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satok0
噛み締める喜び
オレンジ色の飴玉
表面にざらついた砂糖が
まぶされた大粒の球体
口に含んでカラコロカラコロ
幸せを奥歯で噛み締めたら
ばきっと音を立てて
右頬でカラコロ
左頬でカラコロ
幸せが二倍になった
僕の口の中は二倍の幸せに膨らんだ
飴玉のかろかやな音色でぱんぱんだ
甘い砂糖が溶け出して
柑橘系の甘酸っぱさと
相まって堪らない幸せ
転がるオレンジ色の球体
心ゆくまで味わって
舐めていたいのについつい歯でかじって
割ってしまう僕はあぁなんて贅沢者
なんて勿体無い事をしてるのだろう、
とは思うものの背徳的で甘美な音色が
聞きたくてついつい噛み締めてしまう
だけども細かくなっていくのは
それはそれで悲しいものがある
そうなのだ
一つでは満たされないのだ
もう一つ
せめてもう一つ
舐めたい
奏でたい
噛み締めたい
欲求に対する衝動をふりほどけずに
未練たらしくも図々しく
ついつい手を伸ばして
もう一袋
もう一粒
口の中の飴玉を食べ切る前に
新たな甘美な音色に酔いしれる
カラコロカラコロ
球体の引力
魅惑的な魅力
引き寄せられた僕の
口の中いっぱいに
広がる甘酸っぱい幸せ
音を味わい
甘味に酔いしれて
噛み砕く気持ち良さに
夢中にさせてくれる
球体の神秘性に
僕の口内はただいま絶賛
幸せ満杯だ