小説の未来 #1(10/31)
僕は今、本屋でバイトしている。本好きなので、場所自体はとても恵まれているし、以前やっていた飲食店よりも遙かに楽しい(飲食のバイトは散々だった)。今は専らレジ業務に勤しみ、慣れないながらも、田舎の穏やかな客に見守られ、なんとかこなしている。
本屋でレジをこなしていると、嫌でもどんな本の形態が売れているのか、その実態が分かる。感覚として、売れるのは主に漫画(コミック)と雑誌で、その比率は大体7:3くらいだ。漫画が主な売れ筋となっている。この傾向はおそらく、全国どの本屋でも同じと思う。
雑誌も意外と売れている(僕は全く売れないものと思っていた)。ただ、漫画と比べて明らかにその比率は小さいし、タイムリー性が強いので、返品する量も半端じゃない。これで業界は成り立っているのか心配になるほど。
そして、この経験則において、最もショッキングなのが、文庫本の圧倒的不人気さである。漫画7、雑誌3に対して、文庫本は驚くことにほとんど0に近いのである。小説好きとして、これにはかなり驚かされた。本離れが進んでいるとはいえ、ここまでなのかと(僕も本を読み始めたのは随分後になってからだが)。
以下、本離れ(主に小説)の原因と、小説業界の今後について思うことを書く。
本離れの原因
本離れが進んでいる、とよく言うが、本当にそうだろうか? 僕はこれに対して少し懐疑的である。最近はBOOK OFFやメルカリといった、フリーマーケットが発達して、そもそも本が売れにくい構造になっているし、電子書籍等も考慮すれば、何部売れたか、という数字が減少するのは必然と言える。しかし、本離れが加速している、ということを自明と仮定すれば、その原因はいくつかある。
1 娯楽の多様化
一つ目として、読書以外の娯楽に接しやすくなった、そこに人が流れ込んだということが挙げられる。昔と比べて、今は漫画も種類が豊富だし、アニメ、映画、音楽をすべてスマホ一つで楽しめる。いちいち書店に行って本を購入し、持ち運ばないといけない本と比較して、極めて手軽である。そちらに人口が密集するのも致し方ない。
2 SNSの普及
二つ目がSNSである。僕は文学は現実逃避のツールだと思っていて、辛い現実をなんとか生き抜くために、文学の力はそれになりに必要とされていたのではなか、と考えている。
しかし、今はSNSを開くだけで容易に「繋がっている」感覚を得られ、承認欲求も満たせる。SNSで何か発信するだけで、現代は簡単に現実逃避ができるのである。勿論、このnoteを書くことだって現実逃避だろう。現実逃避は良いことでも悪いことでもない。当たり前の行為ではないか。
SNSに取って代わられたことで、文学の存在意義が薄くなってしまった、というか、そこまで必要とされなくなったのかもしれない。
僕は先述したとおり、昔からずっと本を読んでいたわけではなく、読み始めたのは割と最近のことである(それでも趣味として三年続いているのは、僕としては驚異的)。何か、強いきっかけがない限り、本に触れる機会は少ないし、どちらかというと、「趣味」よりも「勉強」というイメージが強いのも、本離れを助長しているのかもしれない……。
では、次回からは、小説業界の未来について、乏しい想像力で予想し、衰退の一途を辿る本業界の今後について考えようと思う。
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