#84 わり算の筆算がラスボス?乗り越えるためのコツを伝授
わり算の筆算は、これまでの筆算と全く異なります。
これまでの筆算は上から順番に書いていき、一番下に答えを書いてきました。
ですが、わり算はなんと一番上に書かないといけないのです。
わり算の筆算ができる人はこの事実は気にしていません。
なぜか?
できるからです。
ではできない子はどうか?
困ります。
さらに、これまでは一の位から計算していたのに、わり算になったとたん、一番上の位から計算するのです。
計算が苦手な子にとっては混乱すること間違いなし。
まさにラスボス。
ここまでくると、原因は多岐にわたり、個別に原因分析するのは大変です。
なので、
このラスボスを倒すためにどんな指導をしたらよいのか考えてみました。
72÷3の筆算の指導を例に考えてみます。
小学校の教科書では、いきなり72÷3の筆算をするわけではありません。
その前に72÷3になる問題場面を通してどうやって計算したらよいのかを考えさせます。
これまでは27÷3=9といった九九を1回使えば解くことができたわり算。
九九1回で答えがでなかった場合にはどうするのかを考えていきます。
具体的操作活動を行い、どうやって3人に分けるとよいのか考えさせ、下の図のように表してまとめていきます。
最後に、大きな数になっても図を使って考えるとわり算ができることを理解させて終わります。
「でも毎回、このように図を使って考えるのは大変だよ」
という声を子どもから引き出していき、
「もっと便利な方法があるよ」
「あっ!筆算でしょ」
と展開していくのです。
ですが、実際に子どもたちと授業をすると、
「先生、72÷3の答えしってるよ」
「先生、筆算使ってやっていいの?」
といった声が筆算の学習をする前から聞こえてきます。
声をださない子でも、ノートに72÷3の筆算を書いて答えを出している子もいます。
この授業では、図を使って考えてほしいのに……😿となります。
なぜこのような現象がおきるのか?
先行学習している子がいるからではありますが、それだけが理由ではありません。
先行学習をしている子の中でも、72枚の色紙を3人でわける方法を必死にいろいろ考える子もいます。
一方で、答えがでてしまったという理由で暇をもてあましてしまう子もいるのです。
この差はなんなのか?
九九の学習と関係があるのです。
その理由は算数障害って何?⑥に詳しく説明しています。↓
以前、
と説明しました。
つまり、量として捉えずに答えだけを暗記しようとしているためです。
記憶に頼りすぎた結果、
計算処理できること=算数できる
という勘違いが生じるのです。
計算処理ができるのは悪いことではありませんが、算数の本質ではありません。むしろ計算であれば、どんな複雑なものであっても電卓やコンピュータがやってくれます。
計算処理以外に大切なことをこの時期に学ばないといけないのです。
親も必死です。
ママ友などから、学校でどんなことをやるのか、九九学習の情報を事前にキャッチしているので、学校の授業よりも前から家庭で、九九の暗唱を始めていきます。
自分で教えなくても、チャレンジなどのタブレット学習や、公文などを始めさせる親も増えてきます。
先生も、九九を全員なんとかして暗唱させないといけないと躍起になり指導していきます。
この九九学習の誤解が、計算の本質の欠如につながっているのです。
これは、算数障害ではない大多数の子にいえる大きな問題といえます。
九九は本当は全部暗記しなくてもいいんだよっていう指導がされていれば、
「だったら、先生どうするの?」
となるはずです。
「九九には秘密があるんだよ」
「えっ!どんな秘密?」
と、暗記が苦手な子でも興味をひきつけるような授業に展開していけばいいだけです。
では、どうすればよかったの?
①記憶にたよらない指導が必要です。
そのためには、かけ算の意味を確実に理解させ、九九とは何かを理解させることです。
|〇〇|〇〇|〇〇|(おだんごが1皿に2つ、それが3皿ある)
1つ分の数×いくつ分=全部の数
2 × 3 = 6
答え 6個
これが小学2年生で学習するかけ算です。
この問題場面では、2×3としないといけません。
3×2は違います。
「もし、2×4の答えがわからなかったらどうしたらいいと思う?」
「おだんごのお皿が1つふえるんだから、6+2で8だよ」
という考えを引き出していくのです。
そうすれば、九九の答えを忘れてもなんとかなることを学びます。
暗記にたよっていると、答えがわからなかったら、適当な答えをだしてきます。
②視覚的情報を活用する
九九を暗記できない子はおそらく聴覚優位ではなく、視覚優位の子が多いかと思います。
そこで、1の段から9の段までの計算式と答えが一覧となって見れるような表を作成し、教科書やノートにその表をはらせ、わからなくなったらいつでもみてよいことにしておけば、答えを忘れてしまったときに有効です。
しかも、一覧になっているため、かけ算のきまりなども見えてくるようになり、数学的な見方考え方も養えます。
暗記だけにたよって、力ずくで九九を暗記させても、無理やり計算を自動化させただけであり、
72枚の色紙を3人に同じ数ずつわけたらどうなるのかという場面に出会っても、答えばかりが気になり、
「これまで習ったこと活用したらできるかな?」
と素直に向き合って解決する力が身に付かなくなるのです。
何か算数の指導や支援のことで質問や、お困りの方がいらっしゃいましたら、気軽に連絡下さい。
コメントもしくは、クリエーター問い合わせからメールを下さい。
論理的思考力が身に付くパズルです。
大人のはまるパズルですよ。
親子で一緒にやってみたらいかがでしょうか?
以上、筆算のラスボス わり算についてでした。
参考になる方がいたら幸いです。