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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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#在留資格

Undocumentedとillegalの違いを説かねばならないのは日本も同じ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(25.1.19-25.1.25)

珍しくクルドという文字が川口市以外の自治体とセットで報道されてるな、でも埼玉県だな。と思ったらヘイト新聞がヘイトで小銭を稼ぐいつものやつとは違って公的機関の対応がヒドい。という話でした。 記事にある通り、このテイタラクを推奨する日本社会の情けなさをわれわれが直視するハメに。強いてヨカッタ探しをするなら、上記報道を受けて早々に修正が為されるらしい、というそこだけ。 渦中の教育委員会、そもそもどういうつもりか。とウェブを見に行ったら「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関して識

今週のクルドヘイト。を紹介する前に/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.29-24.10.5)

十年単位で読んでいる、とあるウェブサイトの日記。ぜんぜん知らない男性の(初登場時は小学生だった)息子娘がそれぞれ家庭を持ち、子が生まれ、クセ強かった父は急逝し。みたいな市井の大河ドラマを定点観測していると、そういえばこの筆者、川口市在住だったな。 と最近の記述に思い出すことがあり……てな文脈で紹介されるのは不本意かと思うので、あえて引用元URLは割愛するのですが、こんな感じの本文。 引用分量が増えたお詫びに、筆者の単著を紹介しておきます。 ■さて今週のクルド

そんなに見ないで(/ω\)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.22-24.9.28)

今週まず紹介するのは大本営発表。 親の因果が子に報い。って浄瑠璃のようなフレーズがいまだ生き続けるんですなあ。前々から申し上げているんですけど「親に不法入国といった犯罪歴がある」が「子の在留資格を召し上げる」理由になるの、私個人はどうしても解せないん。 ■媒体の狙い通りにネット界隈でちょっとウケた記事の紹介 「スウェーデン紙によると」って記事内容の責任を回避する書きぶりなんですけど、見出しから論立てまで下記トルコ国営放送記事に類似してるんですよ。タイミング的にもこれ読ま

転職されたら困るので(わかる)法律で縛ってください(わからない)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.24-23.12.30)

突然良い企画が掲載された南日本新聞をホメるところからまいりましょう。 技能実習の(雇用側にとっての)最大のメリット、転職できない。という人権無視規範が来春にも改正される想定で、ただいま検討中ステータスが数か月続く昨今なのですが、出ていかれる地方関係者の声、基本的に「出ていかれたら困る」「法律で縛りをかけてくれ」「人権とか何のことでしょう」みたいな地獄絵図でしてね。 そんななかで、正面から地方側の声をー通りいっぺんでなくー紹介する記事は管見の限り、初でした。良い試み。 ■地

オオバンブルマイを見習え/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.10-23.12.16)

意外……でもないか、海外の移民事情がまあまあ報道された1週間でした。ロイターの大活躍はご愛敬。 いつもいつも同じことを申し上げて恐縮ですが、お隣の動静にはソソられます。 ■国内ニュースだとこの辺かな 来日そのまま野宿 公園に一時20人 難民申請者の支援追いつかず:朝日新聞デジタル 日本で保護を求める難民申請者が急増し、支援が追いつかない状況だ。国も異例の補正予算を組んで対応するが、公園で野宿をする人digital.asahi.com

ねほぱほ仮放免回が良かった報告/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.3-23.12.9)

何が良かったって、ねほりんぱほりんが視聴者と同レベルなので「え?」「そうなの?」みたいな相槌が終始入ってくる。そのおかげで安心して初歩の話を学べる=知ったかぶりしなくても大丈夫、な構成になっているところ。 ふたりの「在留資格がない人生を経験した20代女子」エピソードトークを核に進行するんですが、番組コンセプトの通り匿名出演の彼女たちが登場した瞬間のぱほりんの台詞が「あ、もう、だから、日本語が上手なのよー」。 見た目が日本人っぽくないこと、「でもこの子たちは日本人なんだ、そ

come gather round people, wherever you roam/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.8.20-23.8.26)

渋めのニュースを見かけて時の流れを感じた、という話から。 技能実習が事前の研修や支度金的な負担と不可分なところ、比較的安易に日本へ向かうルートとして日本語学校への「留学」が機能していた時代がありまして、個人的な感覚だと2014~2016年あたりが全盛でした。(探せば根拠を裏付ける統計出るだろうけど省略!) 労働力が欲しい、と言えなかった日本政府に代わって週28時間上限という制限付とはいえ、アルバイト「留学生」という名目でサイドドアからひとが来ていた時代。 特定技能という労働

