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JW697 霧の国

【景行征西編】エピソード68 霧の国


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦88年、皇紀こうき748年(景行天皇18)7月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、還幸かんこう(天皇が帰宅すること)とめいって、筑紫ちくし(今の九州)の巡幸じゅんこう(天皇が各地をめぐること)をおこなっていた。 

筑紫行幸参加者名簿

もち「そして、今は、高羅こうら行宮かりみや滞在中たいざいちゅうやじ。」 

えっさん「二千年後の高良山こうらさんにあらしゃいます。」 

おやた「行宮かりみやあとは、高良こうら大社たいしゃになっておるのであったな?」 

えっさん「そうですぅ。」 

高良大社(拝殿)

もち「二千年後の地名でもうせば、何処いずこになるんや?」 

えっさん「福岡県久留米くるめ御井町みいまちにあらしゃいます。」 

地図(高良大社)

シロ「うむ。では、高良山こうらさんより国見くにみいたそうぞ。」 

ナッカ「大王おおきみ? 大丈夫だいじょうぶっすか? まだ、前回のことが・・・。」 

シロ「あんずるな。国見くにみをせねば、話が進まぬ・・・。」 

ナッカ「それは、そうっすけど・・・。」 

シロ「して、あの山は、きりおおわれているようじゃが?」 

野見のみ「まさしくきりおおわれておりまするな。」 

シロ「では、これより、あの山が有る国は、きりくにと呼ぶが良い。」 

小左おひだり「こののちきりくには、基肄国きい・のくにと呼ばれるようになり、さらには、基肄郡きい・のこおりとなりもうした。」 

モロキ「二千年後の佐賀県基山きやまちょう周辺にござる。」 

地図(基山町)

ワオン「山についても、基肄きいやまと呼ばれるようになりましたぞ。」 

真白ましろ「ワンワン!」 

タケ「ふむ・・・。二千年後は、基山きざんと呼ばれておるそうじゃ。」 

ルフィ「キキッ!」 

タケ「ふむ・・・。飛鳥あすか時代じだいには、古代こだい山城やまじろ基肄城きいのきが建ったともうしておるぞ。」 

地図(基山:基肄城)
基肄城の石碑

たっちゃん「父上? 飛鳥あすか時代じだいとは?」 

タケ「私たちの御世みよから、六百年後の時代じゃ。」 

たっちゃん「な・・・なるほど。」 

シロ「されど、あちらは、さやけく見えるのう。」 

百足ももたり「さやけく?」 

夏花なつはな「はっきり見えるともうされておるのじゃ。そんなことも知らなかったのか?」 

百足ももたり「い・・いや、これは、読者をおもんばかってのことで・・・。」 

夏花なつはな「な・・・なるほど。」 

舟木ふなき「とにかく、さやけく見えたということで、あちらに見えるむらは、分明邑さやけ・のむらと呼ばれるようになったぞ。」 

野見のみ「そのなまって、狭山郷さやま・のさととなりもうした。」 

いっくん「二千年後の地名でうと?」 

野見のみ「佐賀県鳥栖とすの南西に位置する、あさひ地区ちくと言われておりまする。肥前ひぜんあさひえきの周辺にござりまする。」 

地図(分明邑→狭山郷→旭地区)

シロ「そうか・・・。御刀媛みはかしひめこと『ハッカ』にも、このながめを見せてやりたかった・・・。」 

ナッカ「大王おおきみ? やっぱり、おつかれなんじゃ?」 

シロ「あんずるなともうしたであろう。さあ、次に進むぞ。」 

下山し、一行が進んでいると、地元の人々が集まってきた。 

地元民(い)「あれや! あれが、大王おおきみや!」 

地元民(ろ)「こげんとここんなところに来るやなんて、信じられん。」 

地元民(は)「なんうとうと? あの立派な、お姿すがたが見えんのか?」 

シロ「な・・・なんじゃ?」 

リトル(7)「やい! なびとら、無礼だぞ! 父上は、大王おおきみなんだぞ!」 

シロ「リトル! おおみたからに対して、無礼であろう!」 

リトル(7)「だ・・・だってぇ・・・。」 

真白ましろ「ワンワン! ワンワン!」 

シロ「真白ましろえすぎじゃ。しずまれっ。」 

真白ましろ「ワンワン!」 

地元民(い)「なんや? わしら、きらわれとるんか?」 

タケ「大王おおきみの言うことを聞かぬのは、初めてではないか?」 

シロ「た・・・たしかに・・・。」 

吼える真白。

一体、どうなるのであろうか? 

次回につづく

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