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【無料】日中首脳会談を徹底解剖!|政治初心者の教科書

※文字数が30,000字を超えています(文庫本の1/4程度)ので、ぜひスキ(♡)によるブックマークや目次をご活用ください。

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11月16日、APEC 首脳会議に出席するため米国・サンフランシスコを訪問中の岸田首相は、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った。

(https://x.com/kishida230/status/1725413844296909127?s=20)より引用

現地時間11月16日17時40分(日本時間17日10時40分)から、APEC 首脳会議に出席するため米国・サンフランシスコを訪問中の岸田内閣総理大臣は、習近平中国国家主席と首脳会談(約65分、同時通訳)を行ったところ、概要以下のとおり。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用

本記事では、この日中首脳会談について、保守・右派の立場から解説しようと思う。

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「媚中の弱腰メガネ岸田文雄!日本の恥!」と吹き上がる謎の限界ネトウヨ勢力がいるが、会談の内容を見れば、それが単なる妄想に過ぎないことがわかる。

私は保守・右翼の立場として、岸田首相を支持する。

外務省発表のページを読むに、岸田首相は以下の8つを中国に突きつけたと理解できるのだ。

①尖閣諸島・東シナ海情勢について深刻な懸念
②日本のEEZに設置されたブイの即時撤去
③中露連携含む軍事活動の活発化等への深刻な懸念
④台湾海峡の平和と安定が極めて重要である旨強調
⑤我が国の台湾に関する立場に一切の変更はない
⑥中国における邦人拘束事案について、早期解放
⑦処理水放出に科学的根拠に基づく冷静な対応要求
⑧日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて要求

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より抜粋・要約

しかし、このように要点を挙げた場合においても、まるでアベガーの亜種「キシダガー」は納得しない。

なぜならば、キシダガーは根拠に裏付けされ、またそのリンクも添付されている主張であっても、リンク先の情報すら確認しようとしないからだ。

一次情報のリンクを貼っているChumさんのポストにも、
やはりキシダガーが湧く。
(https://x.com/ca970008f4/status/1725424330719560060?s=20)より引用

私はキシダガーに期待などしていない。

安倍政権時代、アベガーになにかを期待できただろうか?

キシダガーは永遠に脳内妄想を繰り広げ、そこに閉じこもっていればよいのだが、「正常な判断力はあるが、情報の精査に手が回っていない」という方が、キシダガーに騙されることがあってはならない。

そのため、私は筆を執った。

本記事では、以下の目次に沿って日中首脳会談を解説する。


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①尖閣諸島・東シナ海情勢

外務省のページには、以下のようにある。

岸田総理大臣から、5月の日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始を歓迎しつつ、安全保障分野における意思疎通の重要性を述べた。また、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念を改めて表明し、日本のEEZに設置されたブイの即時撤去を求めた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

外務省発表にある「日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始」とは、以下を指す。

>日中防衛当局間ホットライン

「日中防衛当局間ホットライン」とは、日中の防衛当局どうしが直接連絡を取り合う仕組みを指す。

設置は2023年3月1日だが、5月16日に16時30分から約20分間、浜田防衛大臣が李尚福中国国防部長と初回の通話を実施した(防衛省発表)ため、外務省発表の「5月」はこの件を指していると考えられる。

この仕組みは、自衛隊と中国人民解放軍の偶発的な衝突を防ぐために設置されたものであり、決して "友和の証" などではなく、『緊張感の高まり』を表していると言えよう。

台湾・尖閣有事を目論む中国政府にとっても、その有事対応を念頭に置く日本政府にとっても、偶発的な軍事的衝突による有事開始は望むものではない。

可能な限り有事を避けたい日本にとってはもちろんのこと、準備を万全に整えて戦争に臨みたい中国にとっても、それは避けたい事態なのだ。

そのため、お互いに情報を交換できる状態にしておき、"すれ違い" が起きないようにしている。

それがこの「ホットライン」なのである。

5月16日の初回通話では、日中の両大臣が、ホットラインを含む「日中海空連絡メカニズム」が、日中間の信頼醸成及び不測事態の回避といった重要な役割を担っていること、今後、ホットラインを適切かつ確実に運用していくことを確認している(防衛省発表)

そのうえで、浜田防衛大臣(当時)が、東シナ海情勢等の日中間における安全保障上の懸念の存在について言及している(防衛省発表)

中国による領海侵犯

このホットラインが象徴するように、日中間の緊張は大きく高まっており、その原因は中国にある。

東シナ海における中国の暴挙をまとめているとキリがないが、対日本に対する横暴のみに絞っても、以下のような惨状であるのだ。

尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処|海上保安庁
(https://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html)より、
「中国海警局に所属する船舶等による尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵入隻数(日毎) (平成24年9月以降)」の画像を引用

上記のグラフでは青い折れ線グラフが接続水域内確認隻数を指し、赤い棒グラフが領海侵入延隻数を指す。


領海……領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域で、沿岸国の主権は、領海に及びます。ただし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有します。
接続水域……領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く。)で、沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。

領海等に関する用語|海上保安庁海洋情報部
(https://www1.kaiho.mlit.go.jp/ryokai/zyoho/msk_idx.html)より引用
(太字は國神による)

そして、2023年11月の状況は、21日時点で接続水域入域が21日(76隻)、領海侵入が6日(19隻)となっている(海上保安庁発表)  2023年10月は接続水域入域が31日(108隻)、領海侵入が3日(8隻)(海上保安庁発表)  

これが海の現状だ。

そして、日中の間には海のみならず、空がある。

領空侵犯およびスクランブル発進

2022年度の緊急発進(スクランブル発進)回数は778回であり、推定を含め、緊急発進回数の対象国・地域別の割合は、中国機約74%、ロシア機約19%、 その他約7%だった(防衛省統合幕僚監部発表)

台湾・尖閣諸島を中心として、
中国機の動きは活発化している。
(https://www.mod.go.jp/js/pdf/2023/p20230418_02.pdf)より引用

上記の画像からもわかる通り、近年、中国機の活動範囲は東シナ海のみではなくなり、太平洋や日本海にも拡大している。

そして、2013年度以降、年度全体のスクランブル発進回数は700回を超え続けている(防衛省統合幕僚監部発表)

>緊急発進(スクランブル発進)とは

空自は、わが国周辺を飛行する航空機を警戒管制レーダーや早期警戒管制機などにより探知・識別し、領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合には、戦闘機などを緊急発進(スクランブル)させ、その航空機の状況を確認し、必要に応じてその行動を監視している。さらに、この航空機が実際に領空を侵犯した場合には、退去の警告などを行っている。

令和5年版防衛白書第III部
防衛目標を実現するための3つのアプローチ
第1章 わが国自身の防衛体制
第3節 力による一方的な現状変更やその試みへの対応
2 わが国の主権を侵害する行為に対する措置
1 領空侵犯に備えた警戒と緊急発進(スクランブル)
(http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2023/html/n310302000.html)より引用

つまり、スクランブル発進とは「領空侵犯の恐れのある航空機に対して自衛隊機が緊急的に発進し、行動を監視、警告などを行うこと」を言うのである。

【結論】

日中間における尖閣諸島・東シナ海の情勢には、このように多くの、そして大きな問題が存在する。

これに、日本側は可能な限りの対応をしたうえで、岸田首相は首脳会談という公の場で、「尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念」を改めて表明したのである。

「口先だけ」と言うキシダガーもいるが、ではこれ以上どうしろと言うのだろうか。

おそらく「領空侵犯機を撃墜、領海侵犯船を撃沈せしめよ」と言うのだろう。

私も感情的にはまったくの同意見だが、今、この情勢下において先に直接的な武力を行使することは悪手でしかない。

そのため、独立・主権国家としてスクランブル発進等の対応を継続すると共に、世界が注目する「日中首脳会談」という、公で対外的な場において、中国による横暴を指摘し続けるのが最善であると言えよう。

