魚の脂肪を積極的に摂ろう!「筋肉がつきやすく、太りにくく、痩せやすい体を作る」
脂肪が豊富な魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エンコサペンタエン酸)がたくさん含まれています。
これらの脂肪酸はオメガ3系脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分類されます。
そして「必須脂肪酸」の一つです。
EPA、DHAの健康へのメリットは沢山ありますが、
この記事では「身体づくり」という視点で、EPA、DHAがどのようなアドバンテージがあるのか紹介していきたいと思います。
①グリコーゲン蓄積作用(GLUT4の増加)
フィッシュオイルには筋細胞においてGLUT4(glucose transporter type 4)を増やす働きがあります。GLUT4とは名前の通り、ブドウ糖(グルコース)の取り込み屋です。
これが筋肉で増えるということは、血中の糖を筋肉に運びグリコーゲンとして蓄える効率が上がるということです。
・筋肉のグリコーゲンの回復促進、
・筋肉へのグルコースの利用効率が上がることで、高血糖高インスリンを防ぎ、脂肪に蓄えられるリスクが減る。
簡潔にすると、
フィッシュオイルの摂取によってGLUT4が増えると、筋肉を発達させることや、糖からの脂肪合成の抑制が期待できる。
②SREBP1c (Sterol regulatory element-binding protein 1)の抑制
これは脂肪合成に関わる遺伝子の転写因子です。これが抑制されるということは身体において脂肪の合成が抑制されるということです。体脂肪の減少や、中性脂肪の低下が期待できます。
この転写因子が抑制されることは体脂肪がつきにくく、体脂肪が燃えやすい状態になるということ。
フィッシュオイルはこのSREBP1cという転写因子の抑制が期待できます。太りたくない、痩せたいという方は魚の脂肪は積極的に摂りたいところです。
③PPARα (peroxisome proliferator-activated receptor α)の増加
PPAR αは主に肝臓での脂肪の代謝を促進するタンパク質(転写因子)です。PPARαが増加するとペルオキシゾームが増え脂肪のβ酸化が活性化するのです。
これにより中性脂肪の低下や、脂肪合成の抑制、脂肪酸の燃焼および利用といったように脂肪を代謝する能力が高まるということです。
このPPARαというタンパク質(転写因子)は基本的にはカロリー制限や、断食、グリコーゲンの枯渇状態によって増加するのですが、
特定の成分の摂取によっても増加します。
その一つがフィッシュオイル(EPA、DHA)というわけです。ですから脂が乗った魚を食べることはPPARαを増やし脂肪が燃えやすい状態にすることができるというわけです。
④筋タンパク合成を高める
EPAには、
S70-s6k(Ribosomal protein S6 kinase beta-1 :S6K1)やEIF4EBP1(Eukaryotic translation initiation factor 4E-binding protein 1)
といったタンパク質合成酵素を活性化する働きがあります。
普段は栄養摂取によるインスリン分泌を通してmTORが活性化することでこれらの酵素が活性化します。すると筋肉のタンパク質合成が始まりアナボリック状態が作られるわけです。
しかしmTORは癌のような悪性の細胞も成長させる因子です。つまり筋肉を育てたいからといってmTORを好き放題に活性化させてしまうことには問題が生じると言えます。
そこでEPAです。
EPAはmTORを介さず直接p70s6k(タンパク質合成酵素)を活性化させます
まとめると、EPAは筋タンパク質合成を活性化する。つまり筋肉の発達に魚の脂肪が大いに貢献するということ。
しかしEPA、DHAは多価不飽和脂肪酸でとても酸化しやすい脂肪酸です。新鮮な状態の魚を選び、加熱しすぎないよう注意しましょう。
今回のまとめ
魚の脂肪酸は摂るべき。なぜなら筋の成長にも、体脂肪の燃焼にも大きく貢献するから。