JW573 神御衣と御饗
【伊勢遷宮編】エピソード32 神御衣と御饗
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
伊勢神宮が創建された。
天照大神(以下、アマ)の御杖代、倭姫(以下、ワッコ)は、アマ様を祀るため、様々な準備をおこなう。
垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)たち家族と共に、解説が進められるのであった。
イク「ということで、機織りのために、八千千姫を招いたよ。『やっち』と呼んでね。」
やっち「お初にお目にかかりまする。私が『やっち』にござりまする。」
ワッコ「では『やっち』殿、早速じゃが、アマ様の御召し物である、神御衣を織ってもらいたい。」
やっち「うわぁぁ。大きな機屋にござりまするな。まるで、高天原の機屋のようじゃ。」
ひばり「宇治の機殿とも、呼ばれているのですよ。」
ニッシー「それだけじゃないよ。磯宮とも、呼ばれてるんだよ。」
ひばり「えっ? ニッシー? 機を織る所なのよ? どうして、磯の字が使われているの?」
ニッシー「そ・・・それは・・・。」
シロ「母上・・・。ロマンにござる。」
ひばり「こ・・・これが、ロマンなのね。」
やっち「ちなみに、私の先祖、天棚機姫神は『古語拾遺』にだけ登場する神様なのですよ。」
マス子「そないな書物が有るんですか?」
するとそこに、忌部和謌富奴(以下、わかとん)が、颯爽と現れた。
わかとん「有りまするぞ! 我の子孫、斎部広成が著した書物にござる。」
ロミ子「何時頃に書かれた、書物にござりまするか?」
わかとん「平安時代の平城天皇の御世に書かれた書物にござる。中臣の横暴、許すまじの精神で、如何に忌部氏が、正統なる神祇を司る者であるかを書いた、素晴らしき書物にござりまするぞ。」
イク「中臣との喧嘩は、平安時代まで続いてたの?」
わかとん「大王! 何という申されようか! これも、全て、大王が、我ら忌部氏を重く用いてくださらなかったゆえでは、ありませぬか!」
イク「ご・・・ごめんなさい。」
ダッコ「でも、不思議じゃ。」
ワッコ「えっ? 姉上? 如何なされたのですか?」
ダッコ「機織りの神様と言えば、私たちの御先祖様でもある、栲幡千千姫命が、思い浮かぶのじゃが・・・。」
カキン「天津彦彦火瓊瓊杵尊こと『ニニギ』様の母上様に当たる神様ですから、我らの先祖になるわけですね?」
やっち「同一神という説も有るようですぞ。」
シロ「・・・となると『やっち』は、遠い親戚のようなモノか?」
わかとん「まあ、ほとんど遠い親戚ばかりのような気も致しまするが・・・。」
なにはともあれ、神御衣が織られたのであった。
それから、しばらくして・・・。
ワッコの元に、五柱の神がやって来た。
すなわち、吉雲建子命(以下、くもた)。
大歳神(以下、としお)。
桜大刀命(以下、さくら)。
大山祇神(以下、山)。
朝熊水神(以下、アサーク)である。
くもた「ついに来たぜ!」
としお「御饗の時間ですぞ。」
さくら「さあさあ、お食べくださいませ。お飲みくださいませ。」
アサーク「山幸、海幸、全て揃えておりますぞ。」
イク「えっ? これは、どういうことなの?」
ワッコ「エピソード561と562で、御饗を奉ってくださった神様にござりまする。」
ひばり「そのようなことが・・・。娘が、お世話になりました。」
山「良いのじゃ。わしらは『ワッコ』が大好きでな・・・。此度も、無事に神宮が建造されたので、祝いの宴を催さんと思うたのじゃ。」
シロ「か・・・神々に逢うとは・・・。」
ニッシー「す・・・すげぇぇ。」
ワッコ「では、御饗ということで、舎人や采女たちも呼んで参りまする。」
山「うむ。そうするが、良いぞ。」
イク「なんか、凄い旅をしてたみたいだね。」
ワッコ「左様にござりまするか?」
ひばり「ワッコ? これは、普通ではないのよ?」
ワッコ「えっ?」
ダッコ「感覚が、麻痺してるのね。」
こうして、五柱の神による、再びの宴が催されたのであった。
つづく