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診察室の扉はいつ開くのだろうか1278日

病院の待合室

小さな声で話す人々

遠くの方で泣いてる子供の声

椅子に座り携帯を見てる人

目を閉じて何かに耐えてる人

パートナーに話しかける人

時折看護師に話しかけては時間を訊ねる人

診察室の扉は閉ざされたまま開く気配はない

それでも扉が開くのを待つ人々が

待合室には溢れている

壁にかけられたテレビを

椅子に腰掛けては虚ろに見上げる人

窓の向こうの青い空に浮かぶ秋の雲

見るとも無く眺める人

扉はまだ開かない

携帯の電池残量が58から57に変わった

背筋を伸ばすとバキバキと関節が軋む

今を生きている事を確かめる人

いつ呼ばれるかも分からないから

どこにも行けず待合室にいる人々は

その時が来るのをじっと耐えて待っている

診察室の扉は閉ざされたまま

一向に開く気配はない

何かが変われば良いのにその気配すらない

平日の朝の気だるい空気感

眠気を誘う空虚感だけが漂う待合室

椅子やソファに身を沈めながら

その時が来るのを根気強く辛抱強く

待っている事しかできない



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