JW622 加羅の攻撃
【景行即位編】エピソード11 加羅の攻撃
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦77年、皇紀737年(景行天皇7)のある日。
ここは、先代、垂仁天皇の妃、迦具夜比売(以下、かぐや)と、袁那弁王(以下、なべっち)の屋敷。
そこに「かぐや」の父、大筒木垂根王(以下、タルタル)が来訪していた。
かぐや「父上? 如何なされたのです? もしかして、私が『かぐや姫』のモデルだからって、月に帰れとか仰るんじゃないでしょうね?」
タルタル「そうではない。今日は、悲しい報せを届けに参った。」
なべっち「悲しい報せ?」
タルタル「今日を以て、我ら三人は、クランクアップとなる・・・(´;ω;`)ウッ…。」
かぐや「えっ? くらんか?」
なべっち「引退ってこと?」
タルタル「そうじゃ。」
なべっち「やっぱり、作者の力量では、名のみの登場の僕を、うまいこと、活躍させられへんかったんやなぁ。」
タルタル「されど、ただでは転ばぬぞ。今年、起きた、衝撃の海外ニュースを解説する運びと相成った。」
かぐや「海外にう?」
タルタル「今年、任那などの加羅諸国が、新羅に攻め込んだのじゃ。」
なべっち「えっ? そないなこと『記紀』には、書かれてへんで?」
タルタル「当たり前じゃ。これは『三国史記』の『新羅本紀』に書かれた内容なのじゃ。」
かぐや「ええ・・・先程、大連の物部の連の十千根こと『ちね』様が、会見をおこなうとの情報が入って参りました。中継が、つながっています。現場の久米の直の押志岐毘古こと『オシキ』殿?」
オシキ「はい。こちら、現場っす。ちなみに、隣にいるのは、息子の七掬脛こと『ナッカ』っす。」
ナッカ「お初にお目にかかるっす。『ナッカ』っす。」
かぐや「えっ? オシキ殿も、引退なんですか?」
オシキ「そうなんすよ。」
なべっち「そないなこと言うてたら、大連殿が、やって来たで。」
ちね「ええ・・・此度の任那など、加羅諸国による、新羅への侵攻ですが、ヤマト本国と致しましては、まことに遺憾に思っております。」
豪族(い)「そげんこと、聞きに来たんやない!」
豪族(ろ)「そうだに! 此度のこと、大王が命じただか?」
ちね「大王が、命じるわけ無いやろ! 加羅諸国が、勝手に、やったんや。」
豪族(は)「ほんなら、さっさと止めさせんと、いかんじゃろう?」
ちね「分かってますぅ。韓郷に、使いを送ってますんで、しばらく、お待ちください。」
豪族(に)「ほんでもよぉ、加羅諸国は、どうして勝手に動いとるんだ?」
ちね「まあ、ヤマト王権は、豪族の連合政権で、いわゆる連邦制やから、しっかり統制、出来へんのや。」
豪族(ほ)「この『だらず』が! 何、言うちょるんや!」
豪族(へ)「しっかりして、くりょお!」
豪族(と)「じゃが、じゃが!」
豪族(ち)「あだけまさんなま!」
ちね「ちょっ・・・言い過ぎやろ? ふざけるな、言われてもやなぁ・・・。」
ナッカ「以上、激論が交わされる現場から、お伝え致しました。」
オシキ「読者のみなさん、お達者でぇ。」
かぐや「『オシキ』記者、『ナッカ』記者。ありがとうございました。」
なべっち「いやぁ、凄いことになってるねぇ。」
タルタル「まあ、ヤマトは、連合政権で、豪族たちは、半分、独立国みたいなモノじゃからなぁ。」
かぐや「どうなっちゃうんでしょうね?」
タルタル「全面戦争だけは、避けねばならぬな・・・。」
かぐや「えっ? い・・・今、新しい情報が入って参りました。任那などの加羅諸国が、大惨敗を喫したとのことです。」
なべっち「えっ? 負けてもうたん?」
かぐや「新羅の声明によりますと、阿飡の吉門が、加羅諸国を打ち負かしたとのことです。なお、吉門は、波珍飡に引き上げられたとのことです。」
タルタル「阿飡は、六等官で、波珍飡は、四等官という意味じゃ。」
なべっち「二階級特進ってヤツやね。」
こうして、衝撃の海外ニュースと共に「タルタル」、「かぐや」、「なべっち」、「オシキ」が引退となったのであった。
つづく
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