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JW665 北の国から

【景行征西編】エピソード36 北の国から


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦83年、皇紀こうき743年(景行天皇13)5月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、熊襲くまそを平定し、高屋宮たかや・のみやに滞在していた。

二千年後の宮崎県宮崎市みやざきし西都市さいとしあたりである。

地図(高屋宮)
筑紫行幸参加者名簿

そこに、ある人物がやって来た。

三輪みわきみ大友主おおともぬし(以下、オート)である。 

系図(三輪氏:オート)

オート「エピソード663以来にございます。」 

シロ「度々たびたびの使い、大儀たいぎである。して、此度こたびは、なにがあった?」 

オート「蝦夷えみしが攻め込んできたとのよし。」 

シロ「蝦夷えみし?」 

タケ「東北地方の人々をことじゃ。」 

たっちゃん「今の世においては、東北地方は、ヤマトに加わっておりませぬゆえ・・・。」 

いっくん「せやから『わて』らは、の人々を蝦夷えみしと呼んでたんやで。」 

舟木ふなき「ちなみに、東北地方とは、秋津洲あきつしまの北に広がる地にござりまする。」 

地図(蝦夷)

シロ「その蝦夷えみしが攻め込んできたと?」 

もち「そんげなコツ、伝承に書かれちょらんじ!」 

オート「筑紫ちくしの伝承では、ありませぬゆえ・・・。」 

ナッカ「此度こたび筑紫ちくし行幸ぎょうこうとは、別の伝承ってことっすか?」 

オート「左様さようにございます。」 

シロ「ふむ・・・。われ筑紫ちくしる時に、このようなことになるとは・・・。」 

モロキ「大王おおきみ! すみやかに、討伐とうばつぐんを起こすべきかと!」 

シロ「うむ。では『オート』よ! 兄上・・・五十瓊敷入彦いにしきいりひここと『ニッシー』にもうつたえるべし! 蝦夷えみしち、おおみたからやすんじめよと!」 

系図(ニッシー)

オート「かしこまりました。」 

こうして「オート」は帰っていった。

そして・・・。

ここは、国中くんなか(今の奈良盆地)の纏向日代宮まきむくのひしろ・のみや

地図(纏向日代宮)

「シロ」の兄弟たちと、大連おおむらじ側近そっきんたちが「オート」の報告を聞いていた。

すなわち「ニッシー」。

誉津別ほむつわけ(以下、ホームズ)。

大中姫おおなかつひめ(以下、ダッコ)。

稚城瓊入彦わかきにいりひこ(以下、カキン)。

系図(シロの兄弟たち)

そして、大連おおむらじ物部もののべむらじ十千根とおちね(以下、ちね)。

側近の阿倍あべおみ武渟川別たけぬなかわわけ(以下、カーケ)。

和珥わにおみ彦国葺ひこくにふく(以下、くにお)。

中臣なかとみむらじ大鹿島おおかしま(以下、オーカ)。

大伴おおともむらじ武日たけひである。 

人物一覧表(大連と側近たち)

ニッシー「ついに、この日が来ちゃったんだね。」 

オート「はい。すみやかに、おおみたからやすんじめよ・・・と。」 

ちね「まあ、当然、そうなるわな。」 

武日たけひそいでそれで、息子は息災そくさいやったか?」 

ちね「なに、聞いてんねん! 公私こうし混同こんどうすな!」 

武日たけひ「ええやないか! 長い間、っちょらんのや!」 

オート「『もち』殿どのも、『いっくん』殿どのも、息災そくさいでしたよ。」 

ちね「ほうかそうか・・・。それ聞いて、安心したで。」 

武日たけひなれあんじちょったんやないか!」 

ちね「あっ! いや、これは・・・。」 

ホームズ「では・・・『ニッシー』・・・。武士もののふを・・・そろえねば・・・。」 

ニッシー「了解! すぐさま、支度したくするぜ!」 

ダッコ「ついに、兄上が出陣しゅつじんなされるんですね。」 

カキン「なんか・・・かん無量むりょうです・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

ニッシー「なんで、泣いてんだよ!」 

オーカ「涙は禁物きんもつにあらしゃいますよ。」 

カーケ「その通りだぜ。出陣前なんだぜ。そういうのは、ダメなんだぜ。」 

ホームズ「ふ・・・副将ふくしょうは・・・どうする?」 

くにお「では、拙者せっしゃが、副将として、参陣さんじんいたしましょうぞ。」 

カーケ「四道しどう将軍しょうぐんの『それがし』を忘れてもらっちゃこまるぜ!」 

ニッシー「『くにお』・・・。おお伯父上おじうえ・・・。ありがとう。でも、副将は、決まってるから・・・。」 

くにお・カーケ「えっ?」×2 

ニッシー「僕の副将、陸奥守むつのかみ豊益とよますくんです! 『トヨマ』と呼んでよね。」 

トヨマ「おはつにおにかかりまする。われが『トヨマ』にござりまする。」 

ちね「ちょっとてぇ! 陸奥守むつのかみって、どういうことやねん!?」 

ニッシー・トヨマ「えっ?」×2 

オーカ「東北地方は、まだ、ヤマトに加わっておりません。それゆえ、陸奥むつという地名も、存在しておりませんのや。」 

くにお「存在せぬ地名が入っているとなると・・・。」 

カーケ「どう考えても、中世に成立した伝承なんだぜ。」 

ニッシー「そ・・・それでも、僕は、かまわない! 『トヨマ』を連れていく!」 

ダッコ「兄上! 頑張がんばってね!」 

カキン「ど・・・どうなることやら・・・。」 

とにもかくにも「ニッシー」は「トヨマ」を連れて、東北へと旅立つこととなった。

つづく

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