ミステリィ小説をよく読みます。

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最近の記事

Golden Slumbers (The Beatles)

 僕が所属している読書サークルの学祭の企画で、伊坂幸太郎作「ゴールデンスランバー」をレビューする機会を頂いた。この本は僕に非常に思い出深く、僕が本に無縁の人間から、小説の世界へどっぷりハマるきっかけとなった本である。そんな本を読み直すに当たって、ふと、本のタイトルにもなっている、本家ビートルズのゴールデンスランバーを一度味わっておこうと思い、日本語訳してみることにした。 かつて、故郷へと帰る道があった。 かつて、自分の家へと続く道があった。 私の愛しい人よ、眠りたまえ、泣か

    • 「七十四秒の旋律と孤独」を読んだレビュー

       僕はSFも、短編も全く馴染みがなかった。これまで読んできた本といえば、専ら長編ミステリィばかり。ときどき新書やエッセイを挟む程度で、400ページを下回ると短編だと思い込んでいた時期もあった。そんな、短編SFの対極にいる僕が、今回「七十四秒の旋律と孤独」を読んで感じたことを述べる。  印象に残ったのが、「条件の後出し」である。「私」が朱鷺型の人工知能(マフ)であることが明確に明かされるのは、物語が始まって数ページ経った後のことである。勿論、“それらしい”表現は何カ所かあるのだ

      • お布団モラトリアム

         この前、一限は二度寝だといったが、この寒さでは無理だ。  ギブアップ。    アーメン。

        • outside called "inside"

          僕は二羽の鳥を飼っていた。片方は鮮やかな赤色で、もう一方は澄んだ青色。 僕は赤色の方に「タイヨウ」、青色の方に「ソラ」と名付けた。 とても可愛くて、行儀がよくて、素直だった。 僕は二羽の鳥を小さな鳥かごの中で飼った。 ある日、鮮やかな赤色の「タイヨウ」が脱走した。 「ソラ」は悲しそうだった。僕は「ソラ」を以前よりも慎重に飼育した。 さらに数日たって、今度は「ソラ」が脱走した。 「ソラ」は僕の目の前を通って、窓から大空へと羽ばたいたのだ。 その日は雲一つない快晴だった。 僕は窓

        Golden Slumbers (The Beatles)

          小説の未来 (11/6)

           前回、本業界、特に小説の衰退が著しいこと、そしてその原因についていくつか例を挙げて紹介した。今日は、そんな衰退の一途をたどる本業界の未来を予想しようと思う。   電子化  まず、もう既にそれなりに普及しているものではあるが、電子書籍が紙の本に取って代わることになるのは確実だろう。現代では、「ながら作業」が圧倒的価値を占めているし、ながら作業でできるコンテンツが人気なのだ。少し穿った言い方をすると、現代人がそれほど暇を恐れ、時間の効率化に盲目的になっているということである

          小説の未来 (11/6)

          朝靄の中で(IN THE MORNING DEW) #4

          登場人物 小早川隆仁(こばやかわ りゅうじ)……K大学理学部二年 藤寺美月(ふじでら みつき)   ……K大学文学部一年 伊藤章博(いとう あきひろ)   ……立山で山荘を経営   正美(まさみ)        ……章博の妻 高倉一行(たかくら かずゆき)  ……立山の登山客。章博の友人   明子(あきこ)        ……一行の妻   大河(たいが)        ……長男。中学一年   美雪(みゆき)        ……長女。小学六年 高倉真澄(たかくら ますみ)  

          朝靄の中で(IN THE MORNING DEW) #4

          「孤独の価値」(森博嗣)#2 (11/4)

           こんばんは。今年最後の三連休が終わったと聞き、少し絶望はしたものの、もう年末を意識する時期なのだなあとも思う。  最近、寒暖差がひどく、滅多に風邪をひかない僕も、生憎風邪気味である。ここ二週間くらいは休日にも予定がぎっちり詰まっていて、なかなかゆっくりできていない……。  というわけで、ずいぶん前に読んだ「孤独の価値」を思い出していく。  ざっくりとあらすじを説明すると、工学博士の仕事をやめ、作家としての活動もほとんど引退し、一見”隠遁生活”を送っている筆者が、社会との関

          「孤独の価値」(森博嗣)#2 (11/4)

          「孤独の価値」(森博嗣)#1 (11/3)

           一回布団にもぐり、noteを書いていないことを思い出した。寝る前のブルーライトは毒だと知りながら、こうして書いている。気分は、最高に最悪だ。  今日、というか、明日から「孤独の価値」(森博嗣著)を読んだ感想を書いていこうと思う。これはだいぶ前に読んだもので、工学博士、兼、小説家の森博嗣が書いた新書である。この本を読もうと思ったきっかけは、勿論森博嗣の小説を普段よく読むことに加え、彼の考え方を知りたいと思ったからだ。いわば、ファンの一段階上みたなもの。  タイトルから、なんと

          「孤独の価値」(森博嗣)#1 (11/3)

          不二家のネクター探し#2(完) (11/2)

