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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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記事一覧

特定国を対象にヘイトを煽りたがる某媒体、その情熱は恋と呼ぶべき/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.11.17-24.11.23)

日本語についての記事が日経と産経で複数出るなか、両媒体の趣の違いは当然あきらかなので、さて、どの記事がどこ発でしょう。 うん、こう並べてみるとやっぱり「日本語が出来ない奴ら」への優越感、みたいなものがベースにあるんじゃないですかねえ某紙。 ■その某紙が熱意をもって伝えていた件 「この結果、同市は特別対策地域となった」って重々しく書いてるけど前月は三郷市、その前月は上尾市、さらにその前月が越谷市、それぞれ特別対策地域となってるので君が言いたいことは分かるよ。って顔にしかな

入管春の渋滞予報とか/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.11.10-24.11.16)

入管からお触れが出ていまして。 相変わらず入管窓口、担当者個人の当たり外れが大きいわけですけれど、そのなかでの繁忙期予報なので、目を引きました。これ誰がいちばん困るって特定技能の資格で国内転職を考えているひとたち。 転職先が在留資格変更届を申請するんですけど、たとえば1月に審査を依頼して通常でも3~4ヵ月要するところ(首都圏)プラス3ヵ月だと半年、宙ぶらりんになってしまうリスクがある。 (しかも人材紹介エージェントがその辺を理解していないことが圧倒的に多いのよーあんたたち仕

闇バイトとか誤認逮捕とか日本語学校とか/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.11.3-24.11.9)

最近やたらと闇バイトの話が聞こえてきますけど、今週はこんなニュースもありまして。 治安悪化と外国籍を結びつけることには断固として反対する者(そして上掲ニュースの親玉が日本人である可能性は高いと思う者でもあります)けれど、ゼノフォビアに簡単につながるという意味でも経済、大事。という感想。 ■誤認逮捕2ネタ なお後者、別媒体では下記見出しなので なんというか、ちょうど良い報道ってないもんかね。 ■日本語学校界隈 文科省の資料を読んでいると、まあまあ滑り込みセーフみたい

1年半かけて70万円で和解/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.10.27-24.11.2)

毎週同じジャンルのニュースを追っているので、ああ、あの話がようやく。みたいな感慨自体おなじみですが、今週はこれ。 本文には「おととし、技能実習生だったベトナム人3人が受け入れ企業とトラブルになり」とある通り、2022年4月報道の解決編という なお、2023年3月には別口の記事も上がっています 技能実習制度自体が名前だけでもなくなる、という方向に運命が定まったので、その制度下で起きていた不祥事のトンデモナサが相対的に矮小化されてしまっている。そのことは、ある程度仕方ないと

投票日は「選挙行った?」以外のイントロがないの/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.10.20-24.10.26)

まずはみなさま投票行ってもろて。気を付けないと営業時間短縮のお知らせがこっそり出てますよ。民主主義の維持、それを望まない層との「対決」になってきてますね。 個人的にはほっこりニュースに分類していいやつもありつつ、まずは選挙権を持たない彼らの分まで権利は行使しなければ、という。 ■毎度開票直後に落胆する勢、しかしあきらめない勢、とりあえず今回もやることはやった勢。なのでまた来週ごきげんよう

Go Vote (relentlessly)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.10.13-24.10.19)

選挙活動が始まるなか、川崎市があらためて言うけど。という喚起を公表していて、うむ。川口市に限らず、みんな真似すればいいのに。と思いました。 ちょうど昨日、「特定の国の出身者」disではないから問題なかろう、と言わんばかりにエセ愛国を掲げる候補者の全方位ゼノフォビア演説が耳に入ってムカムカしていたのですが、ローカル駅前で誰もその自称政策チラシを受け取ろうとせず、そこだけは慰めになりました。 政党でいうと除籍・除名問題で株を下げている共産党、外国人の人権尊重という観点では非の

親の因果は子に報うべきか/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.10.6-24.10.12)

タイトルだけ見て「またおまえか」と思い「あ、マライさんなの」ってくだり、私以外のひともやっていたらしいことがまず面白かった文春テキスト。 ドイツ固有事情を描く文を日本でも他人事でなく読めてしまうあたりが筆者ならではで、どういうことかというと ■今週見逃せなかったもうひとつの記事 ケチケチしながら「人道上配慮」を恩に着せる報道(下記)と照合すると、上述34名は全員「親のせいで仮放免状態のまま」っぽいですが、そもそも親を選んで生まれてくるわけにいかないのに、どういう理路なん