②日本のEEZに設置された中国ブイ

外務省発表には、以下のようにある。

岸田総理大臣から、5月の日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始を歓迎しつつ、安全保障分野における意思疎通の重要性を述べた。また、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念を改めて表明し、日本のEEZに設置されたブイの即時撤去を求めた

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)


EEZとは……排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)とは、漁業をしたり、石油などの天然資源を掘ほったり、科学的な調査を行ったりという活動を、他の国に邪魔されずに自由に行うことができる水域です。海に面している国は、自分の海(領海)の外側に決められた幅を超えない範囲で排他的経済水域を設定することができます。海に面している国は、これらの活動を行うほかは、排他的経済水域を独り占めしてはならないことになっています。たとえば、他の国の船が通ったり、飛行機が上空を飛とんだり、他の国が海底にパイプラインを作ったりすることを禁止することはできません。

(キッズ外務省)ちょっと知りたい言葉の意味!
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/q_a/imi.html)より引用

この「日本のEEZに設置されたブイ」とは以下のものを指す。

松野博一官房長官は19日の記者会見で、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で新たに海上ブイを設置したことが確認されたと明らかにした。政府は中国側に抗議し、ブイの即時撤去を求めた。松野氏は「EEZでわが国の同意なく構築物を設置することは国連海洋法条約上の関連規定に反する」と批判した。

中国、日本のEEZ内に海上ブイ設置 松野長官明らかに
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230919-ZJEI3ZJLSBK2RKIKVKVSIIF6H4/)より引用

この中国ブイには「中国海洋観測浮標QF212」とあり、明確な目的は判明していないが、気象観測や、軍事目的で海中データ収集を行っているのではないかとされている。

岸田首相はこの不法なブイの撤去を中国側に求めたわけだが、国内では「なぜ撤去しないのか」という声もある。

これについては、高市早苗経済安保大臣がわかりやすく解説してくださっているので、そちらを引用しようと思う。

高市大臣による説明

高市大臣のYouTube動画によると、以下の通り。

・2023年7月、海上保安庁が日本のEEZ内にブイを発見
・同15日、海上保安庁が航行警報を発令(船舶の安全確保)
・他国のEEZ内に無許可で構造物の設置は不可(国際海洋法条約)
・日本政府は中国政府にブイの即時撤去を要請
・条約上、違法設置物の撤去が適法か確認中(撤去の条文がない)

【高市早苗に聞く】即時撤去を求める、中国のブイ問題
(https://youtu.be/4AAh84OuJ7A?si=MF-7D_ewCzWmVUOe)より抜粋・要約

【結論】

「①尖閣諸島・東シナ海情勢」の【結論】において述べたことにも通ずるが、今、日本は安易にブイを撤去するべきではない。

EEZ(排他的経済水域)内へのブイ設置は明確な国際海洋法条約違反であり、また日本の主権を軽視し害する行為に他ならないので、設置はもちろん、その放置も是とはできない。

これは大前提だ。

しかし、条約上の根拠が不明瞭な状態(=撤去後、予想される中国の外交戦に明確な反論ができない状態)で、安易に撤去へ踏み切ることも、これまた是とできないのである。

今、日本は有事対策に最大限のリソースを注ぎ込むべきであって、無用な争い、外交戦にリソースを割くべきではない。

また、「理はこちらにある」としても、反論根拠が不明確な状態では、外交戦に敗北する可能性だって大いにある  理がこちらにある従軍慰安婦・徴用工強制連行の歴史戦で押し負けて来たことを忘れてはならない  

そのため、今は慎重に条約の確認を行うと共に中国へ撤去を要請すること、即ち岸田政権の行動そのものが正解であると言えるのだ。

P.S. 安倍政権下における中国ブイ

岸田政権の中国ブイに対する姿勢を非難するキシダガーの中には、「安倍さんが生きていたら……」とする者が少なからず存在する。

では、安倍政権下における中国ブイの対応はどうなっていたのだろうか。

少なくとも2013、2016年、2018年にも中国による海洋ブイの設置(EEZ内)は確認されているが、いずれも日本側によって撤去された事実はない。

中国が平成25年、28年にも日本の排他的経済水域(EEZ)でアンテ ナを多数備え付けたブイを設置し、同じ条約違反活動を何度も繰り返してい ることは尖閣諸島を行政区域としている当市議会として看過できない。

尖閣諸島周辺海域における中国によるブイ設置に対する抗議と 即時撤去を求める要請決議
|石垣市議会(平成30年10月17日)
(https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/material/files/group/33/10-g19-y.pdf)より引用

そして当然ながら、2013年、2016年、2018年と、時の政権はすべて安倍政権である。

私は安倍晋三支持者であるが、いや、あるが故に、事実を歪曲し、「安倍さんが生きていたら……」と妄想を垂れ流して岸田政権を攻撃する行為を許すわけにいかない。

P.S. ブイ撤去のキシダ

皆が「弱腰媚中の検討メガネ」と岸田首相を揶揄しているなか、私は首相を「武闘派広島ヤクザ」と呼んできたのだが、武闘派ヤクザがEEZ内への無断ブイ設置を是とするはずがないのだ。

岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に中国当局が設置した大型ブイに関し、「ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応を関係省庁で連携して検討していく」と語り、撤去に踏み切る可能性に言及した。

岸田首相、尖閣周辺の中国のブイ「撤去も含め検討」
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231122-XZNGNKN2KJOXJJEA4PKYBXA4RY/)より引用

岸田政権は「無断設置ブイの放置」を是としているわけではなく、あくまで「撤去するための根拠確認」を行っているに過ぎない。

>武闘派広島ヤクザの岸田文雄

前節において岸田首相を「武闘派広島ヤクザ」としたところだが、その理由は以下にある。

対中国包囲網を拡大・強化し、タカ派もびっくりな強硬姿勢を崩さず、戦後類を見ない抜本的な防衛力の強化を行っている岸田首相(広島選挙区)は、まさしく「武闘派広島ヤクザ」と言えるだろう。

・防衛費GDP比2%以上へ
・新安全保障戦略を策定(反撃能力の保有を明示)
・防衛三文書で中国を名指し批判
・トマホーク500発の購入、前倒し
・陸上自衛隊第15旅団(沖縄)を「師団」に格上げ、普通科連隊を倍増し、3000人規模を展開予定
・国産弾薬工場を建設方針
・自衛隊員の血液保管へ
・日英伊での戦闘機共同開発
・イギリスと安全保障協定を結ぶ(日英同盟の事実上の復活)
・オーストラリアと安全保障宣言を発表(日豪準同盟)
・フィリピンにレーダー納入(我が国初の完成装備品移転)
・日比準同盟へ向け議論開始
・現役防衛省職員を台湾に常駐体制へ
・国際会議の場で中国を名指し批判
・NATO首脳会議に参加(日本の総理大臣で初)
・過去最多の憲法審査会開催
・韓国との急激な接近
・AUKUS(米英豪の安全保障枠組み)に参加を示唆

岸田政権による安全保障への取り組みの一部

③軍事活動の活発化

外務省発表には、以下のようにある。

また、ロシアとの連携を含む中国による我が国周辺での軍事活動の活発化等についても深刻な懸念を改めて表明した。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用

「我が国周辺での軍事活動の活発化」については、「①尖閣諸島・東シナ海情勢」や「②日本のEEZに設置された中国ブイ」で触れた内容、また台湾への圧力や日本EEZ内へのミサイル着弾なども含まれることだろう。

そして①、②と異なるのが、「ロシアとの連携を含む」という点だ。

>日本EEZ内へのミサイル着弾

記憶にない方もいらっしゃるかと思うが、昨年の8月、中国が発射したミサイル5発が日本のEEZ内に着弾している。

中国は、本日15時頃から16時過ぎにかけて9発の弾道ミサイルを発射した模様です。そのうち5発が我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定されます。

