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詩歌

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自作の詩・短歌・長歌。東方Project二次創作含む。
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2024年11月の記事一覧

詩 拡がってゆく相対速度

たがいのことばがゆっくりとおくれて 張り詰めてゆく弦奏に懇願する どうか今日で終わりにして…

詩 摩耗していくえいえんの

たがいの皮膚が一枚ずつ もう一度重なって 肉が再生されたとして たがいの時間が一堂に 再び会…

詩 てのひらの矮星

今日だけは言葉をひっこめる 意味、じゃないものを吸収している いま 流星が落っこちてきたと…

詩 陽りの永久凍土

とくいげな言葉ほど 急速に熱をうしなってゆく 「えいえんなんて」 凍えは永い 溶け出すまで …

詩 いてついた記憶より

いてついた記憶より おもいだせない時間の いてつきに 息ができなくなる あったはずの構造物…

詩 流体

りょうてをふさげば底へ溜まり りょうてをあければ空へ浮かぶ 陰りに降りしきる岩石と 陽りに…

詩 すべてのモチーフへ

 乏しい脳漿に注ぎますのは、縊れに研ぎ澄ましますのは、潮流の源から溢れでた、三つ編みの憧憬の夜空。唇が足りないから棚卸しをしましょう、目もとから暗闇が放たれていますよ、耳朶を逆鱗が撫でている、皮膚が慟哭すると拡がっていく黴臭さ、脳漿に注ぎますのは、霧立つ湖の、紅い月の、存亡を賭けた歯牙。攻防が繰り広げられている。ほそい首が落ちてくるのです。だから選択の余地は意図的に排除された。髪の一房しか掴めない指先が惑星の舵を握っているという情景に、思い出すのは、瞳のピントがあっていた頃。

詩 みそめの雨水

『東方深秘録』に登場する高校生『宇佐見菫子』を基にした詩

詩 悪魔祓い

 それがぼくを救ってくれるのなら望んで差し出してやるさ。  朝日は転がり落ちて星空が降っ…

詩 三次元空間における二象限間の距離について

あなたの知らないものを丁寧に包装して受け渡すことが誠実な仕事なのだと思いました。 投げや…

詩 ぐるり、匍匐

すきになれなかったあ、 白亜のこんちゅう 陰翳にしのんでた のは こころだって同じだ 脚がた…

詩 歪食らい

食らいついても 一体になれない という 味わいたいのか 飲み込みたいのか 満たしたいのか 牙…

詩 巣/巣

巣/巣 信用しないとき 吐く 吸う 蛍光 指の振動 揺らぐふるえ 言葉にできていないこと 多す…

詩 育てたもの

素面の奥に どれだけのビーズが詰まっているのだろう ぐずる様子と鼻炎の 違いも識別できないわたしに できることはそれほど多くない 夕景に比べれば人類は矮小だけど そのことの無情さにそっくり阿ることで 得られたものは無力だった 息をするために じゃまになるまっすぐさは先んじて屈折していった 遺されたものが見せる獰猛さは 放水のように痛々しい 無自覚な擦過傷 それに感傷していることの 鏡の見たくなさを 戸の裏に隠したまま 止めようのないものたちのまえで 不自然に目をくばせている