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日本文化が大好き

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着物、日本美術・工芸、伝統芸能など日本の文化のことをまとめます
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記事一覧

『光る君へ』のアクセシビリティ

『光る君へ』のアクセシビリティ

実はウェディングの仕事のほかに、舞台芸術の制作会社の仕事もしています。こちらで担当しているのは舞台等の映像作品にアクセシビリティをつけて、誰もが楽しめることを目指す「THEATRE for ALL」のWEB管理や広報です。
スタッフが仕事のことや関心のあることについて書く「スタッフnote」がスタートし、先日私の記事もアップされました。大河ドラマ『光る君へ』を見ながら考えた映像のアクセシビリティの

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『光る君へ』で見えてきた字幕のもう1つの活用方法【スタッフnote】

『光る君へ』で見えてきた字幕のもう1つの活用方法【スタッフnote】

はじめまして。precogが運営する「THEATRE for ALL」のWEB管理や広報を担当しているシミズです。「劇場体験に、アクセシビリティを」をミッションに配信作品や記事を公開しています。

私は子どもの頃から歴史好きな上に、学生時代には平安時代の文学を学びました。『源氏物語』を学びたくて国文学科に進み、卒論の題材にも選んだ『源氏』マニアなので、今年の大河ドラマ『光る君へ』は見逃せない作品で

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儀式のないご結婚を皇室の新しい潮流と見るか、駆け落ち婚と見るか

儀式のないご結婚を皇室の新しい潮流と見るか、駆け落ち婚と見るか

こんにちは、ウェディング ナビゲーターの清水です。

秋篠宮家のご長女・眞子様が本日ご結婚、皇籍を離脱されました。
お相手のお家のいろいろな問題は個人的なことなので周りがとやかくいうべきものでもなく。
私も思うところはありますが、それはおふたりやご家族の問題ですので控えます。

ただ、一般においても揉める場合は大概こういうことが原因だよね、ということで、以前こんな記事を書いています。

今回の一連

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勝利を願う伝統柄―ラグビー日本代表ジャージにあしらわれた文様について

勝利を願う伝統柄―ラグビー日本代表ジャージにあしらわれた文様について

和婚プロデュース「まとう」のブログから転載しています
https://matow-kimono.jp/191021/

日本で開催されているラグビーワールドカップ。
日本代表チームは史上初のベスト8入りを果たし、大いに盛り上がりました。

着物や日本文化が好きな方は、試合だけでなく日本代表のジャージにも視線を釘付けにされたのではないでしょうか。

「兜:KABUTO」がコンセプト

武士道は、人と

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待ってましたの『国宝鳥獣戯画のすべて』展@東京国立博物館

待ってましたの『国宝鳥獣戯画のすべて』展@東京国立博物館

再開された『国宝鳥獣戯画のすべて』展に行くことができました!
緊急事態宣言で、また休館のまま閉幕してしまうのか……と半分諦めていましたが、会期延長と毎日夜間開館というありがたい措置が。
人気の上に残り少ない開館日数とあって、チケットを取るのは少々大変でしたが、無事に鑑賞できてよかった。

最も楽しみだったのは、絵巻を全編通して見られるという点。
絵巻の場合は大概が一部分の展示で、前後がどうなってい

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「結婚式のしきたり」って古臭い?

こんにちは、ウェディング ナビゲーターの清水です。

世の中では毎日のように、ウェディングに関する新しいサービスや商品が登場しています。
欧米風のスタイルも相変わらず人気ですね。

日本だけがしきたりを守っているのか?先日、とあるウェディングサービスを手掛ける方の投稿を読んだのですが、
「日本のウェディングはどこも同じような順番で同じような内容でつまらない」とありました。
具体的に何がどう同じなの

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明治~昭和初期の花嫁衣裳

明治~昭和初期の花嫁衣裳

2019年に横浜「シルク博物館」で開催された「シルクのシンフォニー ー染と刺繍の輝きー」展から。
現代の作家の作品から、古い時代の資料的価値を持ったものまで、幅広く見ることができました。

古い時代の花嫁衣装は白・黒・赤の三色揃い袖。
こちらは鳳凰と桐をあしらった留袖です。

花嫁衣裳 三枚襲留袖(1926年)

