短編小説 函館編【2】
異国情緒と坂道
悠馬は朝市を後にして、坂道が多いことで有名な函館の街を歩き始めた。坂道を上りながら振り返ると、遠くに広がる海と港が目に入る。青空の下、静かに広がる景色は、どこか異国の地に足を踏み入れたような錯覚を与えた。石畳の路地と、古い建物が並ぶ街並みには、他の町にはない雰囲気が漂っている。
悠馬は観光客が多いエリアを抜け、小さな路地に入り込んでいった。そこには、明治時代から続くという古びた教会があり、ひっそりと佇んでいた。白い壁と赤い屋根が特徴的なその教会は、時の流れと