JW709 鎧をください
【景行征西編】エピソード80 鎧をください
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)7月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行と、水沼県主の猿大海(以下、ルオ)は、酒殿の泉にて、食事を取っていた。
二千年後の佐賀県鳥栖市飯田町にある、重田池である。
そして、このとき「シロ」の鎧が光り始めたのであった。
リトル(7)「光っておる!」
タケ「神意かもしれぬのう。」
シロ「えっさん!」
えっさん「は・・・はい。」
シロ「直ちに占え!」
えっさん「は・・・はい!」
占いの結果・・・。
えっさん「この地の神が、大王の鎧を欲しがっておりますぅ。」
シロ「我の鎧を?」
たっちゃん「鎧を納め奉るとともに、社も建てた方が良いであろうな。」
シロ「左様ですな。では、この鎧を奉るゆえ、永き世の宝とせよ。」
ワオン「大王が、そう申されたので、社は、永世社と名付けられもうした。」
野見「のちの人は、改めて、長岡社と呼んだとの由。」
シロ「二千年後も鎮座しておるのか?」
おやた「鎮座しておりまするぞ。永世神社と名が変わっておりまするが・・・。」
いっくん「変わり過ぎやろ!」
リトル(7)「何処に鎮座しておるのだ?」
ナッカ「佐賀県鳥栖市の永吉町っす。」
シロ「酒殿の泉から離れておるのじゃな?」
ナッカ「ロマンっすね。」
リトル(7)「うわっ。出たっ。ロマン!」
夏花「ところで、鎧も残っておるのでしょうか?」
もち「奈良時代には、鎧の紐は朽ちてしまっていたみたいやが、鎧と兜の板は残っていたと書かれちょるじ。」
リトル(7)「二千年後は?」
モロキ「皇紀2240年頃、西暦で言うと1580年頃、戦乱で焼かれてしまったとのこと・・・。」
リトル(7)「そこは、ロマンではないのだな・・・。」
するとそこに、地元民がやって来た。
地元民(へ)「大王ですか?」
シロ「ん? 何じゃ?」
地元民(と)「お願いがあって、やって参りました。」
シロ「願い?」
地元民(へ)「川の渡り場の瀬が、広すぎて、渡るのが大変なんですよ。」
地元民(と)「そこで、みなさんに舟を造って欲しいなぁと・・・。」
ナッカ「いいっすよ。」
もち「なして、『ナッカ』が答えちょるんや!」
シロ「良い良い。では、舟を造ろうぞ。」
リトル(7)「何処の川なのだ?」
地元民(へ)「宝満川ですぞ!」
地元民(と)「でも、ホントは、筑後川だと思いますよ。」
舟木「どういうことじゃ?」
地元民(へ)「川の流れは、変わっていくもの。筑後川のような大河なら、猶更のことでは?」
舟木「た・・・たしかに・・・。」
シロ「ともかく、ここは、二千年後の地名で申せば、何処になるのじゃ?」
地元民(と)「鳥栖市南東の水屋町や高田町の辺りですぞ。」
モロキ「エピソード697で解説した、狭山郷の近くなのじゃな?」
地元民(へ)「きっと、わしら、狭山郷の者だと思います。」
シロ「とにもかくにも、民のため、舟を造らん!」
ルオ「ところで、何処から、木を支度致しまするか?」
シロ「うむ。舵のための木は、高良山にて取るべし。舟のための木は、生葉山より取るべし。」
ナッカ「生葉山?」
シロ「耳納連山と呼ばれる山々じゃ。水縄山とも書くぞ。」
地元民(へ)(と)「かたじけのうございます!」×2
こうして、舟が造られたのであった。
つづく