セミに憧れる
セミのようだが
セミとは違った生き方
憧れる形はセミが理想的なのに
理想通りに生きるのは
なかなかに難しくて
未だに空回ってばかり
夏空にこだまする命の叫び
黒い球体ぶら下げた
音符の連なり
いつだって僕の胸を打つ
僕の人生と言ったら
八十年は生きながらえられるのに
セミとは違った生き方
ただだらだら時間を費やして
一週間を無意味に過ごした果てに
死ぬように眠り続ける休日
気づけば再び月曜日の朝に
立ち戻っているような人生
鳴いたところで誰かが僕の事を
探しに来てくれるわけでも無く
セミのように木の幹にしがみついて
アイデンティティを主張したって
誰も振り向かせられない我が人生
生まれた意味を知りたくても
自分一人ではどうにも難しくて
虫取り網を手に持つ
子どもたちのような存在が
いてくれたのならば生まれた価値を
見出せるというのに僕の心は未だに
誰かを振り向かせるには至っていない
セミのように示したい
僕が僕たらしめる確固たる煌めきを
転がるようにただ一週間を生き抜くだけでは
得られない輝きを僕は手に入れたい
必死に腹の底から叫んでみたら
誰かの好奇心を刺激させられるかな
上手く主張できない心の内を
もう少し勇気を出して叫ぶ事ができたら
振り向かせる事ができるかな
セミに憧れる僕の心の有り様
真似て生きていけば
多少なりとも日々の見え方も
人との付き合い方も変われるのだろうか
分からないが分からないからこそ
輝く理想的な生き方
セミのように必死に愚直に前向きに
諦めずに鳴き続ける力強さは
僕にとって学ぶ事だらけ
セミのように生きていく
七日後には古い自分が死んで
新しい自分に生まれ変わってると信じて
一週間を必死に生きていくのも悪くない