雪が降っていようが降っていまいが、そんなのは関係ないと、旅立つ夫を見送る。

私が夫の立場だったら、熱があるかもしれない、寒いし霜焼けになったら取り返しがつかない、飛行機が飛ばない気がする!などとよからぬ心配(期待)を抱いてしまうかもしれな

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ありがとう、チョココロネ。

ありがとう、チョココロネ。

毎週木曜日のお楽しみ。

お昼休みの時間に、会社近くのパン屋さんにいく。ガラス張りの店内にオレンジ色ののれんがそよそよと風になびく、昔ながらの店構え。ガラスの扉に貼られたお店のロゴは随分とときを経て、そこにあったであろう余韻だけが残っている。

「こんにちは~」

挨拶をしながら店内にお邪魔すると、

「いらっしゃいませ~」

と奥の方からハリのある声が聞こえてくる。かと思えば、いつの間にかレジ前

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ひとり焼肉の流儀。

ひとり焼肉の流儀。

平日のランチタイム。

人が流れ出す、12時よりも少し前の時間帯。
ひと足先にお昼のために街に出かける。

いつもの朝より早めに活動をはじめていたので、それに応じてお腹のスタンバイにも拍車がかかる。

普段なら午後に響かないような、軽めの軽食を好むのだけれど、今日はなんて言ったってお腹が空いている。

白米に合う、コッテリとしたおかずを身体が欲しているのだ。

そうなれば、大体の選択肢は限られる。

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スープのある朝食☀️

スープのある朝食☀️

ピピピ

うーん、もう少し。
聞こえてはいるのだけれど、お布団から出るのが名残惜しい。

ピピピ

そうこうしているうちに、また5分、10分と時が過ぎる。うーん、さすがに起きなければ!

勢いよく、ガバッと身を起こす。あとは流れに身を任せて、朝がはじまる。

今日の朝は、ちょっと特別。
昨夜作ったクラムチャウダーがまだたっぷりと残っている。

お鍋のまま冷蔵庫に放り込んでおき、また朝にそのまま火に

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ひとり ふたり みんなでpizza。【食エッセイ】

ひとり ふたり みんなでpizza。【食エッセイ】

ピザ、ピッツァ、pizza…

呪文のように唱えてしまうほど、ピザが好きだ。

子どもの頃、誕生日に何が食べたいかと聞かれれば、
迷わず「ピザ!」とリクエストをしていた。

両親は共働きで、平日の夜ごはんは同居する祖母が切り盛りしていた。祖母の料理は、和食や田舎ならではの創作料理を基本とする。

今思い返せば、ありがたい料理だったのだろう。が、子どもの舌はそう簡単には満足しなかった。

家庭では食

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豚ステーキの解禁日。 【食エッセイ】

豚ステーキの解禁日。 【食エッセイ】

鶏肉、牛肉、豚肉。

たまに、ラム肉。

スーパーのお肉コーナーで見かける、レギュラーメンバーたち。

私は、迷わず鶏肉を手に取る。
胸肉、もも肉、ささみ…
一通りの部位を冷蔵庫あるいは冷凍庫に常備しておきたい。そうすれば、どんな料理にもだいたいは応用が効く。

牛肉はステーキやブロックが安くなっていれば、たまに買う。

ラム肉は夫が苦手なので、滅多に買わない。(私は好きなのでひとりこっそり食べて

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