電楽サロン

お話を投稿したり、趣味の話をしたりしています。 時折、お肉仮面の写真をまとめています。

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マガジン

  • 楽しい音楽の話

    謎のマッシュアップを掘り、future funkの話をする

  • 電楽の短編

    短編が置いてあります

  • お肉仮面のCDラック

    お肉仮面と電楽サロンがこれまで作ってきた音楽がおいてあります。

  • 第三回お肉仮面文芸祭

    2023/11/29〜2023/12/29にかけて行われる「第三回お肉仮面文芸祭」の収集マガジンです

  • 平成八年生肉之年

    第2回逆噴射小説大賞に出したお話の続きを書いています

最近の記事

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地雷拳(ロングバージョン)

 診察室の天井には採光窓がはめられていた。薄い病院着に光が差す。満月を眺めながら、姫華は相手の反応を待つ。 「すばらしい」  しばらくして医者は言った。頭のレントゲンには弾丸が写っていた。 「どこまで覚えていますか?」  姫華は順を追って話す。ホストクラブで遊んだこと。帰り道で銃口を向けられたこと。 「誰が銃を?」 「あ……」  訴えようにも声が出なくなっていた。喉が詰まっているわけではなさそうだ。咳すら出ず、見えない栓が口にはまっているようだった。 《待って

    • 地雷拳(ロングバージョン16)

      承前  Club Skyの地下、空手道場では姫華と美空が修行を終えたところだった。 「かなり動けるようになってきたね」  美空がジップロックを取り出した。袋を開けると、独特な臭いが鼻をついた。  中にはスルメがぎゅうぎゅうに押し込まれていた。  スルメは潰れたタイヤのように固まっている。美空は塊になったスルメに齧り付いた。 「美味しいのそれ」 「まあまあだ」  固そうなスルメを次々と頬張っていく。顎の強さが半端ではない。 「あんた、姫に嫌われてるでしょ」 「好きなやつだけが

      • 【雑記】最近よく聴いてる曲

        こんにちは。電楽サロンです。 最近は家にいることが多く、だいたい家事をしながら音楽を流しています。 普段は、Apple MusicやSoundCloudで聴くことが多いです。好きな曲からステーションを組んだり、アルゴリズムに身を任せて好きな音楽を連れてきてもらったりしています。 そんな中で「おっ、これはいい」「すごいよこれ!」となった曲の感想を書いていこうと思います。あなたも好きになってくれたら嬉しいな。 YAY - valknee通勤、家事、あらゆる場面で流してました。平

        • 翳す人

           ジムの更衣室に戻ると、寺田さんがいた。寺田さんは少し強面だけれど面倒見が良く、トレーニングで知らないことならなんでも教えてくれた。いつもスウェットパンツに、紫色のランニングシャツの姿でいるため、遠目でもすぐに分かった。  寺田さんは重機のような腕を持ち上げて、しきりにお札を蛍光灯にかざしていた。 「こんにちは。何やってるんですか」 「ああ、前沢さん。これです。見てください」  寺田さんが私に見せたのは、よれよれの千円札だった。お札の右側には野口英世の肖像が描かれてい

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        地雷拳(ロングバージョン)

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          6本
        • 生贄にならないあなたへ
          17本

        記事

          Boooom!!!!

           浜辺の石を拾い、鬼崎がぶん投げる。かぁん、と甲高い音がして不発弾に当たった。 「おっし、大吉ィ」  鬼崎のネジは外れていた。拾った砲弾に石を投げるのが鬼崎流の「おみくじ」だった。  コールは右手の拳銃を眺めていた。古びたM1911は、在日米軍の父が中学祝いに寄越したものだった。  「家族を守れ」と父は言ったが、コールが最初に銃を向けたのは、その父だ。  アザだらけの母が縋りついた。父を撃つ。そう決めて引鉄にかけた指は、玄関扉が閉まっても動かなかった。  俺は負け犬だ。地べた

          地雷拳(ロングバージョン15)

          「時価10兆円の企業がこれとは呆れるな。覇金の暗殺者ってのはもっとマシなやつだと思ってたよ」  テシクは嘲るように紅たちを見た。ソファには姿勢を正したまま、紅がこちらを見返している。やけに余裕ぶった態度がテシクの癪に障った。 「あんた、自分の会社が負けているのを分かっているのか?」 「お生憎様。DX部門は会社の一部。内臓一個潰れて死ぬようなヤワな企業ではありません」  紅はにっこりと微笑んだ。耳を飾る象牙のイヤリングが揺れた。 「……あなたはどう?」  蝋燭を消すように、紅の

          地雷拳(ロングバージョン15)

