#300字小説
【猫と帽子の創作】我輩は猫である(300字)
吾輩は猫である。名前はまだない。
ずいぶん経ったが、未だに名前はない。
気分転換に、色々試してみることにした。
人間はよくオシャレをする。
最近だと、眼鏡か帽子だろう。
真似をしてみよう。
人間は、吾輩たちの真似をよくする。
こちらも真似をしてもいいだろう。
まず眼鏡。
悪くない。
悪くないが、耳が上にあるせいか、耳に眼鏡をかけられない。
ずっと上を向いていなければいけない。
【超短編小説】劇作家の苦悩(300字)
劇作家は悩んでいた。
台本がまだ1ページもできていないのである。
逃げようか?
駄目だ。家のローンも残っている。
書くか?
それができればこんなに悩むことはない。
私を苦しめているものはなんだ?
昔はこんなに苦労しなくても書くことができた。
たとえ朝まで飲んでいても、次の稽古までには台本ができた。
そうだ、明日の稽古の読み合わせを延期すればいいではないか。
駄目だ。初日まで
【超短編小説】もっと高く(300字)
男は街の権力者。
男は自分の土地に、街で一番高いビルを建てようとしていた。
金にものを言わせ、ついに街一番のビルは完成した。
満足気な男をよそに、街外れにはビルより高い山がそびえ立っていた。
男は面白くない。
さらに金にものを言わせ、その山より高いビルを建てようとした。
山より高いビルが完成したが、男はそのビルよりも高い所にある雲が気に食わなかった。
男はさらに金にものを言わせ、雲よ