中国弾道ミサイル発射について|防衛省
(https://www.mod.go.jp/j/press/news/2022/08/04d.html)より引用

そしてこのミサイルは沖縄県の与那国島から数十kmの近海に着弾しており、「与那国への攻撃(即ち日本領土への攻撃)を想定した訓練ではないか」と分析する向きもある。

中国が4日に台湾周辺海域に発射した弾道ミサイルのうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した問題で、中国軍の目標が沖縄・与那国島のレーダーなど日本への攻撃を想定したものだと台湾当局が分析していることが5日、分かった。

<独自>中国のEEZ落下弾は日本攻撃を想定
台湾当局が分析、与那国島など目標|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20220805-AUATBO6E3VKYFMEGEKP4BTACBU/)より引用

中露の連携

2022年2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始し、未だロシアによるウクライナ侵略戦争が継続されているのは、世界的に周知の事実となっている。

これに対し我が国は、「力による一方的な現状変更」を許さず、ロシアの行為を非難する立場を明確にしている。

しかし、中国は我が国および西側諸国と立場を同じくせず、「客観的かつ公正な立場」を主張しつつも、以下のような親露的言動をくり返している。

・露宇戦争の原因は西側諸国の「冷戦思考」にある旨を主張
・安全保障における露の合理的な懸念を理解するとの見解
・対露制裁や欧米諸国によるウクライナへの装備供与を批判
・互いの核心的利益にかかわる問題への強力な支持を表明
・習近平国家主席が訪露しプーチン大統領と会談、共同声明
・ウクライナとの対話を再開する用意のロシアを肯定的に評価
・国連安保理を経ない制裁に反対(安保理は露の拒否権で機能不全)

令和5年版防衛白書を参考

私の過去記事でも、日宇会談の裏で中露会談が行われており、新枢軸国の主要メンバーと新連合国の主要メンバーが明らかとなったことに触れている。

上記の記事でも引用したが、この対比画像は強烈だろう。

(https://x.com/uamemesforces/status/1638255223842959408?s=20)より引用

そのうえで、中国は実際に、ロシアへ軍事的な協力をしているものとして考えられている。

【ワシントン=時事】米情報機関を統括する国家情報長官室は27日公表された報告書で、「中国はおそらく、ロシアに軍事転用が可能な物品を供与している」と指摘した。ロシアのウクライナ侵攻以降、西側諸国は中国にロシアへの武器支援をしないよう要求しており、中国も武器の提供を否定している。

中国、ロシアに軍事転用可能な物品供与か 米情報当局
|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR287QM0Y3A720C2000000/)より引用

【ワシントン=時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、昨年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、中国がロシアに総額1200万ドル(約16億円)以上の無人機とその部品を供与したと報じた。ロシアは無人機を使ってウクライナの重要インフラなどを攻撃しており、欧米などから対中批判が強まる可能性がある。

中国がロシアに無人機16億円分供与 侵攻以降、米紙報道
|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221LX0S3A320C2000000/)より引用

【ワシントン共同】ロシアが侵攻したウクライナの戦場で中国製弾薬の使用を米政府が確認したことが18日分かった。ロシア側が使用したとみている。米政府当局者が明らかにした。中国が供与したのかなど入手経路は不明。中国製を使用する第三国経由の可能性もあり、米政府は分析を進める。

ロシア、中国製弾薬を使用か|REUTERS
(https://jp.reuters.com/article/idJP2023031801001053)より引用

中露協力の姿勢については情報戦の真っ只中でもあり、情報の精査は非常に難しいのだが、少なくとも中国はロシア寄りの姿勢を堅持しており、また西側諸国は中露が密接な関係にあると見ていることは事実である。

そのうえで、以下は言い逃れのできない事実であり、中露が密接な関係にあることを明確に示す事項と言える。

(https://www.mod.go.jp/j/surround/pdf/rus_ch_coop_202305.pdf)より引用

【結論】

力による現状変更を認めることは、台湾有事(=力による現状変更)を容認し、発生の確率を高める行為にほかならない。

そのため、日本政府(岸田政権)はウクライナと協力、ロシアを非難して制裁を課し、そのうえで連携する中国に深刻な懸念を改めて表明、国際社会へ日本の立場を明確にしているのだ。

④台湾海峡の平和と安定

外務省発表には、以下のようにある。

また、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である旨改めて強調するとともに、(先方から台湾に関する立場を述べたのに対し、)我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない旨述べた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

ここで今一度、「台湾有事」について掘り下げておこう。

>台湾有事

台湾と中国の歴史を簡単に説明すると、以下のようになる。

過去、日本と支那(現在の中国領)が支那事変日中戦争を戦っていたころ、支那では中国国民党が政権を握っていた(中華民国)。

その後、中国共産党(現在の中国政府)との内戦に敗れ、国民党が日本の併合が解除された台湾へ逃亡、台湾を中華民国領とする。

そして中国共産党が大陸領土を制圧、中華人民共和国(現在の中国)を建国したため、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の構図が誕生した。

中華人民共和国は台湾も統一しようと武力侵攻に着手するも、軍事力の問題から断念。

ただし、「台湾は元々中国の領土である」として、必ず統一するとの主張を続けている(「一つの中国」論)。

その後、台湾の政府は中国国民党ではなくなっていくが、中華人民共和国と台湾が存在する、「二つの中国」の状況は現在まで変わっていない。

そして近年、中華人民共和国が力をつけ、武力を行使してでも台湾を統一する構えを見せるようになったのだ。

習近平国家主席は、2013年、国際会議の場において「長期にわたる政治対立を次の世代へ引き継ぐわけにはいかない」と発言、自身の統治時代に台湾統一の意向を示す。

そして2022年、「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せずあらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べた。

この「 "一つの中国" を主張する中華人民共和国が、台湾を武力で統一しようとする侵略戦争」を『台湾有事』と呼び、近年、その発生の可能性が高まっているとされているのだ。

アメリカの"あいまい戦略"

この台湾有事は、せいぜい中華人民共和国・台湾・日本・朝鮮半島程度にしか影響を及ぼさないようにも見えるが、なぜかアメリカをはじめとする西側諸国が出張ってきている。

これは、世界の勢力図を考えるとわかりやすい。

現状として、世界の覇権・主導権を握っているのはどこだろうか。

これは明らかにアメリカである。

そして、そのアメリカに西側諸国(主に白人諸国)が追従している形だ。

そのアメリカの覇権に、「我が中国こそが世界の "中" 心の "国" である(中華思想)」とする中華人民共和国が挑戦しようとしている。

ここで、中華人民共和国付近の地図を見てみよう。

「逆さ地図」で見る、中国にとって邪魔な日本
|東洋経済ONLINE
(https://toyokeizai.net/articles/-/70361)より引用

これは「逆さ地図」と呼ばれ、中華人民共和国付近の地図を上下反転させたものである。

アメリカは太平洋の覇権を握っており、中華人民共和国がこれに挑戦するには、地理的に自国を閉じ込める形となるフィリピン、台湾、尖閣諸島、沖縄を突破する必要がある。

反対に言えば、アメリカはこのフィリピン~沖縄の「中国封じ込めライン」を死守せねばならないのだ。

よってアメリカは、中国が台湾へ武力行使した場合の対応を明確にせず、あいまいな立場をとることで、中国の行動を抑止する戦略をとっている。

これを「あいまい戦略(戦略的曖昧さ)」と言う。

アメリカは中華人民共和国と国交を結び、「一つの中国」の主張を認識する(acknowledge)が、その一方で「台湾関係法」(1979年4月10日制定)を制定・維持している。

この台湾関係法は、「平和手段以外で台湾の将来を決定しようとする試みは、いかなるものであれ、地域の平和と安全に対する脅威である」とし、自衛のための兵器を台湾に供給することや、台湾に危害を加える行為に対抗しうるアメリカの能力を維持することを定めている。

