JW552 野菜を作ろう
【伊勢遷宮編】エピソード11 野菜を作ろう
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神(以下、アマ)の鎮座地を求め、一行は、侘野に至った。
二千年後の三重県度会町和井野である。
しかし、良き宮処は見つからないのであった。
ワッコ「嗚呼・・・。『アマ』様に申し訳ない。」
カーケ「謝っても仕方がないんだぜ。このまま、一之瀬川を下るしかないんだぜ。」
乙若「カーケ様の申される通りにござる。じっとしていても、何も始まりませぬぞ。」
ワッコ「そうじゃな。進むしかないのじゃな・・・。」
こうして一行は、川を下る形で、北へと進んでいった。
すると、何者かが現れた。
何者「よっ! 俺か? 俺は、久求都彦だ。『クッピ』と呼んでくれ。」
ワッコ「クッピ?」
クッピ「そうだ。久具都比古とも書くぜ。」
ワッコ「して、汝が国の名は何ぞ?」
クッピ「久求の小野だぜ。」
ワッコ「では、久求の小野に、久求社を建てようではないか!」
ちね「なんで、そうなるんや?」
おしん「仕方ねぇべ。『倭姫命世記』に、そう書かれてるんだべ。」
クッピ「祭神は、俺だぜ!」
市主「二千年後も建っておるのか?」
クッピ「当たり前だろ。その名も、久具都比賣神社だぜ。三重県度会町上久具に鎮座してるぜ。」
武日「ん? 姫になっちょるじ!? どういうことっちゃ?」
クッピ「実は、久具都比売も祀られてるんだぜ。ちなみに、俺と姫は、この地の水と五穀の神様と言われているぜ。」
オーカ「されど、何故、姫の方が、社名になってますのや? お迎えした、汝の名であるべきやと思いますが・・・。」
クッピ「何故かと問われても・・・。」
ねな「何故って? ロマンだからよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
クッピ「と・・・とにかく、良き宮処を知ってるぜ。付いて来な!」
こうして一行は、言われるがままに付いて行った。
すると・・・。
クッピ「ここが良き宮処だ。」
ワッコ「ここ? 一体、何処なのじゃ?」
クッピ「そういうことは、こいつに会ってからにしろ!」
ワッコ「こいつ?」
そこに現れたのは、園作神(以下、そのる)であった。
そのる「初めまして、姫様。野菜を作る御園を献上致しますぞ。」
ワッコ「御園とは、畑のことじゃな? されど、何故、野菜なのじゃ?」
そのる「この野菜は、ただの野菜ではありませぬ。」
ちね「ちょっと待てぇ! 『ただ』やないっちゅうことは『金』かかるんか?」
そのる「そういうことではありませぬ。『アマ』様にお供えする野菜にございます。」
ワッコ「それは、素晴らしい・・・。では、汝のために社を建てようぞ。」
カット「こうして、園相社が建てられました。」
くにお「候補地は、園相神社にござる。」
インカ「祭神は、曽奈比比古命にござりまする。」
そのる「我のことですぞ。」
オーカ「初めから、曽奈比比古で登場すれば良かったのではありませんか?」
そのる「ここは『倭姫命世記』の記述に従った方が良いと思った次第です。」
オーカ「なるほどなぁ。」
ワッコ「して、鎮座地は?」
乙若「三重県伊勢市津村町にござりまする。」
そのる「更に詳しく言うと、津村町の白木に鎮座しておりますので、地元の人たちは『白木さん』とか『しろきの宮』と呼んでおりますぞ。」
こうして、畑を献上された一行は、更に進んでいった。
そして・・・。
ワッコ「何と素晴らしい野原じゃ。目弖野と名付けようぞ。」
野原に感動する「ワッコ」。
それより、良き宮処は見つかるのであろうか?
次回につづく
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