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夏の真ん中 太陽の笑い声

ハタハタと団扇で仰いでも

悲しいかなまったく涼しくない

むしろ団扇を握る右手による

運動エネルギーによりさらに際立つ夏の暑さ

吹き出す汗の玉

熱い風しか送られてこない

無常さを嘆いたって

それがたとえ熱い風だろうとも風は風

受ける心の余裕は雲泥の差

とにかくハタハタハタ

やめられない衝動

バタバタバタ

忙しなく動かす悲しみ

重くもったりした空気では

息を吸うのも苦しく感じられる

見上げれば梅雨明け快晴

晴れやかな青空夏の笑い声

クマゼミたちの喜びの歌声

街は夏で埋め尽くされて

呼応するように汗が吹き出してくる

シャツは体に張り付き

ぺたぺたを通り越して

ドロドロとした感触

シャワーが浴びたい

灼熱の球体

降り注ぐギンギラギンな紫外線

肌が痛いくらい

直視したら痛みとともに色彩が失われて

代わりに蠢く緑の不定形

モヤモヤが僕の見ている夏の景色の

いたるところに現れて

ぐにゃぐにゃと動いている

太陽の光によって

僕の視界に産み落とされた

緑のモヤモヤが

消えていくまでの間

僕は動けない

夏の真ん中

さらされるがまま

蓄熱されていく熱量

流れる汗の玉の塩っぱさ

夏の騒がしさが

凶暴な面構えで

光を発して音を発して熱を発して

唸り声をあげている

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