           本日、遂にネクターを自販機で発見した。場所は、たまたまぶらりと寄った、大学のとある寮の中の自販機で、そこには割と昔ながらの自販機が残っていた(形としては残っているが、もう在庫補充がされておらず、機能していないものも中にはあったが)。そしてその一角に、佇んでいたネクターは、皮肉にもこの前見過ごしたボトルタイプ(正確には形状がボトル型で、素材は缶と同じアルミ)であったが、それすら希少性が高いことが、最近の調査で分かったから、迷わず購入した。120円。世界一良い買い物だと思う。

          不二家のネクター探し#2(完) (11/2)

          最小硬貨関数 (11/1)

           とうとう十一月になった。いかがお過ごしだろうか。僕は滅多に風邪をひかないのだが、ここ最近の寒暖差で少し体調を崩してしまい、鼻声&鼻づまりである。そろそろ一限に出るのもしんどくなってくる季節といえる。  さて、慣れない前置きを済ませたところで、今日ふと考えた「最小硬貨関数」の話に駒を進める。最小硬貨関数とは、勝手に僕が名付けたもので、定義は、「ある金額xに対して、それを支払うことのできる最小の硬貨枚数」である。無論、xについての関数である。  これをx=1~100まで描画して

          最小硬貨関数 (11/1)

          小説の未来 #1(10/31)

           僕は今、本屋でバイトしている。本好きなので、場所自体はとても恵まれているし、以前やっていた飲食店よりも遙かに楽しい(飲食のバイトは散々だった)。今は専らレジ業務に勤しみ、慣れないながらも、田舎の穏やかな客に見守られ、なんとかこなしている。  本屋でレジをこなしていると、嫌でもどんな本の形態が売れているのか、その実態が分かる。感覚として、売れるのは主に漫画(コミック)と雑誌で、その比率は大体7:3くらいだ。漫画が主な売れ筋となっている。この傾向はおそらく、全国どの本屋でも同じ

          小説の未来 #1(10/31)

          不二家のネクター探し#1 (10/30)

           ハッピーハロウィン。最近一週間、僕は不二家のネクターという、桃味の炭酸ジュースを探している。  が、マジで見つからない。結構探したのだが、有力候補はどこもだめで、一回、過疎地域の自動販売機でネクター自体は見つけたのだが、ペットボトルタイプだったためノーカウント。僕は缶のタイプを探している。  残り候補は業務スーパくらいしかない状況。王手か。  ということで、ネクター探し経過報告:無し

          不二家のネクター探し#1 (10/30)

          自由時間 #1

           一日のうち、どれくらいを自分の自由時間に充てるべきなのだろう。これは、長ければ良い、というものではない。夏休みに突然、ポカリと一週間ほど予定のない自由時間ができてしまったことがあるが、人は突然膨大な時間を与えられても、生産的なことはできない。堕落した生活を送るだけだ。だから、自己嫌悪に陥ってしまう。  自己嫌悪、というほどではなかったが、確かに、僕はその一週間暇だった。もう少し予定があってもいいな、とは思った。夏休みの直前に思い描いていた、理想のような、膨大な自由時間は虚構

          自由時間 #1

          朝靄の中で(IN THE MORNING DEW)#3

          登場人物 小早川隆仁(こばやかわ りゅうじ)……K大学理学部二年 藤寺美月(ふじでら みつき)   ……K大学文学部一年 伊藤章博(いとう あきひろ)   ……立山で山荘を経営   正美(まさみ)        ……章博の妻 高倉一行(たかくら かずゆき)  ……立山の登山客。章博の友人   明子(あきこ)        ……一行の妻   大河(たいが)        ……長男。中学一年   美雪(みゆき)        ……長女。小学六年 高倉真澄(たかくら ますみ)  

          朝靄の中で(IN THE MORNING DEW)#3

          初の運転 (10/27)

           ETCカードを挿入してください←パワハラで訴える。  こんばんは。最近遅い時間に書き始めて、もう一歩踏み出したら日付を越えてしまうくらいのギリギリ男性だ。  今日初めて、車を運転した(自動車学校を夏に卒業し、免許取得済み)。危うくペーパードライバーになるところだったが、車線変更し、遂に正規路線へ。その感想を述べる。 教習車とのギャップ  教習車は確か、マツダのアクセラという車種で、車高が低かった(というか、おそらくそれが標準)。また、比較的新しい車種で、運転操作もしや

          初の運転 (10/27)

          桜井和寿の表現力#2 (10/26)

           #1で桜井和寿の歌詞の表現力に僕が感嘆したことについて書いた。まあ、そのレベルの高さはわざわざ僕が言うまでもなくて、世間的にも共通認識といって差し支えないようだ。  今回は、具体的にMr.Childrenの曲の一節を引用して、僕がいかにすごいと感じるか、拙い文章で表現する。  これは、「渇いたkiss」という曲の出だしの部分である。歌詞から分かるように、お互いの間に深い溝ができてしまい、すっかり冷めきったカップルの話。男側が、別れの言葉を阻止することで首の皮一枚繋がってい

          桜井和寿の表現力#2 (10/26)