JW419 豊城入彦巡察
【東国鎮定編】エピソード10 豊城入彦巡察
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
崇神天皇の皇子(みこ)、豊城入彦(とよきいりひこ)(以下、トッティ)は東国へと旅立った。
付き従う者たちは、下記の通り。
トッティの息子、八綱田(やつなた)(以下、つなお)。
そして、采女筑箪(うねめ・の・つくば)(以下、つっくん)である。
一行は、ついに毛野国(けぬ・のくに:現在の群馬県と栃木県)に至る。
そして、群馬県前橋市(まえばしし)に入ったのであった。
トッティ「我(われ)は、この地に社(やしろ)を建てたんだっぺ。その名も、総社神社(そうじゃじんじゃ)だっぺよ。祭神は、経津主神(ふつぬしのかみ)だっぺ。」
つなお「国譲り神話に出て来る神様にござりまするな?」
トッティ「その通りだっぺ。ちなみに、鎮座地(ちんざち)は、前橋市の元総社町(もとそうじゃまち)だっぺ。」
つっくん「二千年後には、経津主神の両親である、石筒男(いわつつのお)と石筒女(いわつつのめ)や、食物の神の倉稲魂神(うかのみたまのかみ)、素戔嗚命(すさのお・のみこと)なども祀(まつ)られてるってばさ!」
トッティ「というわけで、次に行くっぺ。」
つなお「つ・・・次は何処(いずこ)にござります?」
トッティ「次にやって来たのは、群馬県桐生市(きりゅうし)だっぺ。こちらでも、社を建てたんだっぺ。その名も、賀茂神社(かもじんじゃ)だっぺ。」
つなお「・・・ということは、祭神は、賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)ですな?」
トッティ「その通りだっぺ。山代国(やましろ・のくに)の賀茂氏(かも・し)が祀る神だっぺよ。賀茂氏は、神武東征(じんむとうせい)に出演した、五十手美(いそてみ)殿の子孫だっぺ。」
つっくん「八咫烏(やたがらす)の末裔だってばさ。」
つなお「されど、父上は、なにゆえ、経津主神や賀茂別雷神など、あまり所縁(ゆかり)の無い神々を祀っておられるのです?」
トッティ「そ・・・それは・・・ロマン?」
つっくん「ち・・・ちなみに、鎮座地は、群馬県桐生市の広沢町(ひろさわちょう)だってばさ。」
トッティ「桐生市には、もう一つ、神社が有るっぺよ。美和神社(みわじんじゃ)だっぺ。」
つっくん「美和神社? 三輪山(みわやま)と関わりが有りそうだってばさ。」
トッティ「その通り! 三輪山の大物主神(おおものぬしのかみ)を勧請(かんじょう)したんだっぺ。ちなみに、勧請っつうのは、神の御魂(みたま)を迎え入れるってことだっぺ。」
つなお「此度(こたび)は所縁(ゆかり)の有る神様を祀(まつ)られたのですな。」
トッティ「・・・といっても、こちらは、我(われ)が創建したわけじゃなくて、今の大王(おおきみ)の御世に創建されたと書かれてるだけなんだけどな・・・。」
つなお「と・・・ところで、何処(いずこ)に鎮座(ちんざ)したのでござりまするか?」
トッティ「桐生市の宮本町(みやもとちょう)だっぺ。ちなみに、素戔嗚命(すさのお・のみこと)も祀られてるっぺ。それから『所縁が無い』は、今後、禁句にするっぺよ。」
つなお「か・・・かしこまりもうした。」
とにもかくにも、前橋市と桐生市の神社紹介に成功したのであった。
つづく