JW603 三毛入野の社
【垂仁経綸編】エピソード25 三毛入野の社
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
西暦23年、皇紀683年(垂仁天皇52)。
そんな、ある日のこと・・・。
ここは、国中(奈良盆地)の葛城・・・。
二千年後の奈良県御所市や大和高田市の辺り・・・。
葛城の直の宮戸彦(以下、みやさん)の屋敷に、豪族たちが、集まり、何やら語らっていた。
参加者は、下記の通り。
忌部の首の和謌富奴(以下、わかとん)。
大伴の連の武日。
久米の直の押志岐毘古(以下、オシキ)。
中臣の連の大鹿島(以下、オーカ)の四人である。
みやさん「エピソード406以来の登場にござるよ。」
武日「長いこと、出てなかったんやな?」
みやさん「忘れられているのかと、思っていたのでござるよ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
わかとん「それより、この顔触れで集まったわけを聞かせて欲しいのじゃが?」
オーカ「そのようなこと、言うまでもありません。」
わかとん「言わねば、読者が分からぬではないか!」
オシキ「まあまあ、落ち着いて・・・。」
みやさん「では、言うのでござるよ。今の大王の御世に、高千穂神社が創建されたのでござるよ!」
わかとん「エピソード35.6にて、紹介された社じゃな?」
オーカ「そうですぅ。御初代、神武天皇の兄君、三毛入野命こと『ミケ』様が、鬼八を討伐した話で、紹介されておりますぅ。」
オシキ「その社が、俺たちの時代に建ったんすか?」
武日「じゃが。『ミケ』様と、その奥方、そして、八人の息子たちが祀られ、十社大明神と呼ばれちょるんやじ。」
みやさん「奥方の名は、鵜目姫にござるよ。」
わかとん「息子たちは、御子太郎、二郎、三郎、畝見、照野、大戸、霊社、浅良部と申すぞ。」
オシキ「息子たちは、中世の風情たっぷりの名前っすね。」
オーカ「ということで、高千穂より、国中(奈良盆地)に参った、一族たちで、宴楽をおこなうこととなりました。」
オシキ「宴っすね?」
オーカ「そうですぅ。」
みやさん「では、みなさん! 大いに食べて、飲んで欲しいのでござるよ!」
オーカ・オシキ・武日・わかとん「おお!」×4
みやさん「ちなみに、高千穂神社の鎮座地は、宮崎県高千穂町の三田井にござるよ!」
武日「じゃっどん、九年前の新羅への襲撃事件は、大事にならずに済んで、良かったな。」
わかとん「唐突に、何じゃ?」
武日「読者のみなさんが、気にしちょるんやないかと思ってのことっちゃが。」
オシキ「流石、武日様! 分かってるっすねぇ。」
武日「それほどでもないっちゃ・・・(〃ノωノ)。」
オーカ「それより、海の向こうは、どうなっておりますのや?」
オシキ「えっ? 海の向こう? 新羅のことっすか?」
オーカ「そちらのことではなく、新の国のことにあらしゃいます。」
武日「今年、滅んだみたいやなぁ。」
みやさん「国が滅ぶというのは、どういうことなのか、今いち、ピンと来ないのでござるよ。」
わかとん「反乱が、至る処で、起きておるようじゃ。」
オシキ「えっ? 反乱で、新の国の王様は、殺されちゃったんすか?」
武日「どうも、そんげなコツになっちょるみたいっちゃが。」
オーカ「恐ろしいことに、あらしゃいますなぁ。」
武日「この動きが、半島に、どんげな影響を及ぼすんか・・・。そいで、ヤマトに、どんげな影響を及ぼすんか・・・。」
オシキ「まあまあ、そんな堅苦しい話は、これくらいにして、今日は、社が建ったことを寿ぎましょうよ!」
武日「そうやな。」
するとそこに、垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)と、日嗣皇子の大足彦忍代別尊(以下、シロ)がやって来た。
イク「ちょっと! もう、始めちゃってるわけ?」
シロ「山幸、海幸が、揃っておりまするな。」
オシキ「遅れるって言ったの大王じゃないっすか。ねぇ? 皇子?」
オーカ「待っておりましたぞ。」
わかとん「酒も、たっぷり有りまするぞ。」
みやさん「大王! 今日は、とことん飲むのでござるよ!」
武日「さぁさぁ、坐ってくんない。」
こうして、宴楽は、遅くまで続いたのであった。
つづく
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