雪の一片を待ち侘びる街
降り出しそうな
でもまだ降らなさそうな
そうであっても
いつ降り出しても
おかしくない雰囲気の空
色彩は綿菓子よりも暗めで
雨雲よりは明るくて
風は冷たくて
時折強く吹き抜けていく
葉っぱを落とした街路樹から
追い剥ぎの様に
さらに何がしかを奪い取ろうと
わさわさとゆすりたてては去っていく
風が吹き抜ける
その瞬間街はパタっと静まり返る
街中の何もかもが
〜車も猫も街灯も自動販売機も
歩行者も看板も空き缶も〜
寒さに身構えて身体を縮こませて
風が吹き去っていくまで
その場でじっと
大人しく耐えて忍んで
風が吹き終わるとおそるおそるあたりを
伺いながら徐々にまた動き出し始める
鼻をすすり見上げるねずみ色の空は
どんより重たく
いまにも沈み落ちてきそうな塩梅だ
でもまだまだどうにか堪えている様子で
街の上空は寒々とした色彩
雪の一片をいまかいまかと
誰しもが待ち侘びている