ぐるぐるの記憶
その形は僕が生まれてはじめて描いた形
知らず知らずのうちに無意識にペンを握ったら
描きだしていた形
ぐるぐると無数の輪っか
歪だけどキラキラした輪っかのイメージは
きっとまあるい形をした球体のようなナニか
太陽のようなナニか
お月様のようなナニか
無意識だけれども一番身近な形をしたものを
描こうとした結果、生み出された形
何かしらの意識の働きがなければ
きっと描きはしなかったであろう形
それは初めてペンを握ったあの日から
始まった不思議な感覚
何かを書こうと言う明確なイメージは
なかった筈なのになぜかは分からないが
気づいたら描き出していたぐるぐるしたナニか
球体に対する憧れかはたまた
描きやすいからこその反復からなのか
とにかくぐるぐる
赤いクレヨンでぐるぐる
青いクレヨンでぐるぐる
黄色いクレヨンでぐるぐる
重ねて混ぜてこねくりまわして
生まれた七色なぐるぐるが手を動かすたびに
膨らんでいく
大きくなっていく
浮かび上がっていく
見るのも書くのも楽しくて夢中になって
クレヨンを握りしめていた子どもの頃の僕を
大人たちは上手だねと言って褒めてくれた
画用紙いっぱいに埋め尽くした僕の夢中が
36歳になった今でも忘れられずにいる
染みついた記憶がペンを握るたびに蘇る
自然と動き出すぐるぐると輪っかを描きだす
浮かび上がってくるのは球体のようなナニか
太陽のようなナニか
お月様のようなナニか
あの頃から変わらないイメージ
球体に対する憧れか
喜びの形の表れだからか
心の中には未だに小さな頃の僕が息づいていて
僕の手はそんな子どもの頃の記憶を忘れない様に
大切にする様に線をなぞっていく
ぐるぐると描いていく
輪っかの中にはキラキラした
懐かしさがしっかりと詰まっている
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