
人は最も相応しい解を求めがち
「ひよこってフサフサの状態で生まれてきますよね」をキャッチフレーズに発毛効果を謳っている通販番組がありましたが、一瞬なるほど!とガッテンガッテンガッテンって感じなのですが、しばらくして、ん?っとなりませんか。受精卵が発生するメカニズムと発毛メカニズムがごっちゃになっているというか何というか。「STAP細胞あります!」って言われた時も、弱酸性下で細胞を初期化・再分化する、いわゆるSTAP現象は実は体内においても自然にみられる現象であり、筋肉痛などで生じる乳酸が細胞修復するメカニズムを示したものだと説明を受けて確かにと妙に納得してしまいました。
ゴジラマイナスワンで学者が「これが最適解なんです」と口癖のように唱えていました。試験問題で「最も適切なものを選びなさい」とか必ず答えがあるものに対しては有効な考え方かもしれません。しかし、世の中そんなに甘くありません。もっともらしいことがすべて正しいとは限りません。
これらはいずれもカーナビだから大丈夫だろうという典型例で人間の経験則に基づく直感的判断が求められるケースです。最短距離的には合ってるんでしょうけど何か思ってたのと違う、そこじゃないんだよ…みたいな。まるで翻訳機能が直訳すぎて真意が伝わらないような錯覚を起こします。
ちょうどワクチン問題の最中、心疾患と結びつけていたのもある種バイアスなのかもしれませんが、エビデンスが少ない中、不確かな情報で踊らされていたものでした。海岸の岩礁で怪我した人の足がフジツボびっしり事件!という都市伝説、これは傷口からフジツボが侵入したことと岸壁にフジツボがびっしりくっついていることから生まれた話でしょう。人間の免疫力や生命力からして考えにくい事象ですが、ここに例えば"新種の〜"とか実際に得体の知れない何かに感染した人の写真を合わせて添付すると「はい、フェイクニュースの出来上がり」となるわけです。
冤罪事件もそう、巧みに誰かにミスリードされて証拠を固められたら、誰かが描いたシナリオどおりに事が運びます。ん?おかしいなと異を唱える者がいたとしても、なぜかその"もっともらしい"ストーリーに迎合する社会であってはなりませんが、昨今の選挙の在り方などをみているとやや不安になります。民主主義って結構、声の大きい人が勝つイメージがありますから。で、「声なき声に耳を傾ける」とか言うんです、その時は、大きな声で。これもパラドックスでしょうか。