ただし、アメリカによる台湾の防衛義務は定められていない。

このような "曖昧さ" を維持することにより、「アメリカは軍事介入するかも知れないしぃ、しないかも知れないよぉ?」とし、中国による台湾侵攻、そして台湾が独立を目指し緊張を高める事態を抑止しているのだ。

逆さ地図と第一列島線、第二列島線

先ほどの「逆さ地図」によって、フィリピン~沖縄が中国を閉じ込めているとわかった。

そして、中国はこの「中国封じ込めライン」に対し、「第一列島線」と「第二列島線」を設定している。

「逆さ地図」で見る、中国にとって邪魔な日本
|東洋経済ONLINE
(https://toyokeizai.net/articles/-/70361?page=3)より引用

南シナ海からフィリピン、台湾、尖閣諸島、沖縄を「第一列島線」とし、日本から小笠原諸島、グアムを「第二列島線」とした。

中国はまず第一列島線内の制海権を確保し、その後に第二列島線内の制海権を確保、そうして太平洋へと進出することを目論んでいる。

この第一列島線と第二列島線は我が国にも大きくかかわる考え方であり、そろそろ国民の間で共有せねばならない時期に来ていると思う。

【結論】

このように、中華人民共和国は歴史的にも別存在(中華人民共和国が台湾を実行支配した歴史はない)である台湾の存立を脅かし、また周辺諸国にも牙を剝いている状態なのだ。

台湾海峡の平和と安定が崩れることは、関係諸国の安全のみならず、世界の秩序すら崩壊させてしまうことを意味する。

そのため、日本政府(岸田政権)は「台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である」とし、中国に自制を求め、かつ日本の立場を明確にしているのである。

⑤我が国の台湾に関する立場

外務省発表には、以下のようにある。

また、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である旨改めて強調するとともに、(先方から台湾に関する立場を述べたのに対し、)我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない旨述べた

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

>日中共同声明

日中共同声明において、明確に台湾に触れているのは第三項。

三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html)より引用

これは一般に、以下のように解される。

日本は「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場を「十分理解し、尊重する」が、この主張を「承認」するものではない。

そして「ポツダム宣言第八項に基づく立場」とは、以下のカイロ宣言における領土条項の履行を指す。

右同盟国の目的は日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り日本国は又暴力及貪欲に依り日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし

カイロ宣言|外務省
(https://www8.cao.go.jp/hoppo/shiryou/pdf/gaikou06.pdf)より引用
(太字は國神による。)

「中華民国」はカイロ宣言当時の中国であり(④台湾海峡の平和と安定 >台湾有事 参照)、日中共同声明第ニ項において、日本は中華民国に代わり、中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府であることを承認」した。

よって、カイロ宣言の「中華民国」は「中華人民共和国」と読み替えるのが一般的だ。

そのため、日本は「台湾および澎湖諸島の中華人民共和国への返還」を受け入れることとなる。

この「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」というのは、前段のみで中国が納得しなかった場合の第ニ案であったという  そして案の定、この第二案を採用することとなった  

※「中国が前段のみで納得しなかった」ということが、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し」が「承認」を意味しないことを証明している。

また、「④台湾海峡の平和と安定」のアメリカの "あいまい戦略" からもわかる通り、アメリカは中国の主張をacknowledge認識するに留めており、当時の日本がアメリカよりも踏み出すことは有り得なかったため、日中双方の落としどころがここで限界だったのだろう。

ここで留意が必要なのが、「台湾の最終的地位は未解決である」ということだ。

「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し」とし、「承認する」としなかった理由はここにある。

日本は「台湾を中華人民共和国に返還すること」に異議を唱えない。

しかし、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」を承認するものではない。

よって、中華人民共和国と台湾の話し合いで台湾が統一される場合は「国内問題」であるが、中国が武力による統一を試みるのであれば、これはまた話が違うぞ、ということになるなのだ。

ただし、日本は中華人民共和国に台湾を返還しているので、「台湾の独立」を支持する意思はない。

「いったい何を言っているのか」と思うだろう。

私もそう思っている。

だがしかし、外務省の「台湾に関する日本の立場はどのようなものですか」に対する返答を見れば、日本政府が上に説明した通りの立場をとっていることがわかるのだ。

台湾との関係に関する日本の基本的立場は、日中共同声明にあるとおりであり、台湾との関係について非政府間の実務関係として維持してきています。政府としては、台湾をめぐる問題が両岸の当事者間の直接の話し合いを通じて平和的に解決されることを希望しています。

問10.台湾に関する日本の立場はどのようなものですか。
|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/faq/area/asia.html#10)より引用

日中共同声明において、「台湾の中華人民共和国への返還」を認めている。

しかし、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」は認めていないので、非政府間で独自の交流を継続している。

そして、台湾をめぐる問題について、「話し合いを通じて平和的に解決されること」を願っていると。

以前、物議を醸した麻生太郎氏のご発言にも、この認識が表れている。

自民党の麻生副総裁は訪問先の台湾で講演し、中国が軍事的な圧力を強める中、台湾海峡の平和と安定の重要性は世界の共通認識になりつつあるとした上で、日本や台湾、アメリカなどが「戦う覚悟」を持つことが地域の抑止力になると強調しました。

自民 麻生副総裁“「戦う覚悟」が地域の抑止力に” 台湾で講演|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230808/k10014156921000.html)より引用

日本は日中共同声明に基づき「台湾の独立」は支持しないが、同時に「武力による統一」も認める立場ではない。

そのため、「独立せよ」とは言わないが、「戦う覚悟が必要だ」となるのである。

【結論】

このような経緯を鑑みるに、日中首脳会談における「我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない」とは、「我が国は台湾に対する支配を放棄し、中国唯一の正当な政府である中華人民共和国に返還し、『一つの中国』の主張を尊重するが、武力による台湾統一も台湾の一方的な独立も認めない」であると言えるだろう。

素直に読めば非常に無理筋な屁理屈であるように思うが、こうでなければ、日本は台湾周辺のシーレーンを諦めることになり、それは海洋国家として死を意味する。

台湾を中華人民共和国に返還しなければ、戦後処理の不履行にもなるし、日中国交正常化も叶わなかった。

しかし、「一つの中国」論を承認してしまえば、台湾への武力侵攻が「反乱軍に対する制圧行動(国際法上の内戦)」となり、日本が口を挟む余地を失ってしまう。

そのような難しい立場でのこの決断であり、そして現状として、日本政府は上記ままの行動をとっているのだ。

今回の日中首脳会談では、日中共同声明に基づき「武力による台湾統一を認めない」との立場を、今一度、中国に対して突きつけた形になる。

⑥中国における邦人拘束事案

※本節は性質上、不確定な情報を含みます。

外務省発表には、以下のようにある。

また、岸田総理大臣から、中国における邦人拘束事案について、邦人の早期解放を改めて求めた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

近年、中国において邦人(日本人)が拘束される事案が相次いでいる。

反スパイ法(中華人民共和国反間諜法。中国の国内法)が施工された翌年の2015年以降、「スパイ行為への関与」として、少なくとも17人の日本人が当局に拘束されてきた。

2023年3月にも、大手製薬会社の日本人男性が中国国家安全局によって拘束され、居住監視措置を経た後、10月19日に逮捕された。

そして先日、2019年に反スパイ法違反で逮捕された50代の日本人男性に対し、懲役12年の判決が確定。

現状として情報を整理すると、おそらく中国は公安調査庁をスパイ組織として扱っているようで、たとえスパイ行為を働き中国の主権・国益を害したわけでなくとも、公安調査庁との接触が確認されただけで逮捕された事例もあるようだ。

この反スパイ法は今年7月に改正され、「国家の安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品」を窃取・偵察・買収・提供する行為がスパイ行為として追加された。

