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JW716 住吉三神を祀ろう

【景行征西編】エピソード87 住吉三神を祀ろう


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦88年、皇紀こうき748年(景行天皇18)8月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみことの一行は、筑紫ちくし(今の九州)の巡幸じゅんこう(天皇が各地をめぐること)をえ、菟狭うさ(今の大分県宇佐うさ周辺)に入った。

地図(菟狭国)

そして、神代こうじろあたい神大野みわおおの(以下、ワオン)は、神との約束を守るため、高来たかくあがたに向かうのであった。 

ワオン「高来たかくあがたとは、長崎県諫早いさはやの大部分と島原しまばら半島はんとうのことにござる。」 

地図(高来県)

するとそこに、山部阿弭古やまべのあびこ小左おひだりがやって来た。 

小左おひだり「ワオン殿どのぉぉ!」 

ワオン「ん? なんじゃ? なにゆえ、なれが?」 

小左おひだりいのにござる。」 

ワオン「さ・・・左様さようか・・・。」 

小左おひだり「して、大王おおきみより、高来たかくあがたおもむまえに、彼杵郡そのき・ぐんこと具足玉そなひだまくにに、再びれとのおぼしであったな?」 

ワオン「うむ。建てたいやしろが有るともうされてな・・・。」 

小左おひだり「ちなみに、具足玉そなひだまくにとは、二千年後の長崎県佐世保させぼ周辺のことじゃ。」 

地図(具足玉国→彼杵郡→佐世保市周辺)

ワオン「して、やしろの名は、住吉すみよし神社じんじゃじゃ。」 

小左おひだり住吉すみよし? では、住吉すみよし三神さんじんまつれと?」 

ワオン「そうじゃ。ちなみに、住吉すみよし三神さんじんとは、底筒之男そこつつのお中筒之男なかつつのお上筒之男うわつつのおのことじゃ。」 

小左おひだり伊弉諾神いざなぎのかみ(以下、イザナギ)が、黄泉国よみのくにから逃げ帰り、みそぎをした際に生まれた神様であったな?」 

ワオン「うむ。かみと言われておるぞ。」 

小左おひだりとは、港のことにござるな?」 

ワオン「うむ。それゆえ、海上かいじょう交通こうつうかみにもなっておる。」 

小左おひだり「して、何処いずこに建てられまする?」 

ワオン「エピソード713にて登場した、速来はやきむらに建てることになったぞ。」 

小左おひだり速来はやきむら?」 

地図(速来邑→佐世保市早岐)

するとそこに、速来津媛はやきつひめ(以下、はや)と、その弟である、健津三間たけつみま(以下、三間みま)がやって来た。 

はや「どうしたの? 戻ってきたわけを聞かせて?」 

三間みま「も・・・もう、たまは有りませんよ!」 

ワオン「わかっておる。此度こたびは、やしろてにまいったのじゃ。」 

はや「やしろ?」 

小左おひだり「ワオン殿どの? この者らは?」 

ワオン「この者らは、此度こたび、ヤマトにくだりしものたちじゃ。」 

三間みま「よろしくです。」 

はや「それで? 私のむらに、やしろを建てちゃうわけ?」 

ワオン「その通りじゃ。その名も、住吉すみよし神社じんじゃもうすぞ。」 

住吉神社(鳥居)
住吉神社(拝殿)

三間みま「で・・・でも・・・。」 

ワオン「ん? 如何いかがした?」 

三間みま「二千年後の地図を見てみたんですけど、やしろが、見当みあたりませんよ?」 

小左おひだりなびとは、地図の見方みかたを知らぬのではないか? きたうえになるのじゃぞ?」 

三間みま「わかってますよ。そんなこと!」 

小左おひだり「どれどれ、われに見せよ。速来はやきむらは、長崎県佐世保させぼ早岐はいきぞ? そこを、よく見れば・・・。」 

はや「ど・・・どうなのよ?」 

小左おひだり「ん? 無いぞ。」 

ワオン「まあ、無いのもいたかたなきこと。」 

三間みま「どういうことです?」 

ワオン「いつの御世みよか、わからぬが、その後、佐世保させぼ広田町ひろだちょう遷座せんざしたそうなのじゃ。」 

地図(住吉神社)

はや「なんで、それを早く言わないのよ!」 

ワオン「ゆ・・・おうと思うたのじゃ。されど、なかなか、せず・・・。」 

小左おひだり「ともかく、無事ぶじやしろが建ったということで・・・。」 

ワオン「うむ。これにて、景行けいこう征西せいせいへんは終了じゃ。」 

はや「征西せいせいへん?」 

三間みま「どういうこと?」 

ワオン「それについては、聞いてはならぬ。」 

小左おひだり「では、われは、これにて、菟狭うさに戻りまする。」 

ワオン「うむ。達者たっしゃでな。」 

こうして、ワオンは、高来たかくあがたに向かったのであった。 

つづく

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