上着:黒に菊、中着:赤に竹、下着:白に梅がそれぞれに描かれています。

驚いたのが次

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日本の着物の原点 十二単

日本の着物の原点 十二単

先日、全日本婚礼美容協会の勉強会に参加させていただき、初めて十二単(女房装束)の着付けの様子を拝見しました。

十二単は平安時代に確立した女性の装束ですが、日本オリジナルの衣裳で、いわば国風文化の象徴。
公家の衣裳である十二単から派生して現代の着物になっているわけで、私は日本の着物の原点だと思っています。
『源氏物語』を読むには衣裳の知識は欠かせないのですが、着る過程はなかなか見る機会がなかったの

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伝統的な美しさと現代的な楽しさと 写真は2パターン撮っておこう

伝統的な美しさと現代的な楽しさと 写真は2パターン撮っておこう

成人の日の時期になると思うんです。
年を重ねてから写真を見返しても、当時と同じように「よかった」と思ってほしい、ということ。

伝統柄の着物や正統派のポーズについて、若い世代があまり好まないのもよくわかります。
私も自分の振袖をつくってもらう時、その時流行っていた色や柄にしたいなと思いましたから。
(当時は濃い色でほぼ無地のモダンな振袖が流行でした)
着物を縫う仕事をしていた祖母や母に全力で止めら

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和の文様「扇」

和の文様「扇」

おめでたい席にはつきものの扇、別名を「末広」と言います。
要から扇面にかけて広がっていく形「末広がり」からそう呼ばれるのですが、ことに一族の繁栄を象徴する形です。
そのため扇はお祝いごと、特に婚礼の場にふさわしい物とされるわけです。

そんな意味を持つ扇柄は「吉祥紋」として晴れ着全般によく使用されます。
写真のように、扇面に更におめでたい文様を入れたものが多く見られます。
季節感、祝いのメッセージ

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「義実家」という言葉とジェンダー問題と

「義実家」という言葉とジェンダー問題と

「義実家」という言葉、ご存知ですか?
SNSをはじめとして、ネット上では当たり前のように使われていますが、私の中ではまだネット用語かスラングか、という位置づけ。
(辞書の見出し語には既になっているようですね。)

「義実家」は正しい日本語なのか?「実家」というのは、嫁または婿に入った人が元々属していた家を指す言葉。
これ、よく考えると、戦前の「家制度」、家父長制を引きずっている言葉なんですよね。

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和の文様「鶴」

和の文様「鶴」

「鶴は千年、亀は万年」といわれるように、鶴は古くから長寿の象徴とされています。
また、伴侶と生涯添い遂げることから、夫婦円満の象徴ともされています。
そのため、吉祥文様として長いこと日本人に愛されてきました。
おめでたい席の衣裳、器などに数多く見られます。

花嫁衣裳の赤や黒といった濃い地色に、羽ばたく白い鶴の姿がくっきりと浮かび上がるさまはとても華やか。
もちろん白無垢に織り柄として鶴が飛ぶ、

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特別展きもの@東京国立博物館

特別展きもの@東京国立博物館

絶対に見たいと思っていた展覧会、行ってきました。
中止になってしまうのでは、と案じていたので見られて本当に嬉しいです。

小袖=きものという括り現代では「着物」と言えば和装全般を指しますが、この展覧会では現代の着物の原型である「小袖=きもの」と考え、小袖から後の歴史を辿る構成でした。
日本の衣裳と考えれば着物の括りに入るはずの、いわゆる「十二単」は、袖口を縫い留めない「広袖」であり、袖口の狭い「小

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上村松園と美人画の世界@山種美術館

上村松園と美人画の世界@山種美術館

山種美術館で行われている、松園さんの全作品を中心に、美人画の収蔵品の展覧会です。
上村松園女史は私の大好きな日本画家。
美人画の美しさ、その細やかさに魅了されます。
着物や装飾品、髪型や化粧など、描き込みが本当に細かくて、男性でももちろん細かく描かれてはいるのですが、女性だからこその精細さのようなものを感じます。

上品さも松園作品に持つ強い印象。
さわやかな色気というか、男性が描くものの色気とは

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