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大人だけど読書感想文

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書評という言葉を使うには、自分ごときの文書では少々憚れる。でも、面白い本が山ほどあるので誰かに伝えたい。 そうだ、読書感想文と言えば幼女を見守るあたたかい気持ちで流してもらえな…
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記事一覧

『ヘディングはおもに頭で』(角川書店)西崎憲 著

 みなさんは、フットサルという球をつかう運動をご存じだろうか?  上記の説明で察したと思…

川勢
1年前
6

『なぜヴィーガンか?』(晶文社)ピーター・シンガー著

 ヴィーガン、その言葉を聞いて、あなたは何を連想するだろう。 ・動物虐待を訴え、過激な反…

川勢
1年前
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『カラスは言った』(中央公論新社)渡辺優 著

 あなたは喋るカラスと出会ったことがあるだろうか? 「ある、ある、今日も聞いたよ」  と…

川勢
1年前
2

『音は空から言葉は身から』内澤崇仁 著

 エッセーとはなんぞやからはじまる、このエッセー。  え?  待って、私もよく分からん。…

川勢
1年前
7

『浮遊』遠野遥 著

 ちょっと、質問させてくださいな。    人間、幽霊、悪霊、マネキン。さて、このなかで存在…

川勢
1年前
2

『スティーブ&ボニー』

 日本に住んでいる人ならば、原子力に興味がない、なんてことはないだろう。もちろん私もだ。…

川勢
1年前
6

「おいでやす不良少女団」

「うっそ、やば。これまじで私のことじゃん」  と、夢野久作『少女地獄』を読んで思わず叫んだ少女は、今この令和の時代にどれほどいるのだろう。  ま、あんまおらんやろ。※個人の感想です  しかし、夢野久作の時代、つまり『少女地獄』(『かきおろし探偵傑作叢書』第1)が刊行された昭和十一年(一九三六年)ではどうだったのだろう。  確かに大人たちの混乱ぶりしか見えない。どうやら『少女地獄』の姫草ユリ子はワープ・ドライブにより地球に舞い降りた異星人、というわけではなさそうだ。大人

『クラシック名曲「酷評」事典』上・下巻(YAMAHA)ニコラス・スロニムスキー編

 突然だが、あなたはクラシック音楽に詳しいだろうか。  ベートーヴェン、リスト、ラフマニ…

川勢
3年前
5

『聖者のかけら』(新潮社)川添愛 著

 二〇二〇年、色々あったが割と小説も読めたなぁー。  私が小説を読むのは、ただの読書好き…

川勢
4年前
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『カタストロフ・マニア』(新潮文庫)島田雅彦 著

こんな時代だからこそ、愛が必要だよ。自分を必要としている人がいると思えば、人はそんなに死…

川勢
4年前
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『デリバリールーム』(講談社)西尾維新 著

 今日は『物語』シリーズや『掟上今日子の備忘録』などで有名な、西尾維新さんによる『デリバ…

川勢
4年前
5

『海に住む少女』(光文社文庫)シュペルヴィエル 著 永田千奈 訳

この海に浮かぶ道路は、いったいどうやって造ったのでしょう。どんな建築家の助けを得て、どん…

川勢
4年前
4

『月の落とし子』(早川書房)穂波 了 著

 マルチバース、つまり私たちが住む世界とそっくりな世界は他にも存在するのでは。  そして…

川勢
4年前
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『記憶のデザイン』(筑摩選書)山本貴光 著

 前回、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の感想文で、人はイメージでものを見ているということを書かせてもらった。 「いや、知らんわ」という人は、伊藤亜紗さんの『目の見えない人は世界をどう見ているのか』を読んで欲しい。もうちょっと言わせてもらうと、私の感想文を読んでくれて、さらにハートも押してくれると非常に喜ばしい(要求多め)。  さて、イメージはどこで作られているかというと、それは脳だ。  脳は視覚をはじめ、五感から刺激を受け反応する。そうして、やがてそれらは記