          カルヴェニ

           寝支度を始める段になって、ガラス戸をバンバンと叩く音がした。壊れそうな勢いに俊也は父母と顔を見合わせた。  叩く音が鳴り止まず、急いで扉を開けると、泥だらけの妹が泣きじゃくっていた。妹は友達の家に泊まっているはずだった。俊也が経緯を尋ねると電柱を指さした。  「あぁっ」と母が悲鳴を上げた。  暗がりで何かがこちらを見ていた。体毛がなく、頭だけがやけに大きい。半開きの口の中は照明を受けても真っ黒だ。俊也は尖った耳の形で、それを犬と判断した。 「カルヴェニを飼わないと」  妹が

          地雷拳(ロングバージョン14)

          承前  姫華は磨りガラスの外を見る。モザイクがかった朝日が部屋を温めていた。  自分の姿を鏡で見ていた。額に被さる髪をかきあげる。淡いピンク色の生傷が頭皮に刻まれている。  Club Skyでの美空との修行は続いていた。ポモドーロとの戦いから数日が経っていた。ホストクラブに匿われている姫華の居所は、警察も掴めていなかった。 「まだ寝てるの?」  姫華は傷を見ながら、頭の中の住人に尋ねた。姉は姫華の呼びかけに応じない。最後の一戦の一撃は、カラテチップにも深々とダメージを与えて

          地雷拳(ロングバージョン14)

          田町・デーモン・サスピシャス

           ひときわ強い風が吹いた。ノリオは反射で札束の山を押さえた。  田町は素敵な街なのに、晴れた月夜はボロ屋だけ隙間風がひどかった。  ノリオは背後の視線に振り返る。天井に黒い影が横切った。  兄のタツロウがネイルガンを撃つ。  また叫び声がした。  釘だるまの男女とラップに包まれた札束をランプが照らす。詐欺師殺しも七度目となり、見慣れた光景だ。  また叫び声がした。  タツロウは膝立ちの男を見下ろす。太い指が引き金にかかる。 「なんでですか」  片言の日本語を話す男の膝から、釘

          田町・デーモン・サスピシャス

          地雷拳(ロングバージョン13)

          承前  姉は頭が良かった。きっと今思うとそれは正確に姉を表せてはいない。自分のやりたいことがあって周りに関係なく進んでいく姿を「頭がいい」という言葉に当てはめていた。  なんでも決められる彼女が羨ましかった。好きなことを見つけられる彼女になりたかった。  迷ってばかりの自分自身と何度も比較した。  劣等感を抱いたまま姫華は成長した。大学生のとき、初めてホストクラブに友達と一緒に行った。全然楽しくなかった。会話は弾まず、強引なホストの態度が気に入らなかった。あの時は何がカッコ

          地雷拳(ロングバージョン13)

          地雷拳(ロングバージョン12)

          承前  姫華の身体は傷だらけだった。切り傷と痛々しい打撲の痕跡がある。着ている服が血に濡れているものの、致命傷はなかった。腕を振ると、血が地面に飛び散った。傷だらけの姫華が不利なのは変わらない。だが、ラポールは目の前の女が「わざと傷ついた」ように思えてならなかった。 「なんなんだ……お前は」 「いいッ……ねェ……こうでないと」  姫華は歯を食いしばりながら歯茎音をまじりにラポールへと首を向けた。鉄の暗殺者は、姫華の相貌にたじろいだ。  口の中を切ったのか、リップの色が移った

          地雷拳(ロングバージョン12)

          地雷拳(ロングバージョン11)

          承前  無料案内所の電飾が毒々しく客を誘う。酔っ払いの怒号が飛び交うなか、路上には酒に潰れた外国人が座っている。 「お姉さん、ホスト興味ない?」  キャッチの鼻にかかった声を無視して、姫華は歩道を進む。自然と歩速は上がっていた。  歌舞伎町の人々は、ラフォーレ原宿の壊滅など意に介していないようだ。 「生憎今日は運転してきたから」  マクセンティウスは駐車場に置いてきた。人探しはバイクよりも徒歩のほうが向いているからだった。  スマホを見る。時間は0時を示していた。通知がまた

          地雷拳(ロングバージョン11)

          Evaporation of joy

          お肉仮面がレーシングゲームに出てたら…というイメージで作りました。ローポリのお肉仮面はどんな機体に乗るのでしょうか

          Evaporation of joy

          Evaporation of joy

          熱中症

          あまりに熱すぎて意識がもうろうとしました。その時の記憶

          夢のスーパー

          いずれスーパーマーケットを作ったら流したいです

          夢のスーパー

          夢のスーパー

          地雷拳(ロングバージョン10)

          承前  通りは人々の叫び声でパニックに陥っていた。どこかから壊れたクラクションが鳴り響く。トラックが腹を見せて転がり、黒煙をあげている。アスファルトの路面にはビルの残骸が突き立っている。コンクリートの石板が立ち並ぶ様子は、ビル街のジオラマのようだった。  ギュルギュルギュルギュルギュルギュル……  スパインテイカーの回転腕が喧騒をかき消した。 「カラテチップの娘よ! もう終わりか!」  異形のカンフーロボが、倒すべき相手を求めて叫んだ。 「カラテチップなど超人である覇金の前

          地雷拳(ロングバージョン10)