
JW715 具足玉の国
【景行征西編】エピソード86 具足玉の国
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)8月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、筑紫(今の九州)の巡幸(天皇が各地を巡ること)を終え、菟狭(今の大分県宇佐市周辺)に入った。


そして、神代の直の神大野(以下、ワオン)と、ゲスト出演の久米の直の七掬脛(以下、ナッカ)が、土蜘蛛を討つ旅を進める中、速来の邑(長崎県佐世保市の早岐)の土蜘蛛、速来津媛(以下、はや)は、篦簗(以下、ノヤ)が、美しい玉を持っていると語るのであった。





はや「篦簗こと『ノヤ』という男がいるのよ。川岸の邑に住んでるんだけど、そいつも、美しい玉を持ってるのよね。」
ここで「はや」の弟、健津三間(以下、三間)が尋ねた。
三間「ノ・・・ノヤさんにも、玉を捧げろと?」
はや「そうよ。『ノヤ』は、玉を大変、愛おしんでいるから、ヤマトの言の葉に従わないかもしれないけど・・・。」
ワオン「やってみるしかない。」
はや「それじゃあ、頼んだわよ!」
ナッカ「任せて欲しいっす!」
こうして、ワオン(とナッカ)は「ノヤ」の元に向かった。
ナッカ「ノヤ! 観念しろぃ!」
ワオン「玉を捧げてもらおう。」
ノヤ「持っておりまする。捧げ奉りまする。決して惜しみませぬっ。」
ナッカ「それで? どんな玉なんすか?」
ノヤ「何も書かれておらぬゆえ、詳らかなことは、わかりませぬ。」
ワオン「致し方ないのう。」
とにもかくにも、ワオン(とナッカ)は、三つの玉を持って、菟狭の「シロ」の元に戻ったのであった。
ワオン「・・・というわけで、これが、三つの玉にござりまする。」
シロ「うむ。まこと・・・美しき玉じゃ。」
ナッカ「捧げ奉るんで、あいつらを許してやって欲しいっす。」
シロ「許すも何も、来る者は拒まずじゃ。少々、強引ではあったと思うが、言向け和しの心で、土蜘蛛と相対したこと、嬉しく思うぞ。」
リトル(7)「言向け和し?」
シロ「語らい合うことで、仲間を増やす・・・という、やり方じゃ。」
リトル(7)「俺は、武を以て、武を制す方が良い!」
シロ「それだけでは、多くの者は、付いて来ぬぞ?」
タケ「皇子に話すには、少し早かったかもしれぬのう。」
シロ「左様ですな・・・(;^_^A」
たっちゃん「ところで、新たにヤマトに加わりし者たちの国には、どのような名を付けまする?」
シロ「そうじゃのう・・・。その者たちの国は、具足玉の国というが良い。」
リトル(7)「具足玉?」
モロキ「玉が充分に備わっているという意味にござる。」
野見「これが、訛って、彼杵となりもうした。」
いっくん「『肥前国風土記』に書かれた、彼杵郡のことやで。」
もち「二千年後の長崎県佐世保市周辺のことやじ。」

ワオン「では、我は、これにて、神との約定に従い、高来の県に戻りまする。」
シロ「約定?」
ワオン「お忘れにござりまするか? エピソード686にて、高来津座こと『クック』様に、彼の地を治めるようにと言われ・・・。」
シロ「おお! そうであったな。では『ワオン』よ。宿禰の任を解き、汝を高来の県主に任ずる。」

ワオン「ははっ。」
シロ「して、高来に赴く折、彼杵郡こと具足玉の国に、再び立ち寄ってもらいたい。」
ワオン「な・・・なにゆえ?」
シロ「建てて欲しい社が有るのじゃ。」
社とは?
次回につづく