今週のクルドヘイト。を紹介する前に/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.29-24.10.5)

十年単位で読んでいる、とあるウェブサイトの日記。ぜんぜん知らない男性の(初登場時は小学生だった)息子娘がそれぞれ家庭を持ち、子が生まれ、クセ強かった父は急逝し。みたいな市井の大河ドラマを定点観測していると、そういえばこの筆者、川口市在住だったな。 と最近の記述に思い出すことがあり……てな文脈で紹介されるのは不本意かと思うので、あえて引用元URLは割愛するのですが、こんな感じの本文。 引用分量が増えたお詫びに、筆者の単著を紹介しておきます。 ■さて今週のクルド

そんなに見ないで(/ω\)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.22-24.9.28)

今週まず紹介するのは大本営発表。 親の因果が子に報い。って浄瑠璃のようなフレーズがいまだ生き続けるんですなあ。前々から申し上げているんですけど「親に不法入国といった犯罪歴がある」が「子の在留資格を召し上げる」理由になるの、私個人はどうしても解せないん。 ■媒体の狙い通りにネット界隈でちょっとウケた記事の紹介 「スウェーデン紙によると」って記事内容の責任を回避する書きぶりなんですけど、見出しから論立てまで下記トルコ国営放送記事に類似してるんですよ。タイミング的にもこれ読ま

ヘイトスピーカーに国境なし/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.15-24.9.21)

このいたましい事件を伝える報道ではなく、ここぞとばかりにヘイトを煽るような振る舞いを(見たくもないのに)見て、7年前の日本で起きた事件を想起したひと、どのぐらい居るでしょう。 かくいう私も時事通信のこの記事がちょうど出ていたので「あ」ってなったんですが。 日本に住む外国人のニュースを集めて回る本欄をnoteを書き始めたのが事件の翌2018年なので、下記のような回顧においてのみ触れてきましたが、要はね、日本人がベトナム出身の9歳の女の子を殺した。だから日本人=非道、って言われ

国の外から見ていた/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.8-24.9.14)

久しぶりの海外出張ウィークでしたが、めぼしいニュースがなかった気がするんですよね、いつもなら「今週のその他ニュース」として採り上げるような話が目について、強いていえば道新の これがいちばん力が入ってるな、と思ったぐらいですか。 「駐車場で酒を飲んでいる不審な外国人がいる」ネパール国籍の男を不法残留容疑で逮捕 大分 | 大分のニュース|OBS NEWS|大分放送 (1ページ)10日未明、在留期限を過ぎても、不法に日本に残留したとして、大分市内に住

ヘイトde小銭稼ぎの流れを振り返る/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.1-24.9.7)

今週のクルドヘイト。みたいなコーナーを作れるほどにかまびすしい界隈ですが、さかのぼると2021年、仮放免の許可が出ない。という記事を紹介していて、ここがクルドという単語の本連載における初出でした。 2022年、そんな彼らに難民認定1号が。という報道があり、ドキュメンタリー映画『東京クルド』(2021)、フィクション映画『マイスモールランド』(2022)が公開されて、当時の日本社会の受容が少しだけ実態に追い付いたのが2年前ですかね。 今の「クルドヘイトで金稼ぎ」連中が涌いて

小声で大それたことを言う法務省/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.25-24.8.31)

概算要求が出てくる季節、法務省が何か言っているようなのですが みんなマイナンバーカードのことが嫌いだから(キメツケ)この見出しになるのも仕方ないですが、元ネタにはもっとエラいことが書かれており これ、本当にこの路線で進むんですか。外務省、厚労省、法務省の綱引きで生じている無駄はたしかに一元化されるべきですが、よりによって入管庁がそこを担うのは最も無い選択肢、と過去5年にわたり毎週のように彼らの人権意識の欠落を指摘せざるをえないニュースを紹介してきた当欄筆者として、思います

"The flames fanned by keyboard warriors like you."/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.18-24.8.24)

今週は京都というか兵庫というかローカルスポーツの話が盛り上がってましたね(すっとぼけ)。 校歌は教育機関としての歴史を反映していいと思う派の私、たとえば韓国映画の日本語字幕でわざわざ東海って書かれると、おい、Macy'sを「百貨店」って訳出するならそこも「日本海」でええやろ。とは思うので、なんかケチを付けたくなるひとの気持ちがまったく分からない、ということもありません。 ただ、映画の台詞が映画制作者の自由なのと同様、学校法人の方針が気に食わなければそのオキモチを素直に表明す