『はじめまして地球さん、私オレンジジュースです』第五話「何ものかが語る本ものの愛」岩月寧々編
家を出る寸前まで、電車の中で、そして集合場所であるレンタル会議室のビルの前で、私は携帯を凝視する。見ているのは、みんなの写真。今日会うもぐぐみさん、ショットさん、ゆうせいさん、komaさん。
私が人の顔を認識する能力が低いことに気づいたのは随分と遅く、高校生になってからだった。中学生までは移動手段は自転車のみで、インドア派な私は出かけることがほとんどなかった。もし出かけたとしても、常に萌音と一緒だった。萌音はクラスの人気者だったので、出先でクラスメイトに会えば向こうから声