しかし、この「国家の安全や利益」がなにを指すかは国家安全当局が決定するため、恣意的な運用余地の拡大に西側諸国も大きな懸念を示している。

中国はまぎれもない独裁国家であり、独裁国家の法というのは、やはり恣意的に運用されてしまうものだ。

改正前の反スパイ法は40条だったのが、改正後には71条にまで内容が追加されている。

だが、あくまで立て付けは「中国の国内法」であり、これに対して日本政府ができることは非常に限られているのだ。

このような事案について、日本政府(岸田政権)は邦人の即時解放を中国に求めている  現状、日本政府としてこれ以上にできることはない  

P.S. 高市早苗コラム

高市早苗議員のコラムに改正反スパイ法の条文が掲載されているので、ご紹介まで。

⑦ALPS処理水の海洋放出

外務省発表には、以下のようにある。

さらに岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出について、科学的根拠に基づく冷静な対応を改めて強く求めるとともに、日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

現状、日本は福島第一原発事故において発生した汚染水を処理した、いわゆる「処理水」を海洋放出している。

この海洋放出はすでに3度行われており、1度目は2023年8月24日~9月11日、2度目は10月5日~10月23日、3度目は11月2日~11月20日に実施された。

このALPS処理水の海洋放出について、世界で2つ、科学的根拠に基づかず非難する勢力がある。

中国と日本の左翼である。

>ALPS処理水とは

ALPSアルプス処理水とは、3.11東日本大震災の津波被害に伴う福島第一原発事故において発生した汚染水を、Advanced Liquid Processing System(多核種除去設備)によって処理した、安全基準を満たす水である。

経済産業省 資源エネルギー庁によると、ALPSの多核種除去では、トリチウムを除いた62種類の放射性物質を除去することができるのだそう。

汚染水は複数の設備で浄化処理がおこなわれていますが、中でもカギとなっているのは、「多核種除去設備(advanced liquid processing system、ALPS)」と呼ばれる除去設備です。ALPSは、「多核種除去設備」という名称があらわす通り、62種類の放射性物質を取り除くことができます。

安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策①「ALPS処理水」とは何?「基準を超えている」のは本当?
|経済産業省 資源エネルギー庁
(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku01.html)より引用

以前はセシウム以外の放射性物質を除去することができなかったそうだが、ALPSが開発され稼働した2013年以降、発生した汚染水を高い基準で処理できるようになったのだとか。

>トリチウムとは

このように、汚染水はALPSによって処理水となり、「安全」であるとして海洋放出されているわけだが、1つ気になる点がある。

それは、「トリチウムは現在の技術では除去できない」という点だ。

つまり、現在、海洋放出されている処理水の中にはトリチウムが含まれているということであり、これは我々の健康や資源、海で繋がる諸外国に影響を及ぼさないのだろうか。

ここで、「トリチウム」について簡単に触れておこう。

トリチウムは水素の仲間(三重水素)で、日々自然に発生しているものです。
そのため、水道水や雨水、私たちの体の中にも含まれており、「自然界にも広く存在する放射性物質」です。

トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができます。

トリチウムは、世界中の多くの原子力施設から海に放出されていますが、施設周辺からは、トリチウムが原因とされる影響は見つかっていません。

トリチウムって何?|ALPS処理水
(METI/経済産業省)
(https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/shirou_alps/no2/)より引用

トリチウムが出す放射線は紙1枚で遮れる程度のものであり、外部から被ばくすることは考えづらい。

また、トリチウムが体の中へ入った場合も、三重 "水素" なので水と一緒に排出(10日で半分程度が排出)され、内部から被ばくする影響も、極めて小さいのだそう。

「放射性物質」と聞くとおどろおどろしいイメージをもってしまうかもしれないが、自然界にもさまざまな放射性物質が存在しており、我々は常にそれらに曝されている。

それに、レントゲン撮影やCT検査等においても、我々は多少なりの被ばくをくり返している。

重要なのは「放射性物質が与える影響の大きさ」なのであって、この観点から考えれば、トリチウムはさほど危険な物質とは言い難いのだ。

メチル水銀のような「生物濃縮」を心配する声もあるが、そのほとんどが生物の体外へ排出され、体内に蓄積されないことから、水の状態のトリチウムが生物濃縮を起こすことは確認されていない。

そのうえで、国の定めた安全基準の1/40(WHO飲料水基準の約1/7)未満へ海水で薄めた後に処分するという。

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水を、海へ放出する方針を決めたことに関連して、麻生副総理兼財務大臣は、閣議の後の会見で、処理水について、WHO=世界保健機関が示す飲料水の基準を下回る濃度まで薄めるとしていることを踏まえ、「飲めるんじゃないですか。普通の話ですよね」と述べました。

処理水「飲めるのでは 普通の話」麻生副総理|NHK
(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/58323.html)より引用

麻生太郎氏が「飲める」と発言し波紋を呼んだのが2021年。

放射性物質に着目すれば飲めることは明白なのだから、通常の海水を飲料水とするように、塩分を除去した後に浄水処理を行えば、なんら問題なく飲用できるはずだ。

文句があるなら私が飲むので、是非、塩分を除去して浄水処理した処理水を持ってきてほしい。

常飲するから。

また、「安全ならなぜ飲料水やその他の活用をせず海洋放出するのか」との声もあるが、飲料水への加工や活用のための運搬にかかるコストを考えれば、海洋放出に行きつくのは当然のことである。

IAEAとは

ここで、処理水関連でよく耳にする「IAEA」という組織についても触れておこう。

IAEAは「国際原子力機関(International Atomic Energy Agency)」といい、原子力の平和利用促進、原子力の軍事転用防止を目的とした、国際的で中立的な機関である。

2023年1月現在、加盟国は176ヶ国であるという。

国際原子力機関(IAEA)は、原子力の平和利用を促進し、核技術が軍事転用されないように核査察などの保障措置を行う国際機関です。
保障措置の実施は、IAEAと各国で結ばれる協定に従って行われます。その内容は、大別して施設に関する設計審査書の提出と核物質の移動や変化に関連する記録の保持と報告です。IAEAはこれらの記録や報告が事実と相違ないか確認する核査察の権限を持っています。

国際原子力機関(IAEA)|原子力基本用語集
|国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(https://www.jaea.go.jp/glossary/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E9%96%A2%EF%BC%88IAEA%EF%BC%89)より引用

原発処理水の海洋放出にはIAEAが深く関わっており、日本の正当性を科学的な立場から証明している。

中国によるイチャモン外交

科学的に安全性が証明されているALPS処理水の海洋放出であるが、これに対し中国は、科学的見地に基づかない批判・非難をくり返している。

9月7日に駐日中国大使館ホームページへ掲載された、ALPS処理水の海洋放出に関するコメントについて、経済産業省と外務省が回答したものがあるので、抜粋してご紹介しよう。

中「日本はIAEA事務局に核汚染水サンプルの分析と実験室比較を委託したが、中国は招待されなかった」

日「IAEAで行われるモニタリングにおいて、いかなる国のいかなる分析・研究機関が参加するかは、IAEA自身が選定するものであり、日本に関与できるものではない」

中「日本側が提供したサンプルに基づく実験室比較活動では、日本側の検査結果の信頼性を十分に証明することはできない」

日「ALPS処理水の海洋放出に関するモニタリングは、IAEAが日本の分析手法の適切性をレビューしており、IAEAと第三国機関は日本と共同でサンプルを採取、分析を行い、日本側の適切性を確認している」

駐日中国大使館ホームページで掲載された、
ALPS処理水の海洋放出に関するコメントについて、
中国政府に対して回答を行いました|経済産業省
(https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230914001/20230914001.html)より抜粋・要約

