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刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑
2024年11月11日 23:57
山銅地の大ぶりな菊透鐔。横92.5×縦93×切羽台厚4㎜。茎孔は縦35㎜と相当大きな大太刀に掛けられていたと思われる。デザイン的には上杉家の菊花透鐔にも円形に菊の透かしを彫った物がある。図録「上杉家の名刀と三十五腰」には南北朝期頃の鐔とされており、径は102㎜×99㎜、厚さ5~7㎜と大振りで、茎孔も写真から推定すると縦寸法で34㎜ほど空いているように伺える。上記解説から引用すると「表
2024年11月9日 23:30
成木一成氏は金山や尾張、赤坂、京透、甲冑師や信家などの名作の写しも良く作っているが、オリジナルデザインの鐔も作っている。この鐔も恐らく成木氏オリジナルのデザインで、干支モチーフの作と思われる。平成5年の作で鉄地の風合いは艶やかないわゆる成木鐔の典型的な作例。耳は鉄骨などが一切なく、綺麗にまとめられている。尚、岐阜県博物館に同手の物が所蔵されている。成木氏が同手の鐔を2~3枚程度製作す
2024年11月9日 00:01
先日大刀剣市にて手に入れた真鍮鐔を改めて鑑賞。横81×縦85×切羽台厚3.5(耳厚4.5㎜)この手の鐔は時々見るもので大体「古金工」の極めが付いています。しかしこれには「京金工」の鑑定書が付いていました。京金工という事は恐らく江戸時代頃のものとして鑑定を受けたという事になります。購入時から感じていた「なぜ?」という疑問を探るため改めてじっくり鑑賞してみます。まず「鐔+小柄 目貫
2024年11月1日 22:56
先日とある刀剣店に伺った際になぜ山銅鐔の偽物は少ないのか?という疑問を投げかけてみた。理由は「利益が労力に見合わない」事と「山銅の古い質感を現在では再現できない」事の2点ではないだろうかということであった。1点目の「利益が労力に見合わない」点について。例えば鉄鐔であれば柳生(後代柳生ではなく)などの特保鑑定が付けば100万近くで販売されているし、金山にしても尾張にしても人気なので特保あたり
2024年10月29日 22:58
今日は学習院大学で刀文協さん主催の刀装具シンポジウム「放射性炭素年代測定による刀装具の年代決定(講師:Boris Markhasin氏)」に参加してきました。本研究はBoris氏の成果であり私がここで話すのはお門違いですので詳細についてはBoris氏本人による報告を待ちたい所です。故にここでは大まかな概要だけ。年代測定にあたり、有機物なら何でも持っているというある炭素を計測する事でその物が
2024年10月25日 22:34
いよいよ来週に迫ったボリス氏による「放射性炭素年代測定による刀装具の年代決定」をテーマにした公演があり楽しみにしている所です。ボリス氏は以下の「刀装具屋」というHPも運営しており、そこでは質の良い刀装具や刀も販売しています。興味ある方は以下ご覧ください。講演の内容については一切不明なのですが、炭素量という事で鉄鐔などの年代を測定できる、というものでしょうか。楽しみです。さて先日なんとな
2024年10月24日 12:17
鐔の真下に穴が1つないしは2つ開いている物があるが、これはやはりどうやら革紐を通していたらしい。「打刀拵(東京国立博物館)」にイラストの記載がある。通した紐は腕に巻き付ける事で打ち合いの際に刀がどこかに飛んで行かないようにする工夫だろうか。戦の残る戦国時代までの鐔に見られる気がする。以下は半太刀拵の大小(細川家伝来で関ヶ原の戦いで使用されたという記録が確か残っている)だが、猿手もあり、どち
2024年10月24日 00:02
②↓久々に猿目貫を鑑賞。暫く鑑賞の手から遠のいていたものの、購入の最後の決め手が当時生まれたばかりの次女の顔に似ているという理由だっただけに久々に見るとその当時のことを思い出し心が少し温かくなる。そうした一時期との思い出とリンクした刀装具もまた良いものだなと実感。刀はどうしても鑑賞時に緊張する(気が引き締まる)ので、刀装具では得られない感覚がある一方で、また刀装具でしか得られない感覚もあ
2024年10月22日 23:41
成木鐔について早くも29回目となってしまいました。どうしても自身の好きな金工だけに鑑賞頻度も高まり、故にブログの内容も偏ってしまいます。これだけ時間をかけて追い求められる鐔工を見つけられたというのはある意味幸せな事かもしれないですが…。という事で29回目は日光下での成木鐔の見え方を比較してみます。鉄鐔などはよく日光下で見るのが良いなどと言われますが、成木鐔も鉄色の違いが分かり易かったので
2024年10月20日 00:06
前回→日刀保の鑑定書ではこの目貫の画題について「獅子引韃靼人図」、つまり韃靼人(だったんじん。モンゴル高原で活動した遊牧民族)が獅子を引っ張っている様子が描かれているとされている。獅子というのは大名の間で愛された神獣であったが、そうした神獣をあえて抑え込むような構図は何かしら権力者への反抗心の表れか?と以前想像していたものの、なぜモンゴルの韃靼人をテーマにするのか、いまいち個人的に腑に落ち
2024年10月19日 00:00
埋忠明寿の作風に非常に近い埋忠二字銘の鐔がいくつか存在しているが、これが明寿同人なのかはたまた別人の作なのか、今まで作風中心に比較していたが、今回は銘のみに注目して比較してみる事にする。まずは埋忠二字銘の銘。こうみると二字銘の中でもだいぶ書体が異なって見え、全て明寿と言い切るのは少し早計な気もする。しかし作風を見ればいずれも明寿に近い作風なのは違いない。以下は元の鐔の写真である。①及
2024年10月16日 15:01
今まで鉄鐔といえば成木一成氏(現代)の物にしか手を出していなかったのだが、比較的手頃な価格で鉄質の良さそうな鐔を見つけたので手元に置き鑑賞してみる。鉄鐔に手を出さなかったのは「良く分からないから」の一言に尽きる。現代の錆付けも非常に巧妙な物があり、古い物との区別、または古いものに新しく錆付けを行っているかなどの判断がなかなか難しい、という事が理由である。こうした鉄鐔の良さを分かるようになる為に
2024年10月16日 01:25
先日刀装具を長年取り扱ってこられた100歳近い先生をご紹介頂き、現在も御自宅にてお店をやられているという事でお伺いした。古い刀装具を探している過程で一度お会いしておいた方が良いとご紹介頂いたのであるが、「こうした物を探している」というのは口頭で伝えるよりも自身のコレクションを持っていき実際に趣味趣向を見て頂く方が話が早いのではないだろうかと考え数点持っていき似たような物が無いか出して頂いた。
2024年10月14日 23:12
ずっと探していた成木鐔と同手のものを見つけたので購入。成木鐔で良い物が見つかった時は大刀剣市前だから…などとは言ってられない。財布の紐を緩める時である。横79.5×縦81×耳厚5.1mm(切羽台厚4mm)表と裏