
【詩】夜に聞いていた音
音楽が流れた
ぼくの棚に置いてある
ラジカセより
空にはまだ少し
青が残っている
夕方はやがて
夜を呼び、
人々はひと時のくつろぎに
心の羽根を休める
目を閉じて
みんなの呼吸に
耳をすました
なにかが流れている
あ、ぼくは
音楽を聞いて
いたんだった
他の音も
聞こえている
ほら、あの呼吸
う〜ん、
いびきというやつだな
このまま眠る時間が
きたのなら
ぼくは言うだろう
「ねたくないよ」
ぼくが起きていたいのは
べつにあの子のいびきを
聞きたいというわけじゃない
夜深く、静けさに
浸れるから
よし、あの子を
起こしてしまおう
だっていびきが
うるさいからさ
こうして二人は
夜の空気に聞き耳を立て
朝を待つのだ
そういえば音楽は
自然に止まっていたね