この他にも、8月28日の駐日中国大使館コメントへの回答(外務省)ALPS処理水放出開始を受けた各種事案についての中国側への申入れ(外務省)ALPS処理水に関する日中外交当局間のやり取り(在中国日本国大使館)等々、日本政府の苦労が見える事例が多々存在する。

さらに、外務省の海外安全ホームページでは、「中国:ALPS処理水の海洋放出開始に伴う注意喚起」として、以下の内容が呼びかけられている。

●ALPS処理水の放出開始後、日本関係機関に対して多数の抗議、嫌がらせの行為や電話が発生しています。中国への滞在・渡航を予定している方や滞在中の方はこうした抗議や嫌がらせに十分に注意してください。

●特に以下の点に留意していただきますようお願いします。
(1)外出する際には、不必要に日本語を大きな声で話さないなど、慎重な言動を心がける。
(2)日本の大使館や総領事館、日本人学校を訪問する必要がある場合は、周囲の様子に細心の注意を払う。
(3)万が一抗議活動等の場に遭遇した場合には決して近づかないようにし、その様子をスマートフォン等で撮影する等の行為も行わない。

中国:ALPS処理水の海洋放出開始に伴う注意喚起
|外務省 海外安全ホームページ
(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2023C043.html)より引用

このような、科学的見地に基づかない主張をくり返している国は中国のみであり、日本政府は中国に対して、正確な情報を発信するよう求め続けている。

高市氏に先立ち、中国は演説で「福島の核汚染水の海洋放出は原子力の安全性を巡る大きな問題だ」と主張した。高市氏は演説で、中国の主張は科学的証拠に基づいていないと反論。「IAEAに加盟しながら事実に基づかない発信をし、突出した輸入規制をとっているのは中国だけだ」と述べ、正確な情報発信を中国に求めていく考えを強調した。

IAEAのグロッシ事務局長は、海洋放出に関してIAEAが「独立した監視」を実施していると説明した。

高市氏「最後まで安全を」
処理水放出、IAEA総会|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230926-GKH35MPQDNKRDMPFTSTTBKJFJE/)より引用

【結論】

日本のALPS処理水海洋放出は科学的に「安全」と確認されており、IAEA等の国際的機関からもそれは認められている。

そのため世界各国は処理水放出に理解を示しており、科学的根拠に基づかず日本を非難する、まさに「イチャモン外交」と呼ぶべき言動をくり返しているのは、ほぼ中国くらいとなっている。

この中国のイチャモン外交に対し、日本政府(岸田政権)はさまざまな場において、科学的根拠に基づく冷静な対応を求め、それを発信し続けている。

従軍慰安婦や徴用工強制連行などの歴史戦に敗北してきた日本であるが、今回の処理水海洋放出については、日本のロビー活動の勝利と言ってもよい。

P.S. 左翼による風評被害(風評加害)

私は本章の冒頭で、以下のように書いた。

このALPS処理水の海洋放出について、世界で2つ、科学的根拠に基づかず非難する勢力がある。

中国と日本の左翼である。

中国によるイチャモン外交も酷いものであるが、国内で同じようなことをくり返している左翼勢力も、中国と同じか、国内であるだけ中国よりも酷いものである。

現在の日本において、政党でいえば立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組等が「左翼」とされるが、彼等による風評加害は枚挙に暇がない。

これに対して、石垣氏は「汚染水」という表現を強調して政府の対応を批判した。

「結論ありきでこのアルプスをして処理された汚染水の海洋放出を強行したことに対して断固として私も反対の声を上げたい」
「これは福島第1原発事故に由来する汚染水の処理の問題だ」

立憲・石垣のりこ氏、「汚染水」連呼で政府批判
またも「謀反」に幹事長は何を思う|J-CASTニュース
(https://www.j-cast.com/2023/08/29467809.html?p=all)より引用

立民の一部議員が党の公式見解である「処理水」と異なる「汚染水」との表現を用いていることなどに関しては、「党で決まったことはしっかり守ってもらう必要がある」としつつ、「だからといって個々の議員が(意見を)言えなくなるようなことにはしたくないというのが私の信念だ」と語った。

一般議員の「汚染水」発信を立民・岡田氏は容認の構え
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230912-T3HPSU3JTBNAHCKSEJTWD73KYE/)より引用
(太字は國神による。)

つまり、立憲民主党は(表では)「処理水」を公式見解としつつも、個々の議員が「汚染水」との表現を用いて風評被害を助長することについて、これを党として認めるということだ。

東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出をめぐって、原発事故当時、官房長官だった立憲民主党の枝野 前代表は、地元関係者の理解を得るプロセスをはじめ政府の対応が不十分だと批判しました。

立民 枝野前代表 “処理水放出のプロセスに深刻な問題”と批判|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230827/k10014175881000.html)より引用

地元関係者が恐れているのはまさに「風評被害」であり、風評被害を煽っているのは立憲民主党をはじめとする左翼陣営。

自身で風評を煽っておいてそれを政争の具とする姿勢、これを「マッチポンプ」という。

一、岸田政権は、24日にも東京電力福島第一原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を行うことを決定した。

汚染水の海洋放出を中止せよ
2023年8月22日 日本共産党委員長 志位和夫
(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2023/08/post-963.html)より引用

立憲民主党に頭を悩ませていると、党本体として、党代表の名で「汚染水」との表現を用いる日本共産党が現れた……

社民党の福島みずほ党首は8月23日、参院議員会館で会見し、福島第1原発
からの汚染水の海洋放出について、岸田政権や東京電力を厳しく批判した。

 岸田政権の決定により、24日にも汚染水の海洋放出が開始されることについて、福島党首は「とんでもない。強く抗議をしたい」と憤った。

【8月23日の福島党首会見】
汚染水の海洋放出を批判~責任を放棄する国と東京電力
|社会新報(社民党)
(https://sdp.or.jp/sdp-paper/toushu-14/)より引用

社会民主党も公式に処理水を「汚染水」と呼び、風評被害を助長している。

8月22日の関係閣僚会議において、
岸田首相は福島第一原発の処理後の汚染水を8月24日から
海洋放出(海洋投棄)すると表明した。

【声明】「汚染水」の海洋投棄を撤回し議論のやり直しを求める
(2023年8月23日 れいわ新選組)
(https://reiwa-shinsengumi.com/comment/18546/)より引用

処理水を「汚染水」と呼んだうえ、海洋放出を「海洋投棄」とするれいわ新選組。

れいわ新選組 山本太郎代表は、これに留まらず福島県および県民に対し「差別」と言うべき言動をくり返している。

>動画の中で、秘書から国会でお昼の弁当が出る、と告げられると「ベクレてる(放射能汚染されている)んやろなぁ、国会議員に出すお弁当は」などと語ったからだ。

>ベクレてる、というのは放射能汚染されているという意味で使っています

>12年12月に衆院選に出馬して落選したときに円形脱毛症になったことを聞かれ「被ばくの影響でしょう」と答えた。

>12年6月には放射能から逃れるためフィリピンに家族で移住する計画があることをツイッターで明かし、12年3月には「東京の放射能汚染が深刻」として大阪への引っ越しを計画。

>13年2月には大阪の母親が体調不良になったのは「震災がれき焼却のせい」などと主張している。

山本太郎議員「国会議員に出す弁当はベクレてる」
西日本、九州、海外から食材「お取り寄せ」
|J-CASTニュース
(https://www.j-cast.com/2013/10/25187245.html?p=all)より引用

上記4党および所属議員、そして支持者による風評被害の助長(風評加害)、福島ヘイト・差別はあまりに下劣で、あまりに卑劣だ。

そのうえで「私たちは(自分たちが煽る風評を恐れる)福島の漁師さんたちの味方です!」というような主張を展開するのだから、その姿は醜悪そのものであり、同じ人間とも思いたくないレベルである。

