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ผีน้อย/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.3.26-23.4.1)

今週へー。ってなったニュース

タイにおける韓国カルチャー人気の一端、たとえばBLACKPINKドキュメンタリーを通じてうっすら認識してはいましたが、そういえば韓国における「非正規在留外国人」の代表がピーノーイ(小さな幽霊)と呼ばれるタイからの出稼ぎ勢なんですよね。

彼らの多くはイサーン地方出身で、韓国語と母語のイントネーションが似ていたり故郷の食材(赤蟻の卵とかアゼネズミとか蛇とか……)がタイよりも簡単に手に入ることもあって、社会の空隙で息を殺しながら暮らすのが本邦におけるボドイ(技能実習生から逃亡するベトナム人たち)並にはふつうの選択肢になっている。
って↓に書いてありました。

それはそうと、タイ出身アーチスト公演入口で網を張ってたらいっぱい「不法滞在者」を捕まえられたよ、って冒頭記事にみられるロジックのイヤらしさですよ。日本も真似すべき、みたいなことを言うひとも出てきそうじゃない? 気のせいですか。
不法と呼ぶか非正規と呼ぶか、在留の状態を咎めるのはまあいいんですが、彼らを労働力として都合よく使っている実態については知らんぷり。ってまさに本邦の技能実習制度でおなじみの光景で、他人事じゃないよなあ、という感想なのでした。

■先週トップで取り上げた件のおさらい

最後の記事で触れられていることですが

逮捕から2年4カ月。リンさんが無罪主張を貫き、最高裁まで争うことができた背景には、弁護団のみならず、リンさんの生活を支えてきた支援者たちの努力が不可欠だった。
 (中略)
リンさんは運がいいと思う人もいるかもしれないが、リンさんは実名報道によって、これまで「犯罪者」として激しいバッシングに晒されてきた。
逮捕記事には「子どもを殺すような外国人は日本から出ていけ」といったコメントが並んだ。ベトナム人の利用するSNSのコメントも同情的ではなく、「刑務所に行くべき」「日本の司法が許しても私たちは許さない」といった辛辣なコメントが並んでいた。

太字は引用者

タイ国内でピーノーイたちが同情されないのに似て、アタリがキツいんですよね、ブルーワーカー層。地裁・高裁の判決、最高裁で覆ったからいいじゃん。ではないだろう、と思う次第です。

■今週のその他ニュース&ひとことコメント

毎年発表の瞬間だけ話題になるUS国務省発「人身取引報告書」においては、こういう事例と本邦の技能実習制度が同一平面で語られていることは繰り返し指摘したい。あれはUS国内文書だから関係ねえ(2022外務省)、じゃねえんだよ。

社会の根底にある異邦人蔑視があらゆる形で露呈していて、遠い目不可避。

こういう書きぶりこそ、技能実習制度を温存したい派に一役買ってるんですが、その自覚は筆者にあるんですかね。
「なにしろ廃止せよ話はそれからだ」派には同調しませんが、制度を延命させることによるデメリットの大きさを正面から見れば、廃止を前提に議論するべきと考えています。

これ、ものすごく下世話なトピックになりえる話なので報道が慎重になっているのは良いと思うものの

警察に被害を相談しても「ベトナム語の通訳を確保できない」という理由で3か月間、捜査に進展がみられなかったことが分かりました。

ってそれはいちローカルニュースとして忘れられるのを待っていていいのか。よくないだろ、という思い。

シンガポールや台湾と同じく「家事労働」という職に本邦における「介護」も含ませる、というカテゴライズがそもそも残念なやつ。
という認識なのですが、真っ当に批判されていてちょっとだけ安心。

基本所得党のシン・ジヘ報道担当は「今日(3月21日)は国連の定める国債人種差別撤廃デーだ。だが今日、人種差別を扇動する法案が上程された」と述べた。シン報道担当は「『最低賃金なき外国人家事労働者導入法案』は、少子化を乗り越えるために差別と搾取ぐらいは目をつぶろうというもの」だとし、「『移住労働者だという理由で差別と搾取にあうのは当然』などということを学ぶ世の中は、より一層恐ろしい未来となるだろう」と強調した。

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