詩 拡がってゆく相対速度
たがいのことばがゆっくりとおくれて
張り詰めてゆく弦奏に懇願する
どうか今日で終わりにしてください
空闊のおやしきに
後見人もいないまま
取り残されただけ
埋葬から一週間
きゅうに声が枯れてきて
奏上をきっぱりやめた
だのに聴こえるのは
産声と地鳴り
きらいになってなんか、
ないだろ、そんなわけないだろ、
なにをそんなに
好きになることさえできないの
指板を押さえる日々のこと
指板を押さえる、日々のこと
そこから放射状にひろがる
太陽と星のいもうとたち
それから
揺れた肌
浮いた脚
伸びたままの髪
の目元には
ほほえみのなごりがある
あなたがいなくなる日々がこわい
あなたが先導しない日々がこわい
あなたのくれたものを
ちっとも理解できていないようなわたしを
どうか今日で終わりにしてください
『東方妖々夢』に登場する騒霊の長女『ルナサ・プリズムリバー』を基にした詩