⑧日本産食品輸入規制の即時撤廃

外務省発表には、以下のようにある。

さらに岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出について、科学的根拠に基づく冷静な対応を改めて強く求めるとともに、日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて求めた

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

「⑦ALPS処理水の海洋放出」に関連して、中国は「日本産食品輸入規制」を行っている(イチャモン外交の1つ)。

中国の輸入規制の概要

中国による日本産食品の輸出に係る原発関連の規制について
1.輸出される食品等に関する輸入規制について|農林水産省
中国の輸入規制措置の概要(2023年8月24日~)(PDF : 217KB)
(https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/attach/pdf/china_shoumei-7.pdf)より引用

これにより、日本の水産物関係は大きな打撃を受けている状況だ。

東京電力福島第一原発の処理水の放出に反発して中国が日本産の水産物の輸入を停止するなか、農林水産省は7日、ことし9月の中国向けの水産物の輸出額が前の年の同じ月を90%余り下回ったと発表しました。

9月の中国向け水産物輸出額
前年同月比90%余減 輸入停止受け|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231107/k10014249581000.html)より引用

これに関連し、今年9月、櫻井よしこ氏の新聞広告が話題となった。

櫻井よしこ氏の広告が炎上

(https://x.com/hosono_54/status/1699235580885008686?s=20)より引用

8月末に中国が日本産海産物の輸入規制を開始したことに対し、櫻井よしこ氏が「日本の魚を食べて中国に勝とう」との新聞広告を配信した。

これが炎上したのだ。

このように。

(https://x.com/akatachikako/status/1699332755249844241?s=20)より引用

私の観測範囲ではこのポストが最もエンゲージを集めていたのだが、同様・似た趣旨のポストが多く見られた。

しかし、『日本に、食費を「いつもより1000円ちょっと多く」自由に使えるおうちがどれだけある』とのことだが、広告の本文を読めば「 "年間" 1,000円ちょっと多く」であることがわかる。

1600億÷1億2千万=1333.33……
1600÷1.2=1333.33…(1年あたり)
1333÷12=111.08(1ヶ月あたり)
111÷30=3.7(1日あたり)

おそらく「いつもより1000円ちょっと多く」との文言に脊髄反射的に反応し、それが1日あたりなのか1週間あたりなのか、1ヶ月あたりなのか1年あたりなのかを考えない者が多くいたのだろう。

1日や1週間あたりであれば1,000円を多く払うことが困難な家庭は多くあるだろうが、1ヶ月や1年あたりでそれが難しい家庭は少ないだろう。

また、1,000円の捻出が難しい場合、他の娯楽品の購入を多少抑えれば、1,000円と少しの全額を加算する必要もない。

そして、「勝ち負けの概念が全くわからん」とのことだが、「嫌がらせに負けるな。勝とうじゃないか!」というのは、そんなにおかしな考え方であろうか。

「なんでも勝ち負けで考えるなんて下品」などの意見も多く目にしたが、嫌がらせに対して勝とうとするのは当然のことであり、そもそも下品なのは、イチャモン外交によって不当に日本産海産物の輸入規制を開始した中国である。

負けない日本

このような、卑劣なイチャモン外交に晒されている日本であるが、日本人を舐めてもらっては困る。

この状況を黙って見ている日本ではない。

中国が日本の水産物の輸入を全面的に停止し影響が広がる中、稚内市の水産加工会社からインドネシアに向けてホタテの出荷が始まりました。宗谷地方のホタテがインドネシアに輸出されるのは初めてです。

稚内のホタテをインドネシアへ初輸出
中国以外に販路拡大|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20231116/7000062542.html)より引用

エマニュエル氏は東日本大震災で日本を支援するため米軍が行った「トモダチ作戦」の第2弾だと強調し、米軍はまず日本産ホタテ約800─900キロを購入し、取引対象を全ての日本産水産物に拡大すると説明した。

米軍が日本産ホタテ購入へ長期契約、
「中国の経済的威圧に対抗」と米大使|REUTERS
(https://jp.reuters.com/world/security/26CTVBRQSRLWNBX3ARZ77URLUU-2023-10-30/)より引用

一方、香港向けは86・9%増の126億円。ホタテも調製品を中心に48・8%増の17億円に上った。香港は福島、宮城など10都県の水産物について輸入を規制しているが、対象外の北海道などから輸出が増えたとみられる。

9月の中国向け水産物輸出、
主力のホタテ・ナマコがゼロに|読売新聞
(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231107-OYT1T50194/)より引用

一方、ことし1月から9月までの農林水産物と食品の輸出総額は、前の年の同じ時期より5.8%多い1兆531億円となりました。

アメリカなどへの輸出が堅調で、中国向けの輸出の落ち込みを補っているということで、1兆円の大台を超えるのは、去年よりも1か月早く、これまでで最速のペースだということです。

農林水産省は引き続き新たな輸出先の開拓の支援などに取り組んでいくことにしています。

9月の中国向け水産物輸出額
前年同月比90%余減 輸入停止受け|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231107/k10014249581000.html)より引用

特に中国へ輸出が多かったのがホタテだ。主産地である北海道・青森県を応援する動きがスーパーのみならず、外食、コンビニにも広がっている。例えばワタミ、くら寿司、銚子丸、崎陽軒、セブン-イレブン・ジャパン、ローソンといった企業が取り組みを発表した。

 北海道庁の地下食堂でも「食べて応援!北海道」として、9月12日~10月31日のランチタイムに「ホタテフライ定食」「ホタテ竜田揚定食」を、期間限定で1日100食・各600円で提供。一般市民も利用可能で、高級品のホタテがお手頃な価格で食べられることから、正午ごろには売り切れる日も多く好評であった。

「10日で1万食」「来春までに130トン」
収まらないホタテショックの裏で、
どんな支援が広がっているのか|ITmediaビジネスONLINE
(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2311/23/news024.html)より引用

日本政府(岸田政権)はもちろんのこと、日本企業までが総力を挙げて対応にあたっているのだ。

もちろん中国のマーケットは巨大なので補填は簡単ではないが、日本および日本人が負けることはない。

>ホタテ続報

ホタテはわが国の農林水産物・食品輸出で主力産品の一つです。その輸出額が、着実に回復しています。農林水産省が発表した統計によると、今年2月のホタテ輸出額は昨年同月比で9パーセント増となり、中国による輸入停止措置から約半年で、新たな販路開拓といった取り組みが実を結びつつあります。政府与党では引き続き、海外でのプロモーション活動等に力を入れています。

ホタテ輸出が回復米国向け輸出量が急増|自民党
(https://www.jimin.jp/news/information/208001.html)より引用

【結論】

このような中国のイチャモン外交に対し、日本政府(岸田政権)は日本産食品輸入規制の即時撤廃を求め続けている。

岸田文雄首相は17日(日本時間18日)、訪問先の米サンフランシスコで会見し、あらゆる機会をとらえて中国に日本産食品の輸入規制の即時撤廃を強く働きかけていくと述べた。

中国の輸入規制、あらゆる機会で即時撤廃働きかける
=岸田首相|REUTERS
(https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/HACAVXVKARKNXOCJQIYC3GN5UE-2023-11-18/)より引用

このイチャモン外交、輸入規制の問題は、我が国の経済的損失に留まらない。

本件は「相手国の経済を人質に、不当な主張を押し通そうとする」という、まさに「経済的威圧」と言えるだろう。

これは、G7においても問題とされている行為だ。

今回の会合は、経済的な影響力を強める中国を念頭に、輸出入の規制などで、相手国に圧力をかける「経済的威圧」への対応などをテーマに議論が行われ、閣僚声明を採択し、閉幕しました。

G7貿易相会合 中国念頭
不必要な貿易制限撤廃求める声明を採択|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231029/k10014241191000.html)より引用

我々が中国の経済的威圧に屈さず、販路を開拓して経済を立て直すことができれば、「結束して対抗すれば、中国の経済的威圧など恐れるに足りない」というメッセージを世界に発信することができる。

