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カエル仙人の弟子シリーズ

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さよならはとつぜんに

さよならはとつぜんに

同僚の急な転職。
正直、つらい。

冷たい見方をすれば、所詮、仕事上の付き合いでしかなかった。
でも、その知らせを聞いた時は無性に寂しさを覚える。
いくらドライな社風だったとしても、一緒に過ごした時間は案外長い。

最近は転職する人が増え、こうした別れにも慣れてきた部分はある。
時間が経てば、その寂しさも自然と薄れていくことも知っている。
そして、気づけばその人の仕事は誰かに引き継がれ、組織は何事

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あのころにもどりたい

あのころにもどりたい

あの頃はよかった。
インターネットとスマホがない時代。

あの頃は、情報の流れがもっと単純だった。
価値観も今ほど多様ではなかった。人々が共有する共通の話題があり、物事が広まるスピードも今ほど速くなく、じっくりと受け止める余裕があった。

昼間に毎日『笑っていいとも』が放送されていた時代。
学校を休んだ日にだけ見られるその特別感は、子どもにとってちょっとした贅沢だった。
今のように好きな時に好きな

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あなたをこえたくて

あなたをこえたくて

ときどき、競争心をむき出しに行動してきた。

思い出すのは大学受験のとき。
あの頃は試験をゲーム感覚で捉えていた。

やりたいことが特にない高校生だった自分にとって、大学受験はただ目の前にある「タスク」でしかなかった。
進学校に通っていたこともあり、周囲に流されるように試験勉強を本格的に始めた。

周りの友人たちが予備校に通い出す中、私は若さゆえの反抗心から、予備校というものを受け入れられなかった

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かがやけるひのために

かがやけるひのために

人に誇れるような武勇伝はない。
成功体験も大きな失敗談もない。
専門知識もなく、文章力にも自信がない。

それでも、何かを書いてみたい。
稚拙な文章であったとしても、自分の書いた内容が誰かと共有され、何らかの意味を生むことがあれば、それは嬉しいし、モノを書く習慣を通じて、単純に文章力を高めたい。

また、書くことで自分がどう変わるのかも確かめたかった。

自分の中にどれほどのネタが眠っているのか、

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きみがいてくれたから

きみがいてくれたから

あまり他者との間に強い依存関係を持たずに生きてきた。

学生時代の友人や先生、バイト先の同僚、職場での同僚、同じ趣味の知人、地域での知人。
こうした人たちとは、良くも悪くも適度な距離感を保ってきた。
その結果、自分が「友達」だと思える人は一定数いるが、「親友」と呼べる人はほぼいない。

ただ、それでも家族は別だと思う。
自分の親と兄弟、そして、妻と子供。

自立してからは親や兄弟と会う機会や連絡を

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