JW416 謎の来訪者
【東国鎮定編】エピソード7 謎の来訪者
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
崇神天皇の皇子(みこ)、豊城入彦(とよきいりひこ)(以下、トッティ)は東国へと旅立った。
付き従う者たちは、下記の通り。
トッティの息子、八綱田(やつなた)(以下、つなお)。
大伯父の大彦(おおひこ)。
そして、多建借間(おお・の・たけかしま)(以下、カシマ)。
采女筑箪(うねめ・の・つくば)(以下、つっくん)である。
トッティ「・・・ということで、今度こそ、東国に着いたのか?」
つなお「東国と言えば、東国にござりまするが・・・。」
トッティ「ん? どうした?」
大彦「知知夫国(ちちぶ・のくに)に着いたんだな。埼玉県の秩父(ちちぶ)地方のことなんだな。」
トッティ「えっ? 毛野国(けぬ・のくに:現在の群馬県と栃木県)じゃないと?」
カシマ「皇子(みこ)! 先に、それがしと大彦様だけでも、日高見国(ひたかみ・のくに:現在の茨城県)に向かわせてはもらえませぬか? これでは埒(らち)が明きませぬ。」
トッティ「そうだな。よし! カシマと先生(大彦のこと)は、先に行っても、いいっぺよ。」
カシマ・大彦「御意!」×2
こうして、二人は旅路を急ぎ、残るは「トッティ」「つなお」「つっくん」の三人だけとなった。
するとそこに、一人の男が近付いてきた。
男「おかしいですねぇ。五人と聞いてましたが、どう見ても、三人ですねぇ。」
つっくん「だ・・・誰だ?!」
男「あれ? 聞いてませんか? 知知夫国造(ちちぶ・のくに・のみやつこ)ですよ。」
つなお「い・・・いや、その前に、御名(おんな)を教えていただきとうござる。」
男「あれ? 聞いてませんか? 私が、知知夫彦(ちちぶひこ)です。『ちぶ彦』と呼んでください。ちなみに、思兼神(おもいかねのかみ)の十世孫になります。」
トッティ「ちょっと待って欲しいっぺ。たしか・・・エピソード202で、思兼神が、科野国(しなの・のくに:現在の長野県)に降臨してるっぺ。八代目、孝元天皇(こうげんてんのう)の御世だっぺよ・・・ということは、汝(いまし)も、科野国から来たのか?」
ちぶ彦「さあ、どうなんでしょうね。その辺は、何も語られていないので、何とも言えません。」
つっくん「ところでさぁ、エピソード202を見てみると、思兼神の子孫は、阿智祝(あち・のはふり)になったって書かれてるんだけど・・・ってことは、汝(いまし)も阿智祝なのか?」
つなお「祝(はふり)とは、神に仕える者のことじゃな?」
つっくん「その通りだってばさ。」
ちぶ彦「ふむ・・・。たいへん面白い見解ですね・・・。しかし、何とも言えません。」
トッティ「言えることが、少なすぎるっぺよ!」
ちぶ彦「そんなことありませんよ。私も、国造(くにのみやつこ)となりましたので、祖神を祀(まつ)りました。」
つなお「社(やしろ)が建ったと?」
ちぶ彦「その通りです。しかし、紙面が足りないようですので、発表は、次回に致しましょう。」
こうして、神社紹介は、次回に持ち越されたのであった。
つづく