これは、中国の経済的威圧に屈する(=中国の勢力として組み込まれてしまう)国を減らすことに繋がり、大局的に見れば、まさに「対中国包囲網」の形成・強化に繋がる重要な事柄なのである。

余談:国辱のキシダ

以下の画像を根拠として、「自信満々の習近平と岸田文雄首相」として、岸田総理を「国辱」とする向きがある。

(https://sn-jp.com/archives/145193)より引用

島田洋一さんのポスト

ふんぞり返る習近平にペコペコ歩み寄る岸田の姿は「歩く国辱」そのものだった。

もう外遊すべきでない。

【話題】『ふんぞり返る習近平にペコペコ歩み寄る岸田の姿は「歩く国辱」そのものだった… もう外遊すべきでない』
|Share News Japan
(https://sn-jp.com/archives/145193)より引用

上記の記事は、島田洋一氏が記事見出しの画像を引用し、岸田首相を「歩く国辱」とするポストを紹介している(当該ポストは削除済み)。

主に日本保守党支持者と層が被っているキシダガーに上記のような主張が多いのだが、これには2つの問題点がある。

ひとつは、「政策議論ではなく印象論である」という点。

習近平国家主席との写真を引用し、「中国に対して下手に、ペコペコする国辱・岸田文雄」とするポスト。

しかし、本記事にて解説したような岸田首相の外交政策を見て、岸田首相を「国辱」と言えるだろうか。

理不尽に毅然と対応し、国際社会へと訴え、出来うる限りの最大限を尽くしているのが岸田外交だ。

そのような岸田首相に対して、一瞬の切り取りに過ぎない画像を用いて「国辱」といったイメージを植え付けようとするのは、決して健全な政権批判とは言えない。

もうひとつは、さらに酷い。

なぜならば、引用されている画像は今回の日中首脳会談におけるものではなく、昨年に撮影されたものだからだ。

日中首脳会談
中国の軍事的活動に深刻な懸念伝える 岸田首相
|NHK(2022年11月18日)
(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/92121.html)より引用

この画像を引用する者もいる。

【詳報】世界のリーダー集った「外交ウィーク」
米中、日中首脳会談も
|朝日新聞(2022年11月18日 12時36分)
(https://www.asahi.com/articles/ASQCC63MYQCBUHBI040.html?iref=pc_photo_gallery_bottom)より引用

あまりに卑劣だ。

また、政策でない部分に関しても、岸田首相が「歩く国辱」ではないことが報じられている。

武闘派広島ヤクザの岸田文雄

処理水の海洋放出を巡り科学的な対応を求めた際には、右手でつくった握りこぶしで机をたたきながら厳しい表情で繰り返し習氏に迫った。

日中首脳会談
懸案事項で隔たり、確認事項でも微妙な温度差
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231117-5NDLS3AKXVPMHDFUCUGTNSBE2U/)より引用

私は皆が「媚中の弱腰メガネ岸田文雄」と言っている間、「武闘派広島ヤクザの岸田文雄」と言い続けた。

日中首脳会談という対外的な公の場において、「握りこぶしで机を叩く」というのは、これはまさに「武闘派広島ヤクザ」と言うべきではないだろうか。

関係者は「気合が入ったときの動き」と言うが、気合いが入ったからといって、公の外交の場で机は叩かないだろう、普通は(笑)

さすが武闘派広島ヤクザの岸田文雄、我らが誇る、日本の総理大臣だ。

私はこの、理不尽に屈さず闘う広島ヤクザを、全力で支持していく所存である。

まとめ

本記事では、先日の日中首脳会談について、主に8点をもって解説した。

①尖閣諸島・東シナ海情勢について深刻な懸念
②日本のEEZに設置されたブイの即時撤去
③中露連携含む軍事活動の活発化等への深刻な懸念
④台湾海峡の平和と安定が極めて重要である旨強調
⑤我が国の台湾に関する立場に一切の変更はない
⑥中国における邦人拘束事案について、早期解放
⑦処理水放出に科学的根拠に基づく冷静な対応要求
⑧日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて要求

岸田首相は、決して日本側の立場を譲歩せず、真正面からこれらを叩きつけてきた。

中国がブイを撤去しないことや、中国船舶の行動等をもって首脳会談の成果を否定せんとする者もいるが、あまりに政治を単純化して考えすぎだ。

日本保守党の有本香事務総長
(https://x.com/arimoto_kaori/status/1725740296741560346?s=20)より引用

日中首脳会談を実施したからといって、中国側が簡単に態度を軟化させるはずがない。

首脳会談で中国の態度をどうこうできると言うならば、それこそ「話し合いで解決」とする左翼と同じ主張をしていることになる。

ここでは、「日本は譲歩しない」という姿勢を、中国、そして国際社会へと見せつけることに大きな意味があるのだ。

「日本は中国の思い通りにはならない」と中国共産党に示し、「我が国は対中国の最前線として、覚悟をもって闘っている」と国際社会に示すことに意味があるのだ。

これが中国に対する抑止力となり、国際社会へ支援を呼びかける際のプラスにもなる。

今回の日中首脳会談に限らず、岸田政権は「日本は中国の思い通りにはならない」と中国共産党に示し、「我が国は対中国の最前線として、覚悟をもって闘っている」と国際社会に示してきている。

・防衛費GDP比2%以上へ
・新安全保障戦略を策定(反撃能力の保有を明示)
・防衛三文書で中国を名指し批判
・トマホーク500発の購入、前倒し
・陸上自衛隊第15旅団(沖縄)を「師団」に格上げ、普通科連隊を倍増し、3000人規模を展開予定
・国産弾薬工場を建設方針
・自衛隊員の血液保管へ
・日英伊での戦闘機共同開発
・イギリスと安全保障協定を結ぶ(日英同盟の事実上の復活)
・オーストラリアと安全保障宣言を発表(日豪準同盟)
・フィリピンにレーダー納入(我が国初の完成装備品移転)
・日比準同盟へ向け議論開始
・現役防衛省職員を台湾に常駐体制へ
・国際会議の場で中国を名指し批判
・NATO首脳会議に参加(日本の総理大臣で初)
・過去最多の憲法審査会開催
・韓国との急激な接近
・AUKUS(米英豪の安全保障枠組み)に参加を示唆

岸田政権による安全保障への取り組みの一部

なんと言っても、我が国日本の総理大臣は、「武闘派広島ヤクザの岸田文雄」じゃけぇのぉ!

安倍晋三支持者として思うが、岸田首相は将来、安倍元首相と並んで称えられる名総理となることだろう。

無論、すべてが "是" である総理大臣などおらず、岸田政権にも "非" にあたる部分があるが、是々非々で各政策を評価した結果、私は「アンチ岸田」から「岸田文雄支持」となった。

岸田総理が現在のスタンスを変更しない限り、私は今後も、岸田政権を全力で支持していく所存だ。

以上おわり。

P.S. 國神からのお願い

最終的に30,000字を超える記事となってしまいましたが、お付き合いをいただきありがとうございました。

私は俗に言う "オタク気質" であり、そのうえ政治に関心が強いものですから、岸田政権についてネチネチとファクトを調べ、公式発表や一次情報にあたり、正確に岸田政権を評価できるようになりました。

しかし、多くの有権者のみなさんはお忙しく、また政治に強い関心がある方も少なく、ファクトチェックに手が回っていない方も多くいらっしゃるものと思います。

そのような方に事実をお伝えすることができればと、本記事を執筆いたしました。

ですが、noteには広告収入の形式がなく、本記事がいくら読まれようと私には一銭も入りません。

もちろん、自身の収益は二の次であり、儲からずとも日本のために筆を握る所存です(そうでなければ岸田支持の記事など書かない)。

とはいえ、私もただの21歳。

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