JW578 津長の原
【伊勢遷宮編】エピソード37 津長の原
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神(以下、アマ)の御杖代、倭姫(以下、ワッコ)は、御膳御贄の処を定め、伊勢神宮への帰路に就いた。
垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)たち家族が同行し、大神主の大若子(以下、ワクワク)と、舎人の乙若子(以下、乙若)が付き従う中、一行は、一柱の女神と遭遇。
女神の名は、須佐乃乎命御玉道主命。
女神は、御饗、すなわち、食事を提供すると申し出るのであった。
ワッコ「かたじけのうござりまする。それと、名が長いので、淡海子神と名付けまする。通称は『ミーコ』で如何でしょう?」
ミーコ「いいじゃない。とっても、いいじゃない。」
シロ「気に入ってくれたようじゃぞ。」
ミーコ「さあさあ、食べていいのよ!」
ニッシー「ところでさぁ、どうして歓迎してくれてるの?」
ミーコ「歓迎したい時に、歓迎する・・・それが、私のポリシーなのよ。」
ダッコ「ポリセー?」
イク「ところで『ミーコ』様。名前に、須佐乃乎命が入っているのは、どういうことなの?」
ミーコ「良いところに、気が付いたわね。実は、私は『アマ』様と『スー』様の誓約の折に、産まれ出た女神なのよ。」
ワクワク「それは、おかしいよ。誓約の件で誕生した女神は、宗像三女神だよ。」
ニッシー「宗像三女神?」
マス子「田心姫、湍津姫、市杵嶋姫の三本です!」
カキン「その、どれか・・・ということでは?」
ミーコ「まあ、いいじゃないの。そういうのは・・・。」
ロミ子「ロマンにござりまするね?」
ミーコ「そういうことよ。」
ワッコ「とにかく『ミーコ』様に、社を建てようと思いまする。」
ミーコ「待ってたのよ・・・その言の葉・・・。」
ワッコ「その名も、粟皇子神社にござりまする。」
ひばり「鎮座地は、何処になるのです?」
ワッコ「三重県伊勢市二見町松下にござりまする。」
こうして、一行は「ミーコ」と別れ、五十鈴川の川上に辿り着いたのであった。
ワッコ「ようやく、帰って参った。」
イク「ところで、ワッコ? 船が着いた地は、中洲が、長く伸びているね。」
ワッコ「左様にござりまするな。では、津長の原と名付けましょう。」
乙若「ん?」
ワッコ「そして、つつがなく帰り着いたことを寿ぎ、社を建てようと思いまする。」
ワクワク「津長神社が創建された瞬間だよ!」
ワッコ「津長? どこかで聞いたことがあるような・・・。」
乙若「エピソード563にて、奈尾之根宮の候補地として、紹介されておりまする。」
ワッコ「なっ!? 候補地に建ててしもうたのか?」
ニッシー「再利用ってことじゃないの?」
ひばり「ロマンってことね。」
イク「それじゃあ、無事に帰ってきたことだし、僕たちも国中(奈良盆地)に戻らないと・・・。」
ワッコ「えっ? もう帰られるのですか?」
ダッコ「ホントは、もっと長く居たいけど、歴史改変になっちゃうでしょ?」
ニッシー「仕方ないよな。」
マス子「私なんて、これで、クランクアップなのよ。」
ロミ子「私も、同じにござりまするよ。」
ひばり「えっ? そうなのですか?」
ワッコ「そんな・・・寂しくなりまする・・・(´;ω;`)ウッ…。」
カキン「姉上。御心配くださりますな。我は、時折、訪れまするゆえ・・・。」
シロ「うむ。『カキン』は『記紀』において、名のみの登場じゃ。如何様にもなる。」
マス子「シロちゃん? 身も蓋もないこと言うたら、あきまへんよ。」
イク「と・・・とにかく、これからも、五十鈴宮こと、伊勢神宮で、しっかり励むんだよ。」
ワッコ「はい!」
ひばり「何か有れば、すぐに報せを送るのですよ。」
ワッコ「はい・・・(´;ω;`)ウッ…。」
こうして、倭姫は、伊勢神宮の斎宮にて、務めを果たすこととなったのであった。
つづく