さよならはとつぜんに
同僚の急な転職。
正直、つらい。
冷たい見方をすれば、所詮、仕事上の付き合いでしかなかった。
でも、その知らせを聞いた時は無性に寂しさを覚える。
いくらドライな社風だったとしても、一緒に過ごした時間は案外長い。
最近は転職する人が増え、こうした別れにも慣れてきた部分はある。
時間が経てば、その寂しさも自然と薄れていくことも知っている。
そして、気づけばその人の仕事は誰かに引き継がれ、組織は何事もなかったかのように回っていく。
でもやっぱり、寂しさは込み上げてくる。
寂しさと同時に、悶々とした気持ちが積乱雲のように心の中で発達してくる。
この原因は何なんだろうか。
自分の振る舞いが原因?
「もしかして、自分のせいで辞めたんじゃないか?」そんな不安が頭をよぎることがある。
でも、これは自意識過剰で単なる妄想だろう。
辞める理由はその人自身の問題であって、自分が直接的な原因であるとは限らない。
担当していた仕事との相性、やりがい、組織の雰囲気や上司との関係、その他さまざまな要因が絡む中で、自分ひとりが影響を与えるなんてことは、ない。
仮に自分が辞める立場だとしても、特定の誰かに恨みを持って辞める可能性は低いだろう。
理由は複雑であり、単純に一人の行動に起因するものではない。
先を越された焦り
正直、自分もいまの所属組織を辞めようかどうか、何度か悩んだことがある。
それだけに、先を越されたような、出し抜かれたような感覚が残る。
しかし、これは他人との比較に過ぎない。今の自分は、心の底では、結局のところ環境や職務内容に納得している。だからこそ今の立場に留まっている。
もし本当に不満があるなら、行動を起こせばいい。
転職を考えるのは自分の選択次第だ。他人の行動にいちいち反応するべきではない。
増える仕事量
単純に、自分の仕事量が増える。
だが、こういう時こそ残った人たちでうまく回していくしかない。組織は協力しないと回らないのだから。
だからこそ、タスクの押し付け合いはせずに「自分ができることは何でも引き受けます」という姿勢で前向きな気持ちを持たなければいけない。
さよならは突然やってくる。
組織にいると、さまざまな人が通り過ぎていく。同僚も、取引先も。
だからこそ、一つひとつの関係を大切にしていきたい。何気ない日々の中で、少しでも良い関係を築くことができれば、自分の中でもその人は生きるし、自分の存在も、相手の中で少なからず生きることとなり、見えない形で関係性が続いていくのかもしれない。