![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145321244/rectangle_large_type_2_d7d6642dfe509f05c4a1108248132e45.png?width=1200)
Photo by
eriko_fukaki
太陽とキャッチボール
硬球軟球
手のひらサイズのものが理想的
白いボールを見るとかられる衝動
転がすよりは投げたくなるその形
手のひらにのせて握れば
確かな感触に身体はうずうず
いてもたっても居られずに見上げた青空
投げるなら壁なんかよりも太陽に向かって
投げてみたいから今日はなんとも理想的
素晴らしい投擲日和
白雲漂う空は青くたおやか
初夏な照り返し太陽の笑い声
背中を伝う汗の玉がくすぐったい
そよぐ風と猛る緑の雑草
振りかぶって力を溜めて
青空に向かって解き放つ
僕の手を離れたボールはみるみる小さくなり
青空の向こうへと吸い込まれていった
太陽が身構えて僕が投げたボールを
ちゃんとその手で受け止めてくれるだろうか
気になるところだ
受け止めてくれたのならば
次は僕が太陽からのボールを受け止める番だ
期待と不安と高鳴る好奇心
太陽とのキャッチボール
夏だからこそ味わえる楽しみの一つ
キラキラ輝く汗の玉は夏を彩る虹の花
笑い声は太陽だけじゃない
僕もまた楽しくて笑っている
太陽から投げ返されたボールを受け取る為に
眩しすぎる夏の空を目を細めて見上げていた
ボールがゆっくりと僕のところに落ちてくる
その瞬間を見逃してはいけないのだ
今頃は僕が投げたボールを受け止めて
投げ返してくれたに違いない
上空で燦々と照り返しを強めて
太陽が楽しそうに笑っている
ボールが今しも僕めがけて落ちてくるに違いない
空は眩しくて白い雲はあまりにも美しい
小さな点がゆっくりと
膨らんできたのが見えた
あれだ!
僕は高鳴る好奇心もそのままに
ボールの落下地点に向かって走り始めた
そうして受け止める為に
腕を伸ばして身構えたんだ