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「最近よく思うんだよ。俺って自分以外の人に影響されてばっかりだなあって。うち、親が結構真…
「それで……」有馬は口ごもった。「いいや。なんかよく分かんない」 「ふうん」 二人はしば…
「君、知り合い?」と警官は少年に声を掛けた。 「違います」と直子が言うのと同時に、有馬は…
警官は自転車を押しながら直子と並んで歩いた。だが直子は相手など初めから存在しないかのよう…
呟きは闇に吸い込まれ、虫の声しか聞こえない。それからどのくらい経っただろうか。何年もの時…
でも、まあいいや。そんなこと、もうどうでもいい。確かに惨めだ、だけど他人がそう思ったから…
つまり、問題は何も起きないということなんだ。何も変わらないというのが問題なんだ。不審者には襲われないし生理も来ない。いつまで経っても私はこんなやせっぽちのままで、高校生には嗤われて、それでも何一つ変わりはしない。 それで私に何ができる? 誰か大人に相談する? それがまっとうな手だろうな。でも言われることは分かってる。「大丈夫、心配しなくても生理はいつか必ず来るから……」(直子は笑った。)心配したことない人だからこそ言える台詞だ。「必ず」から外れる可能性なんて考えたこともなく
直子は走りながら「気を付けて帰ってねー」というふざけた調子の男の声と、手を叩きながら笑う…
「静かにしてもらえませんか」 直子は女に近付くと、影の中に身を置いたまま言った。気持ちは…
直子は、座面を軽く払って腰掛けた。そして辺りの薄暗さに助けられ、いつものように背筋をまっ…
直子の足は自然と駅のほうへ向かった。しかし街では「誰かが見てるゾ!」と勢いのいい字で書か…
家を出たものの、直子に行くあてはなかった。歩くのにはなぜだか妙に苦労した。何度もつまずき…
弥生は驚いて振り返った。 「どうしたの」 「まあ、最初から言っても分からないだろうと思っ…