#246「ビジネス頭の体操」 今週後半のケーススタディ(3月18日〜3月19日分)
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。
→部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。
3月18日(木) 駅ホームの点字ブロックは一工夫されている。
岡山県視覚障害者協会が2010年に制定した「点字ブロックの日」です。
1967年のこの日、岡山県岡山市の岡山盲学校の近くの国道2号・原尾島交差点に世界初の点字ブロックが敷設されたそうです。
点字ブロック。
誕生から50年以上経つんですね。しかも日本生まれだそうで、それも驚きました。
点字ブロック、正確には「視覚障害者誘導用ブロック」といいます。
全国に広がる過程で、様々なブロックが製造され視覚障害者から統一を望む声が上がったことから、日本工業規格(JIS)が2001(平成13)年に点字ブロックの規格を決めました。
点字ブロックには、2種類あります。
☑️ 誘導ブロック(線状ブロック)
進行方向を示すブロックです。視覚障害者がブロックの突起を足裏、あるいは白杖で確認しながら突起の方向に従って進むことができるように設置されるものです。
☑️ 警告ブロック(点状ブロック)
危険箇所や誘導対象施設等の位置を示すブロックです。階段前、横断歩道前、誘導ブロックが交差する分岐点、案内板の前、駅のホームの端等に設置されるものです。
(以上、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合HPより)
様々なところに設置されている点字ブロックですが、今回は駅についてみていきます。
その理由ですが、駅のホームでの転落・電車との接触事故が絶えないためです。
例えば、2019年には63名の方が転落・接触事故にあい、うち4名の方がお亡くなりになっています。以下のデータを見ても、毎年のようにお亡くなりになる方がいることが分かります(出典:NHK解説委員室HP)。
最も有効な対策はホームドアですが、コストも時間もかかります。
現場の進捗率は全国では9%にあたる855駅に、優先的に設置するとした1日10万人以上の駅に限ると54%にあたる153駅に設置されているそうです。
もう1つの対策が、先程の点字ブロックの3つ目の種類、「内方線つき点字ブロック」の設置で、これは1万人以上の駅にはほぼ設置が完了しています。
この3つ目の点字ブロックは、これまで、駅のホームの端には警告ブロックが設置されていました。しかし、視覚障害者の方にとっては、警告ブロックのどちら側が線路なのかがはっきりしなくなってしまう場合があり、結果、ホーム側と思って進んだところ、線路側に進んでしまい、転落してしまった、というケースがあることを受けて改良されたものです。
さらに、最近では新しい技術で解決しようという試みもされていて、AIカメラによるホーム縁端歩行注意喚起システムや、白杖にセンサーを、ホーム端などの危険な箇所に発信機を埋め込むことで、白杖の振動などで危険を知らせるシステム、などの活用が検討されています(以下の国土交通省のHPで具体的な説明がご覧になれます)。
なお、こうした点字ブロック、車椅子の方にとっては、車輪の方向が変わることで操作が難しくなったり、高齢者にとってはつまづく原因になったり、という面もあり、立場が変わると難しい問題であることも触れておきます。
最後に、ちょっとそれますが、駅のホームドアを整備する理由は視覚障害者に限らず、ホームからの転落事故が多いことがあります。国土交通省の資料によると2019年のホームからの転落件数は2,887件にもなります(下図)。
この原因ですが、最も多いのは「酔客」つまり酔っ払って、なのです(下図)。
→点字ブロック、なぜ日本でこれだけ普及したのだろうか?
3月19日(金) 日本の音楽マーケットはガラパゴス!?
音楽関係者の労働団体・日本音楽家ユニオンが1991(平成3)年に制定した「ミュージックの日」です。
「ミュー(3)ジック(19)」の語呂合せから。
ミュージック。音楽。
そういえば、最近CDとか売れているんでしょうか?そもそもCDなの?ということで音楽の市場について調べてみました。
まず、世界から。
国際レコード産業連盟(IFPI)の全世界での音楽市場売上レポートによると、2019年は前年から8.2%成長し、202億ドル(約2兆1,530億円)となりました。
特に、音楽ストリーミングの売上が22.9%増の114億ドル(約1兆2,150億円)と、急激に伸び、初めて全体の半分を超えました。
中でもSpotifyやApple Music、Amazon Music などのサブスクリプションの利用者の増加が顕著です。サブスクリプション型音楽ストリーミングの有料会員数は全世界で3億4,100万人と前年から33.5%も増加しました。
一方で、CDなどの物理的な媒体売上は5.3%減少し、44億ドル(約4,688億円)となっています。
つまり、世界的には、音楽配信、中でもサブスクリプション型が主で、CDなどの売上はその3割程度に留まるのが現状です。
世界の大きな流れは、CD時代から見ると、
CD→iTunseなどのダウンロード型サービス→サブスクリプション型サービス
と変遷しており、購入単位が「アルバム単位」→「1曲単位」→「無制限(音楽を聴くことそのもの)」へと変わっていることが分かります。
次に日本を見てみましょう。
一般社団法人日本レコード協会の「日本のレコード産業2020」によると、2019年の音楽関連売上は前年比2%減の2,998億円となっています。
別の出典になりますが、みずほ銀行の業界レポートに1952年から2013年の長期間のデータもご紹介します。ピーク時は6,000億円市場だったことが分かります。
全世界が伸びている中で、日本が減少している要因はその商品構成にあります。
世界と比べると、いわゆるCDやブルーレイなどの「音楽ソフト」の割合が圧倒的に多いのです。もちろん、サブスクリプションも伸びているのですが、全体に占める割合はまだ少なくなっていることがわかります。
なぜ日本だけ物理的な媒体での音楽ソフトのシェアが高いのでしょうか?
これは、いわゆる、「特典付音楽ソフト」の存在によるものです。握手券とか、同じCDでも特典が異なるものが複数(例えばポスターが付いているもの、特典映像が入ったDVDが付いているもの、グッズが付いているもの、など)あるもの、などで、1種類の音楽ソフトでもファンが複数購入したくなるようなマーケティングをしていることによるものです。
この評価は、マーケティングの努力と評価するか、「おまけ」で売ることが常態化し、音楽そのものの価値を低下させたと評価するか、分かれるところです。
いずれにしても、世界的にみてアメリカに次ぐ2位の大きなマーケットですが、かなり特殊なマーケットなのです。
そうした音楽ソフトの原価構成という資料がありましたのでご紹介ます。これは通常のものですから、先程の特典付であれば、価格が高くなりますので、おそらく収益はさらに高くなると思われます(出典:みずほ銀行「音楽産業」)。
最後に、今後日本でも主流となるであろうストリーミング型サービスの歴史(?)が非常にコンパクトにまとまったものが日本レコード協会の機関紙「THE ROCODE」にありましたのでご紹介します。
→サブスクリプションの普及は、コンテンツを供給するアーティスト(と版権を持つレコード会社)の合意が必要だ。どれだけ聞いても毎月一定額しか支払われないサブスクリプションになぜアーティストは同意したのだろうか?どのようなメリットがあるのだろうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
一つでも頭の体操になるものがあれば嬉しいです。
昨年7月から同様の投稿をしています。かなり溜まってきました。
へぇ〜というものが必ずあると思いますのでご興味とお時間があれば過去分もご覧ください。