ノイジー・マジョリティ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.8.13-23.8.19)

扱いがあまりにおかしい。と言い続けている件、発端は2022年2月でした。 このニュース、加害者も被害者もベトナム人男性で、いわゆる痴情のもつれ系なのは「そういうこともあるでしょう」なんですが、よろしいですか。事件は現場だけで起きてるわけじゃないんだ。 それで今週の報道が 司法判断がオカシイことなんて特別でもなんでもないですよ、私が言いたいのはね、この一連の流れにニュースバリューは無いのかね。です。 同性愛だろうが異性愛だろうが愛憎にまつわる物語、札幌の首切断云々を想起す

48歳の新人読切作品48pを愛でる/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.8.6-23.8.12)

ニュースまとめを4年続けていると、派手な週もあれば地味な週もあるわけですが、今週はまあ後者で、なにしろいちばん話題になったのが日経の有料記事(=ほとんど誰も本文読んでない)。 この件、ずいぶん前から既定路線として報じられているのでいまさら何を言いたいのか? ちょっと考えることになるわけですけれど、思うに ・廃止の文言が先行しすぎた ・延命させたい ・ついては「転職可」の線を謳います それではお聞きください、「技能実習は廃止せず転職容認という形で残しますんで」。ってことです

それこそAIでやれ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.7.30-23.8.5)

歓迎ムードに水を差す気もないのですが。って利き手に水差しを持ちながら言ってそうな一文ではじめてしまう今週。 ふわっとした説明をふわっと伝える媒体が大多数のなか、具体的に追ってきた信濃毎日新聞はさすがに一味違って良いです。 難民申請は一律NG処理方針の審査員が居た以上、生殺与奪の権利を持つのはヒトではなくシステムにすべき。 法相の発言、その根本に知らんぷりしてるので変化が訪れる気がしねえ。が個人的な感想で、ちなみに上掲記事の前段には次のようなストーリーがありました。 こう

記事見出しにつられて律義に踊らなくてもいいのよ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.7.23-23.7.29)

ここ数週間ネットを沸かせるようなトピックが少なかった外国人労働者界隈でしたが今週はイカニモな見出しに多くの釣果が確認されていました。 パッと見は日本の相対的な地盤沈下、と読める見出しですが、違うんですって。 ・EPA(経済連携協定)という仕組みで来日する人数が減っている ・技能実習、特定技能より古いスキームで ・来日要件はほかの在留資格に比べ厳しく、来日後の延長要件も厳しい ・つまり申込数が減っているのは今に始まったことではなく、自然 個人的には残念なバズらせ方としか言えな

ผีน้อย/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.3.26-23.4.1)

今週へー。ってなったニュース タイにおける韓国カルチャー人気の一端、たとえばBLACKPINKドキュメンタリーを通じてうっすら認識してはいましたが、そういえば韓国における「非正規在留外国人」の代表がピーノーイ(小さな幽霊)と呼ばれるタイからの出稼ぎ勢なんですよね。 彼らの多くはイサーン地方出身で、韓国語と母語のイントネーションが似ていたり故郷の食材(赤蟻の卵とかアゼネズミとか蛇とか……)がタイよりも簡単に手に入ることもあって、社会の空隙で息を殺しながら暮らすのが本邦におけ

戦後25件目の破棄自判無罪(於最高裁)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.3.19-23.3.25)

タイトルの戦後25件目云々は弁護士先生ツイートが出典です。 みんなたちが「字がキレイ」とホメてたやつのその後 さて。本件の発端は2020年11月です。 本連載が週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」を名乗っていた当時、世間の空気はどんなだったか。今週も相変わらずニュース見出しにベトナムという文字が躍る日ばかりでしたという書き出しで、あー未だ群馬のアニキというフレーズが登場する前か、そうか。 その他ニュースとして熊本日日新聞の記事を取り上げているのですが、当該記事は例によっ

竜頭蛇尾/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.3.12-23.3.18)

「え?」と思ったニュースが「えー?」で終わる回。が複数あった今週でした。 上記は3/13(月)に提起された事象が、3/17(金)にあっさり結論めいたところに至った珍しい例ですが、3/15(水)に下記の報道が出た件、イメージ写真がないとぼんやりし見過ごしてしまうんですが 去年9/7(水)の絵ヅラに見覚えあるひとは居るのでは。 ただ、事の発端は一昨年の12/4(土)記事にさかのぼることが出来まして(なんなら鎖につながれた話そのものは10月に起きており)つまり丸々1年半かけて